番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」
今回ご紹介するのは、人間の業と結びつく驚愕の真実に震える韓国映画
『悪の偶像』
ある犯罪のために人生が一変してしまう人々を描くクライム・スリラーは、韓国映画の得意分野。かなりハードな猟奇的描写と登場人物たちの愛憎や怨念、悲しみや愚かさを炙り出す作品群は、いわゆるコリアン・ノワールと称されています。この作品もその一つです。
「シュリ」「ベルリンファイル」のハン・ソッキュ。
そして「シルミド」「殺人者の記憶法」のソル・ギョングという韓国を代表する実力派俳優のダブル主演が初めて実現しました。
ハン・ソッキュが演じる市議会議員のミョンフェは、ある夜、息子のヨハンが飲酒運転で事故を起こし、人を殺してしまったことを知ります。
政治家の危機に直面したミョンフェは秘密裡にもみ消し工作を計りますが、新婚旅行中だった被害者の妻リョナが事故現場に居合わせ、行方不明になっていることが判明。
事実が明るみに出るのを恐れたミョンフェは、リョナを見つけ出そうとします。
一方、ソル・ギョング演じる、小さな工具店を営む被害者の父ジュンシクはリョナが妊娠していることを知り、何としても彼女を探し出すことを心に誓います。
かくして別ルートで、消えた目撃者リョナの行方を追う2人の父親は、耐えがたい葛藤に胸を引き裂かれながら、後戻りできない罪の闇に足を踏み入れていくのです。
実はこの作品は、4月半ばに公開されることになっていたので4月に一度見ているのですが、今回ご紹介するに当たってもう一度見てみました。
次はどうなるのか予想できないストーリー展開と衝撃的な映像はそのままでしたが、一度見ただけでは理解できなかった細かいところがよくわかりました。
3回目を見たらまた何か見つかるかもしれません。何度見ても何か得るものがありそうです。
ハン・ソッキュとソル・ギョングの演技は言わずもがな素晴らしいのですが、もう一人の主役リョナを演じたチョン・ウヒの演技に度肝を抜かれました。凄まじい!の一言。
メガホンを取ったのは、前作「ハン・ゴンジュ17歳の涙(主演はチョン・ウヒです)」が巨匠マーティン・スコセッシ監督から絶賛されたイ・スジン監督。
「人間の本性と倫理」に一番関心があるという監督。
事件を誘発し選択するのは常に人間であり、何が彼らにそうさせるのかを描きました。
その何かは個人が叶えたい夢かもしれず、その夢が偶像であり虚像かもしれないと。
ひき逃げ事件をきっかけに交差していく“加害者の父”と“被害者の父”2人の父の切なる思いがさらなる悲劇を招き寄せるスリリングさに目が離せません。
最後のシーンに驚愕です!
『悪の偶像』
2020年6月26日(金)よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開
公式サイト:https://akuno-guzo.com/
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