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サンデー早起キネマ『ハニーランド 永遠の谷』

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番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」

コロナウイルス感染症で世界中が大変になり、わかったことも沢山ありました。
例えば、マスクやペーパー類が品薄になった時、人間がどういう行動に出てしまうのか。
そして自分の周りだけでなく、地球規模で自然や環境を考えていかなければならないことなどです。
そんな今だからこそご覧頂きたい驚異のドキュメンタリー映画が、ギリシャの北にある北マケドニアから届きました。
『ハニーランド 永遠の谷』



各国の映画祭で30以上の賞に輝いた作品です。

主人公の女性ハティツェが住んでいるのは、バルカン半島の奥深く孤立した山岳地帯の村。
北マケドニアの首都スコピエから20キロ程しか離れていないのに、一般道路では行くことができない大自然の中にあります。
道路も電気も水道も通じていない村で、ハティツェは、寝たきりの年老いた盲目のお母さんと二人で暮らしています。
彼女はヨーロッパ最後の自然養蜂家。
険しい崖の上や深い森の中に蜜蜂が自然に作った巣からハチミツをもらって集め、4時間も歩いて町まで売りに行って生活しています。
彼女の信条は「半分は自分に、半分はあなたに」。
必要な分だけハチミツをもらって、決して余分には取りません。それが持続可能な生活と自然を守っているのです。

しかし、彼女の静かで平和な生活は、けたたましいエンジン音と共に突然トレーラーで村に押し寄せてきた見知らぬ家族のために激変してしまいます。
隣にやって来たのは、父と母、そして7人のにぎやかすぎる子供たち、さらには何十頭という牛たち。
ハティツェは、一家に心を開いて楽観的にその変化を受け入れるのですが、そのうち、自然と人間、搾取と持続可能性といった根本的な違いが露呈し、問題が起きてしまうのです。

作品を観ているうちに、ドキュメンタリーだということを忘れてしまいました。
3年間に撮った映像は400時間以上とはいえ、まるで台本があるかのような劇的な物語が目の前で展開していくのです。
ナレーションはありませんが、登場人物の行動や会話で、どういう人物なのか、彼らに何が起きているのか、これからどうなるのかすべてわかります。

「半分は自分に、半分は蜂のために残す」という彼女の考え方は、これからの地球に一番大切なのではないでしょうか。
反対に隣の家族の父親は、「もっともっともっと欲しい」「なんで隣はあるのにうちはないんだ」…常に心が飢えているのです。
そして、“彼がしている横暴な搾取が、自然に何をもたらすのか”、私たちは目の当たりにすることになるのです。

北マケドニアの厳しく険しくも美しい大自然の中で行われる消えつつある人間の営みをユーモアと優しさで描いた作品。
人は自然の一部としてどのように生きていかねばならないのか、考えさせられました。

『ハニーランド 永遠の谷』

6月26日(金)より アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺他にて全国順次公開

公式サイト:  http://honeyland.onlyhearts.co.jp/
公式facebook : https://www.facebook.com/honeyland.movie/
公式twitter : https://twitter.com/honeyland_movie

リューボ・ステファノフ、タマラ・コテフスカ共同監督
2019年/北マケドニア映画/トルコ語・マケドニア語・セルビアクロアチア語/86分/1.85:1/字幕:林かんな
配給:オンリー・ハーツ
©2019,Trice Films & Apollo Media

 

 

 

 

 

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