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サンデー早起キネマ『ペイン・アンド・グローリー』

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番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」

私たちが生きているこの世界は、今厳しい状況に直面しています。
ニュースに踊らされ、どうしたって憂鬱になりがちですよね。
でも、この作品を観れば、いつだってどんな状況だって未来は開けるのだと明るい気分にしてくれます。

名優アントニオ・バンデラスとペネロペ・クルスの熱演が光る
『ペイン・アンド・グローリー』

主人公は、スペインの国民的映画監督サルバドール。
長年、体調不良に悩んできましたが、4年前の母の死が決定打となり、引退同然の生活を送っていました。
夢とうつつを行ったり来たりするような生活の中で、子供時代や母親のこと、恋人との生活や破局…昔の自分を思い出すことが多くなっていました。
そんなある日、32年前に撮った映画が再び上映されることになり、サルバドールは、大喧嘩の末絶縁した主演俳優のアルベルトに会いに行きます。
そのことがきっかけとなり、止まっていた彼の人生が少しずつ動き始めるのです…。

サルバドール役はアントニオ・バンデラス。
長年の身体の痛みや精神的ショックで世捨て人のようになっていた彼がどう変わっていくのか…心の変化が目の輝きや表情に現れ、サルバドールを近くで見守っているような気にさせられる素晴らしい演技でした。

そして、サルバドールの子供時代、若い頃の母親役はペネロペ・クルス。
貧しいながらも逞しく生きる母を、生き生きと演じました。もちろん美しさはそのままに…

メガホンをとったのは、『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』でアカデミー賞に輝くスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督。
70歳の円熟期を迎えた彼の人生を投影させた初めての自伝的な作品です。
独特の色鮮やかで美しい映像が、作品のテーマに奥行きを与えています。

この作品の中で、サルバドールは過去を思い出しています。過去に帰ってしまったといっていいほど。
人生のある地点で立ち止まってしまった彼は、単に思い出を懐かしんでいたのではなく、乗り越えられなかった過去と向き合うという作業をしていたのかもしれません。
そして、その過去を愛おしく抱きしめられたことで、新しい一歩を踏み出すことができるようになるのです。
過去には、つらい痛みだけでなく、愛や喜びがあったことを確認できたから…。
タイトルそのものですよね。
“愛は愛する人を救える”という気恥しいけれど嬉しい真理も味わえるオマケ付きです。
過去の悲しみも輝きも抱きしめれば、人生の最終章まで楽しく生きられる…そんな術を教えてくれます。
まだ、遅くありません。幸せは自分の中にあります。サルバドールと一緒に未来の扉を開けましょう。

『ペイン・アンド・グローリー』

6月19日(金)、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー

公式サイト:pain-and-glory.jp

脚本・監督:ペドロ・アルモドバル
出演:アントニオ・バンデラス/アシエル・エチェアンディア レオナルド・スバラーニャ ノラ・ナバス フリエタ・セラーノ/ペネロペ・クロス
2019/スペイン/スペイン語/113分/5.1ch/カラー/アメリカンビスタ  
原題:Dolor y Gloria
字幕翻訳:松浦美奈 
配給:キノフィルムズ/木下グループ R15+ 
©El Deseo.

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