サンデー早起キネマ『お名前はアドルフ？』

番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」
今週からレギュラーに戻って毎週更新しますね。

コロナウイルス感染拡大防止のため休館していた映画館が始動しました！
館内の消毒や換気の徹底、三密回避など様々な感染予防対策がとられています。
私たちも手洗い・うがいとマスク・咳エチケットなどを徹底して、楽しみましょう。

こんな時期だからこそ笑いたい！ニヤッと笑える大人のコメディをご紹介しましょう。
『お名前はアドルフ？』

ヨーロッパで大成功したフランスのエスプリの効いた舞台が、ドイツで映画化されました。
本国ドイツでは150万人が腹を抱えて大笑い！
タイトル『お名前はアドルフ？』がそのものズバリを突いています。
アドルフ…と聞いて思い浮かべるのはたった一人ですよね。
悪名高きアドルフ・ヒトラー！
もともとドイツでは「アドルフ」は人気のある伝統的な名前だったそうですが、戦後生まれの男の子にこの名前をつけることはほぼ皆無です。

ライン川のほとりの優雅な一軒家に住む夫婦、哲学者で文学教授のシュテファンと国語教師のエリザべトは、ある日ディナーに、エリザベトの弟トーマスと出産間近の恋人アンナ、そして幼馴染で音楽家のレネを招待しました。
楽しい夜になるはずでしたが、トーマスが、もうすぐ産まれてくる子供の名前を“アドルフ”にすると宣言したことから激しい口論へと発展。
その話が発端となり、ドイツの歴史やナチスの罪、家族のお互いへの不満が爆発し、秘密の暴露大会、ついには家族最大の隠し事まで暴かれてしまいます！
ヒートアップした夜はどこまで続くのでしょう…
一家の平和は守られるのでしょうか？
そして産まれてくる赤ちゃんはどうなってしまうのでしょうか？

登場人物はほぼこの5人。
舞台もシュテファンとエリザベトのお家のダイニング。
この作品は９０分ほどなのですが、その実際の時間が目の前で流れているような…そう！自分もディナーに招待されてテーブルについているような感じなのです。

実力派俳優陣の迫真のノンストップバトル！
私たちは「名前」という新しい視点から、世界の歴史までを見直すことになるのです。
ポンポン、ヒュンヒュン、矢のように飛び交うセリフ、ホントに面白いんです。
相手を言い負かそうと躍起になり、言葉尻を捕まえて戦ううちに思いがけない方向に進んでいって…
「ひえ～！そんなことがあったのぉ？！」「この人俺のことそんな風に思ってたんだ」
ポロポロでてくる秘密や不満。
でも、最後は伏線も見事に回収されてスカッとしますよ。
世の中も個人も不安定な今、ユーモアとシニカルにあふれたこの作品でリフレッシュして下さい。
歴史とカルチャーで頭脳を刺激し、家族と現代社会を揺さぶる知的エンターテインメントをお見逃しなく。

『お名前はアドルフ？』

６月６日（土）よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開

監督：ゼーンケ・ヴォルトマン
出演：フロリアン・ダーヴィト・フィッツ、クリストフ＝マリア・ヘルプスト、ユストゥス・フォン・ドホナーニ、カロリーネ・ペータースほか
原題：DER VORNAME／2018／ドイツ／ドイツ語／91分／
日本語字幕：吉川美奈子　
配給：セテラ・インターナショナル
© 2018 Constantin Film Produktion GmbH