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日本栄養士会会長の中村丁次さん「なぜ、パンダやコアラはひとつの食品だけで生きていけるのに、人間は無理なのか?」

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6月9日(日)の放送では日本栄養士会会長の中村丁次さんをお迎えして
「ミルクの大切さ」についてお伺いしました。

淵澤 前回は「液体ミルク」についてお伺いしましたが、
   そもそも、ミルクってそんなに大事なものなんでしょうか?

中村 多くの動物は、食べる物は1種類なんです。
   パンダは笹の葉しか食べないし、コアラはユーカリの葉しか食べない。
   なぜ、ひとつの食品だけで、色々な栄養素を供給できるのか?
   腸内細菌がセルロースを分解して発酵させることによって、
   色々な栄養素をつくって、それを吸収して生きていく方法を
   彼らは進化の過程で手にいれたんです。

   でも人間は色々な食べ物を食べることによって
   栄養素を取り入れるように進化した。
   したがって我々人間は、この食品だけで生きていけるというものを
   手に入れなかったんですが、近い食品がひとつだけあります。

自見 なんとなくわかってきました(笑)

中村 ミルクです。
   なぜかというと、人間は産まれてから一時期だけ
   ひとつの食品だけで生きていける時期を持っている。授乳期と言います。
   ヨーロッパで栄養学が出来た時、学者はミルクの研究をしたんです。
   どうしたら人工的にミルクが出来るのかという研究をしました。
   何回か失敗しています。当時は3つの栄養素、タンパク質、脂質、糖質で
   人は生きていけると思っていた。
   それを元に人工ミルクをつくって失敗しました。だからある意味
   ミルクの開発は、栄養学の発展と一緒に進んでいきました。
   
自見 そして日本では戦後、学校給食によって、
   栄養状態が急速に改善されていったそうですね。

中村 学校給食そのものは戦前からありました。
   戦後、GHQの指導のもと、再開したんです。

自見 各学校に栄養士さんの配置もされたそうですね。

中村 当時、ご飯に味噌汁、漬物を食べていた子供たちが
   パンを食べ牛乳を飲めるのかと心配されました。
   そこで、教育によってカバーしようということになりました。
   つまり、パンもミルクも栄養価に優れているから
   これで丈夫になろうということをやって、
   そこに栄養士さんを配置しました。

淵澤 給食はアメリカではあるんですか?

中村 ありません。日本のみのアイデアです。

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