6月16日(日)の放送では日本栄養士会会長の中村丁次さんをお迎えして
「バランスのよい食事」についてお伺いしました。
淵澤 日本人が食生活の改善に取り組むように、
厚生労働省が文部科学省や農林水産省と協議して策定した
「食生活指針」というのがあります。
全部で10項目あるんですが、けさはその中から前半の5つについて
中村さんに解説していただきます。
その①「食事を楽しみましょう」
その②「1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを」
その③「適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を」
その④「主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」
その⑤「ごはんなどの穀物をしっかりと」。
私はこの中の「適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を」
が特に気になります。
中村 どんな食事を優れた食事というか?
というのはたくさんの議論があります。簡単に言いますと、
摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスがとれて
すべての栄養素が過不足なくとれているのが、
優れた食事ということになります。しかし日常的にこれを
計算することも、はかることもできないわけですから、
やり方としては、エネルギーをとり過ぎているか、
不足しているかをみるには、
体重の変化をみるのが、一番簡単なんです。
しかも朝起きてトイレに行った後の寝起きの体重。空腹時の体重ですから
一番あてになります。
食後にお風呂に入る前に体重をはかっても、ほとんど意味はありません。
適正体重を維持するというのは、大事なことです。
適正体重はBMIで計算します。
これは身長を二乗して、体重から割った数値です。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)2。
この値が18.5~25の間に入れるのが大事です。
25以上になると太りすぎ。
18.5以下になると痩せ過ぎ。
特に心配しているのが若い女性で過度なダイエットをやっている人たち。
18.5以下の人たちが随分います。これは大きな問題です。
自見 貧血などは気づかない間に進んでいることがありますよね。
中村 三大欠乏症というのがありまして
「鉄」と「ヨード」「ビタミンA」です。
人間の食事を考えた時、この3つが欠乏しやすいんです。
「ヨード」に関して日本人は海藻を食べるから、
あまり心配はありません。
「ビタミンA」に関しては戦後直後は問題でしたが、
肝油ドロップと食事を欧米化することで、
徐々に乗り越えてきました。問題は「鉄」です。
「鉄欠乏性貧血」は今でも若い女性が悩んでいると思います。
「鉄」は、とりにくいんです。
淵澤 食品で「鉄」がとりやすいものは何ですか?
中村 一番はレバーです。お肉とか内臓類を食べた方がいいと思います。
自見 食べ過ぎるとレバーは「ビタミンA過剰症」になるということも
あるので、まさに適切なバランスが重要ですね。