自見:子育て支援のニュースで「日本版ネウボラ」という言葉を耳にします。
松平会長、「ネウボラ」のご説明から、お願いいたします。
松平:一昨年、夏休みを利用して10日間ほど、
実際にネウボラを見学するためフィンランドに行ってまいりました。
淵澤:「ネウボラ」はフィンランドにあるものなんですね。
松平:同じような施設は北欧にもあるんですけど、
ネウボラという言葉は、フィンランド語で
「アドバイスを受ける場所」という意味です。
ネウボラは、母親の妊娠から子どもの就学前まで、
母子の疾病予防と心身の健康保持を目的とする施設のことです。
当初は乳幼児の病気対策が主な目的でありましたが最近では、
母子保健の充実や仕事と子育ての両立を目指した社会環境作りや
出生率向上にも寄与しております。
ネウボラには沢山の研修を積んだ“ネウボラおばさん”と呼ばれる
保健師が常駐しております。
淵澤:ネウボラおばさん(笑)
松平:人口約600万人のフィンランドに現在、約800か所のネウボラが
あり1か所の年間の費用が1億円と聞いております。
ネウボラおばさんは、医学的研鑽も深く、
妊婦健診や予防接種もネウボラで実施されております。
淵澤:そういう施設があるんですね。
自見:2014年に、子ども支援専門の国際組織、
セーブ・ザ・チルドレンが発表した「母親指標~お母さんにやさしい国
ランキング」でフィンランドは1位で、日本は32位でした。
日本がフィンランドに学ぶべきところ、お聞かせください。
松平:フィンランドは、ほとんどの家庭が共働きで、母親の産後と子育て休暇、
それに父親の子育て休暇を含めると1年位お休みが取れます。
淵澤:素晴らしいですね。
松平:さらに母親の職場復帰は100%保障されており、
保育所は自治体が確保しないと国から罰せられると聞いております。
淵澤:現在、日本でも「日本版ネウボラ」とも呼ばれる
「子育て世代 包括支援センター」が各地に広がっています。
改めて「子育て世代 包括支援センター」について、ご説明ください。
松平:妊娠・出産・育児の多様な支援のニーズを各部署で
たらい回しすることなくワンストップで対応し、妊娠期から子育て期まで
継続する「切れ目ない支援」の提供が役割と聞いております。
「子育て世代 包括支援センター」は、
平成32年度末までを目標に全国設置が進められておりますが、
100年の歴史があるフィンランドのネウボラと異なり、
センターの核となる
人材育成、“ネウボラおばさん”の育成が重要だと思います。