自見:日本小児科医会が成立に向け、20年以上前から活動を続けている
「成育基本法(案)」について、お聞かせください。
松平:成育基本法」。少し難しい名前なんですが。
辞書で調べますと成育とは、人や動物が成長すること。育つこと。
育って成熟することを意味しております。
成育基本法は、今のところ「案」でございます。
胎児期(赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時)から新生児期、
乳幼児期、学童期、思春期を経て次世代を育成する成人期までに至る
「人のライフサイクル」の過程に生じる、
様々な健康問題を包括的に捉えまして、
適切に対処するための法律と位置づけております。
淵澤:具体的には、どのような内容なんですか?
松平:具体的な内容としては、法律が出来たから改めて考えますが、
妊産婦及び乳幼児の医療及び保健に関する支援や、
成育過程における心身の健康に関する教育及び
普及啓発などが含まれております。
自見:改めて「成育基本法」がなぜ、必要かお聞かせください。
松平:少子化対策が順調に行われている、ヨーロッパでは、年齢、
性別や障害等の差別を改善して、
女性の就労と子育て環境を整えて来ておりました。
そして子育てを次世代育成のための社会全体の問題として捉え、
母子保健から医療まで広くその権利を保障してきた経緯がございます。
さらに子どもを1人の人格を持った権利主体として認めるとともに、
良い環境で育てられる権利を保障してきました。
残念ながら、わが国では急激な少子化のために社会的施策が立ち遅れ、
女性が産みにくく育てにくい社会環境を作ってしまいました。
このような社会環境を改善するために
「成育基本法」が検討されております。
松平:少子化というのは大変な問題です。
少子化を克服しないと国自体が滅びてしまうということもあります。
古代ローマ帝国が滅びたのも、
少子化対策が出来なかったからなんですね。
淵澤:そうなんですね。
松平:今後、日本は急激な少子化になります。高齢化にもなります。
少子高齢化の社会です。こういう国がどういった対処法を用いるべきか
今の人類では明確には、されていません。
日本が初めてなので、ぜひ頑張ってほしいです。