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日本ダウン症学会理事長の玉井浩先生。「胎児検査」について

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11月29日(日)の放送では日本ダウン症学会理事長の玉井浩先生に「ダウン症」についてお伺いしました。

自見   玉井先生のお子さん(三女 みほさん)もダウン症のため、
               育児について、取材を受ける機会も多いそうですね。

玉井  赤ちゃんの頃は、
                筋力が弱くて哺乳するのも弱々しく、妻は母乳を絞って、
                スポイトであげていたこともあります。
      また、手術も何度か受けまして、
       よく入院してましたので、子育てというより、
      毎日夫婦で分担して奮闘していたというところが実際ですね。
    
    よく家族会などで講演を依頼されますが、
    医師でもあり、親でもあるので、
    とくに父親としての気持ちを喋って欲しいと言われたりしますが
    そんなに褒められた父親ではなくて(笑)

    家族の中だけで生きているわけではなく、
    社会の中でも生きているわけですから、
    家族以外の人とも気持ちよく暮らせるように、
    決まりを守れるように育てましょうと、
    よくみなさんにお伝えしています。

自見  みほさんは、2年前には成人式を迎えられて、
    奥様が着ていた振袖をおめしになったそうですね

玉井  そうなんです。おめかしするのが好きなようで、
    とても嬉しそうにしていました。妻が20歳の成人式の時に着ていたも
    ので、私たち親の方が嬉しかったです。

自見  みほさんの存在は、他のご兄弟の生き方にも「いい影響」を与えたと
    玉井先生はお考えだそうですね。

玉井  そうですね。みほは4人兄弟の末っ子です。
    小さい頃はよく入院したりしていましたので、
    兄弟には留守番をお願いすることが多かったです。
    いつも申し訳ないなと、思っていましたが、
    逆にとても我慢強い子に育っていましたし、
    みほが20歳になった時に、すぐ上の姉が書いた手紙がありまして。
    文章の最後「私はいいお姉ちゃんだったかな?」とありました。
    私たち親は子供たちにいつも我慢させていると思っていたんですが、
    兄弟は兄弟として出来ることを精一杯やっているんだと思いまして
    なんだかうれしくなりました。

淵澤  ダウン症に関してよく取り上げられる話題として
    「胎児検査」があります。
    専門家のお立場から、どのようにお考えですか?

玉井  超音波検査の進歩によりまして
    かなりのことがわかるようになってきています。

    今回、話題になっているのは、妊娠中に母体血液中には胎児由来の
    DNAがわずかに混入していて、その微量なDNAを解析することで、
    胎児の遺伝子情報を知ろうという技術です。

    母親の血液でわかるという簡便さから、
    安易に検査を実施されることが懸念されてきました。
    やはり不安を持つ妊婦が多く、
    十分なカウンセリングを受けずに染色体異常と診断され、
    不安のあまり中絶に至るケースが多いときいています。

    現在、厚労省でもその出生前検査のあり方について、
    まさに議論が開始されたところなんです。

    中絶という命の選別につながるということで問題視されていますが、
    その不安になる理由は、ダウン症の名前は聞いたことがあっても、
    実際、見たことがなく、どのような暮らしをしているか、
    一般の方は知らないことばかりだからです。
   
    病院で知らされるのは、合併症など病気のことばかりで、
    いわゆる育てるのが大変ですよ、
    などのネガティブな情報しか聞かされません。

    暮らしの実態、どんな教育が受けられるのか、仕事はできるのか、
    コミュニケーションはとれるのか。
    など、一緒に暮らせばすぐにわかることが、
    知らないことで不安の材料になっています。

自見  知ってもらうということが大事ですよね。

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