11月22日(日)の放送では日本ダウン症学会理事長の玉井浩先生に「ダウン症」についてお伺いしました。
自見 改めて「ダウン症」とは、どのような症状か、お聞かせください。
玉井 ダウン症は染色体の異常でおこります。
普通、人の染色体は44本の常染色体(22対)と
2本の性染色体(1対)の合計46本で構成されています。
そのうち、21番染色体が1本余分にある。
あるいは一部が余分に存在することで色々な合併症が生じたりします。
以前は800人~1000人に1人と言われていましたが
現在は高齢出産も増えていることもありまして
500人~600人に1人と言われています。
淵沢 「ダウン症」という名前の由来は?
玉井 19世紀後半にイギリスのランドン・ダウン先生が特徴的な顔つきと、
知的障害を示す、疾患概念を報告。
その後20世紀になって染色体異常であることがわかりました。
報告者にちなんで、ダウン症と名付けられたわけです。
淵沢 「ダウン症の治療」は進歩しているんですか?
玉井 ダウン症そのものを治療することはできませんが、
その合併症に対する治療法は年々進歩しています。
例えば昔は心臓手術もしてもらえなかった時代もありましたが、
今は手術技術の進歩や麻酔の進歩もあって、
手術成績は向上しています。そのほか、薬物の進歩も挙げられます。
以前はRSウイルスという特殊なウイルスの肺炎も重篤化すると
言われていましたが、今は抗体薬ができ、
それを定期的に注射することで予防できるようになり
死亡率は低下しています。こういった合併症の治療が進み、
検診を行なっていくことで、
現在寿命は60歳くらいになってきていると、言われています。
ちなみに50~60年前の寿命は、2歳3歳だったと言われています。
その頃は手術をされなかったので
新生児期の死亡が多かったわけです。
この50~60年で飛躍的に寿命がのびているわけです。
と、いうことは昔の教科書には「ダウン症」の成人の治療や状況は
ほとんど書かれていないわけです。
成人の暮らしや、どのように治療するのか、あるいは
どのような場所で生活すると幸せに過ごすことができるのか、
といったことをまさにこれから研究していかなくてはいけません。
そういった意味で「日本ダウン症学会」を
設立した意義はあると思います。