• Facebook
  • Twitter
  • LINE

スペシャル対談 国立成育医療研究センター理事長 五十嵐隆先生③

  • LINEで送る

<もみじの家>

自見)「国立成育医療研究センターでは、
    新しい事業をはじめられていますね。
    どういった取り組みでしょうか?」

五十嵐「昨年の4月から子どもと家族に必要な
    短期滞在ケア施設である“もみじの家”を開始しました。  
    これは在宅医療を受けている重い病気を
    持つ患者さんを数日間お預かりし、御自宅で行っている医療的
    ケアを行うだけでなく、患者さんに豊かな遊びや学びを提供し     
    子どもと御家族が安心して過ごせる「家」を目指して活動して
    います。日中だけお預かりするという施設はありますが、        
    数日間となると非常に少なくて、東日本では、この「もみじの
    家」だけです。大変好評で、夏などはお断りせざる得ない状況
    なっております。なんとか拡大したいんですが、経済的な問題
    がネックになっていまして思ったようにはいかないというの
    が、現状です」

自見)「五十嵐先生が理念を掲げて下さっておりますけど、
    こういった施設で、親子ともに健やかに育つと言う事が、
    私たちの目指したいところですね」

<IRUD-P事業>

自見)「成育医療研究センターでは“難病克服のプロジェクト”も
    五十嵐先生が主導されていると、伺いました。
    どのようなプロジェクトなんですか?」

五十嵐「現在多くの先進諸国では国をあげて
    遺伝性疾患の原因究明のための体制を整備しています。
    我が国でも、日本医療研究開発機構が難治性疾患実用化研究
    事業の一つとして、未診断疾患イニシアチブ事業(IRUD) を
    開始しました。その子供版がIRUD-Pです。IRUD-P事業は、
    国立成育医療研究センターと慶應義塾大学が拠点となって、
    原因不明の遺伝子の異常によると推定される患者さんを対象
    に、3年前から開始されました。
    患者さんの詳しい病歴と患者さんと御家族の遺伝子を集め、
    次世代シークエンサーを用いて原因遺伝子を解明しようと
    する研究が行われ、成果が出始めています。」

自見)「これまでに、どんな疾患の遺伝を解明されたのでしょうか?」

五十嵐「これまでに原因不明の小児の遺伝性疾患の797家系を
    解析しました。その結果、最近数年間に原因遺伝子が
    明らかにされた遺伝子異常を中心に、
    256家系に原因となる遺伝子検出しました。
    臨床的には診断がつかなかった患者さんの32%が、
    この研究で診断がついたことになります。
    さらに、これまで知られていなかった新たな原因遺伝子を
    12家系に同定しました。つまり、これまで原因が不明であった
    12種類の病気の原因が明らかになりました」

自見)「これだけ短期間で、これだけの原因遺伝子が解るというのは

    世界的にも例がないかと思います。また患者さんだけの遺伝子
    の検査だけではなく、親御さんを含めた、
    ご家族の遺伝子も同意を頂いて研究している
    というところも、非常に意義が深いところだと思います」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニッポン放送の番組一覧

他の番組を見る >