• Facebook
  • Twitter
  • LINE

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバーで、川崎市健康安全研究所・所長の岡部信彦さん。研修医時代に出会った「はしかの少女」が僕にとっての先生みたいな患者さん。

  • LINEで送る

8月30日(日)の放送では政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバーで、川崎市健康安全研究所・所長の岡部信彦さんに「小児科医時代のお話」をお伺いしました。

淵澤   岡部さんは実は最初は小児科のお医者さんだったんですよね。

岡部  小児科医として患者さんを診ていた期間が非常に長く、
    その中で、だんだん感染症を専門にするようになりました。

淵澤  岡部さんのご実家は三代続く、小児科医だそうですね。
    
岡部  祖父が東京で戦前、小児科医として開業していたそうです。
    父親も小児科医。
    まあ三代で潰すなんて言われていたんですが
    結局、小児科医になってよかったです。

淵澤  小児科医を選ばれた理由は?

岡部  子供が好きで。子供が遊んでいるのを見ているのも好きで。
    当時内科は消化器内科、心臓内科、循環器内科と分かれていました。
    小児科も専門はありますがトータルで診るんです。
    子供の全体を診る面白さが小児科医の特徴でしたね。
    
淵澤  研修医時代に忘れられない
    「はしかの少女」とのエピソードがあるとか?
   
岡部  僕にとって先生みたいな患者さんでした。
    研修医時代にピアノが弾けなくなったという言葉だけで来たんです。
    そのうちに「ガク」と膝を折るようになって。そして意識を失って。
    当時、その病気はあまり知られていなかったんですが。
    それは「はしか」という病気に数年前かかって消えたウイルスが
    頭の中に残って悪さをするというものなんです。
    「はしか」の患者さんの10万人に1人ぐらい。
    まあ合併症ですよね。後遺症。
    これは「はしか」をなんとかしないといけないと。
    ちょうど予防接種が普及し始めた頃で。僕の中で「予防接種」が
    重要なテーマになったきっかけの出来事です。
    はしか対策をやりたいと思ったのは、その子のおかげです。

淵澤  この番組では子供の頃、
    出会った1冊の本についてお伺いしています。

岡部  僕は割と本好きの子供でした。
    本ではないんですが「言葉」をご紹介します。
    私が小学校を卒業する時に、担任が
   「君たちに二つの言葉を教えるから、忘れるなよ」と言ったんです。

    その一つは「我事に於いて後悔せず」。
    これは宮本武蔵が言った言葉だそうです。
    やると決めたらちゃんとやれと。
    後悔しないように十分考えてという意味。

    もう一つは
    「涙なくして夕べのパンを焼く人よ、御身は語るに足らず」。
    これはゲーテの言葉なんだそうですけれども、
    一日やったことは反省する。
    一日のうちには、多くのやり損ねたことやよくないことがあって。
    ちゃんと涙を流すように反省しながら、
    でもそれを翌日に生かすんだと。

    なんでもかんでもバチンとやれという言葉と
    反省しろという言葉。両方の言葉をその先生は教えてくれました。
    その言葉、今でもチラチラ思い出しますね。

ニッポン放送の番組一覧

他の番組を見る >