12月22日(日)の放送では教育研究者の山崎聡一郎さんに『こども六法』の原型を作ったきっかけについて、お伺いしました。
淵澤 現在30万部突破の話題の本、子供向けの法律書『こども六法』の
著者山崎聡一郎さん。前回は小学校時代に受けたイジメが
『こども六法』をつくられたきっかけというお話をお伺いしました。
実は中学時代、イジメの被害者から今度は加害者になって
しまったそうですね。
山崎 自分が立ち上げた囲碁部に、仲の良かった後輩が入ってきたんです。
少し揉め事があって、その彼が部活に来なくなったんです。
秩序が壊れたので部員全員、その後輩も含めて話し合いをすることに
したんです。その話し合いは僕が主導したんですが、
最終的にその彼を退部させるという結論になったんです。それが
大人数でひとりを追い詰めたイジメと同じだろうと指導されました。
僕はイジメの辛さも知っているので、加害者にはならないと
思っていました。イジメの被害者になったこともそうですが、
加害者になったことが大変ショックでした。
淵澤 自分ではイジメている気持ちはなかったんですものね。
山崎 むしろ自分が部長をやっていた部の秩序を乱されたという意味では
自分は被害者だとも感じていました。
淵澤 同じ現象でも受け手によって違いますものね。
その後、山崎さんは慶應大学の総合政策学部に進まれ「法教育を通じた
いじめ問題解決」をテーマに研究活動をスタートされました。
山崎 中学時代の経験から、加害者が自分のしていることがイジメと気づいて
その行為をやめるということは、かなり難しいんじゃないかと思って。
それだったら「法の知識」を被害者に与えて
被害者が「助けてくれ」と言えるようにすれば
助かる被害者は増えるのではないかと思いました。
中学の部活の時も、結局は被害者が先生に相談したことで
イジメが発覚したわけですから、被害者がSOSをわかりやすく出せる
仕組みをどういう風に作っていこうかと選んだ研究テーマでした。
淵澤 研究奨励金を受けて『こども六法』の原型を作られたそうですね。
山崎 誰でも読める六法ってありそうで、なかったんですね。
シンプルな発想なんですが、それを作る必要があるんじゃないかと
いうのを研究の中で感じ、作ったのがはじまりでした。
