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冨田洋之さんが指導者としても大事にしている言葉

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ゲストは、
アテネオリンピックの体操男子団体金メダリスト
冨田洋之さんです
 

 
 


今回は、冨田洋之さん
『相棒』=「こだわりの用具」に迫りたいと思います。
 
 

 
選手時代になるんですけど、プロテクターと言われているものですね。
これがないと体操選手は何もできないっていうぐらい大事なものですね。

 

-冨田さんに限らず大事なもの?

限らずですね。全然演技にならないです。
鉄棒と吊り輪の時に手のひらに装着するものですね。
革を手のひらにつけて、芯のようなものがあるんで、
それを吊り輪に引っ掛けるようなものですね。

 

-素人がつけるプロテクターとあまり変わらない?

素材的にはあまり変わらないと思います。
大きさとか形状は少し変わってきますけど、
後は私なんか独自で改造をして使用してましたね。
鉄棒なんかだと、指三本を穴の方に入れるんですけど、
真ん中の穴は切り抜いて改造したりとか。
芯になる部分を改造したりとかしてましたね。

 

-試合用・練習用もある?

基本的には全部一緒ですね。

 

 

-試合中切れたら演技中断になる?

今のルールだと切れたっていうことが証明できれば、
もう一度演技を最初からできるようになったので、
そのためにも予備が必要ですね。
プロテクターの不具合だったので、
また一からやり直してもいいよってルールになってますね。
私の頃は切れたら自分の責任だったんで。
やり直しは効かないので。恐ろしいですね。

 

 

-プロテクター以外のこだわりは?

あん馬とかのリストなんかも、自分に合ったものを使ってたので。
しっかりと固定するものと、
柔らかくするものを二重にしてやってましたね。自分で巻きます。
自分の感覚と巻き具合ってのが大事になるんで。
自分じゃなきゃわからないですね。
ちょっとズれただけですごく違和感が出てくるんで。

 

-怪我は?

突発的な怪我っていうのは私は少なかったので、
慢性的な疲労で、肩が痛くなるとか腰が痛くなるって言うのはもう日常茶飯時でしたね。
一度、中学生の時に突き指のようなことをして、
指の靭帯が切れて手術をしたんですけど、これがどうしてもショックで。
こんな思いをしたくないって。
あん馬で持ち損ねて指に全体重がかかったって。
それからは慎重に慎重を重ねて。
ちょっとでもマットの隙間が開いてるようなら「ちょっと詰めて」とか。
慎重になるようになりましたね。
自分の中で慣れてくると恐怖感がなくなって
なんとなく技をこなしがちなんですけど、そういう時が一番怖いので。
絶対に油断したら駄目だっていう感じで常に練習は取り組んでましたね。

 

 

リクエスト曲は?

 それが大事 / 大事MANブラザーズバンド  

ちょうど中学校、高校ぐらいの時に聞いてた曲で、
ストレートな歌詞で「それが大事」というので、
いろんなフレーズがあるんですけど、
それを聞いて「そうだな」って納得する部分もありますし、
それにプラスして自分の中で落とし込んで、
大事なものってなんだろうなって考えてた時期に聞いてた曲です

 


そんな冨田洋之さんに金子がより突っ込んで聞いていくコーナー!

『金子の深堀り!』

   

海外で開催されるオリンピックの場合、自身が参加している競技以外、
日本人選手の競技をあんまり見る機会が無い
と思いますが、今回は?

そうですね。
参加してる場合は特に、見れないですね。
今回はリアルタイムでテレビで全部見てましたね。
やっぱり印象に残ったのはソフトボールの上野投手ですかね。
選手として世代的にも近いですし、
まだ現役としてやってるって言う凄さもありますけど、
後輩を育てながらプレーしていて、
監督的な役割も果たしてるなーっていうのがすごいなーって感じましたね。
ビックリですね。

 

-次のオリンピックまで3年ですが?

橋本なり、北園なりっていう若い選手が活躍したので、
3年後どういう姿を見せてくれるかっていうことは、
日本中が期待してるんで。
重圧と期待が入り混じるような大会になるかなと思いますね。

 

-金メダルを取るためには?

なかなか難しいんですけど、
体操競技がオリンピック後にルールがちょっと変わるんですよね。
なので、まずそのルールに対応しないといけない
っていうところがあって。
普段だと4年かけていけるんですけど、
今回は3年しかないっていうところで、
いち早くそのルールに対応した者が
金メダルに近づくという形になると思いますね。

 

-前回のリオから今回の東京までの間にどんなルールの改正があったんですか?

細かい所が凄くあるんですけど、
どっちかっていうと日本選手にとって有利に働いた部分があるかな。
減点箇所の鮮明化っていうところが一番あるかなという。
膝が曲がれば0.3しますよとか、
ひねり不足があると減点されるっていうところがすごく明確になって。
0.1~0.3ぐらいまであって。
日本はどちらかと言うと正確に演技をする方なので、
その減点箇所を極限まで減らすことができて、
逆にダイナミックでパワフルな演技をする人は、
普段は見過ごされていたような演技もしっかりと減点されるようになっていたので、
その対応はしないといけなかったっていうところですね。

 

-ここからパリ大会までにどんなルール変更がありそう?

私もルールに携わってる側なので。
まあいろんなバリエーションが必要になる。
鉄棒では色んな離れ技があるんですけど、
得意とする離れ技の動きが選手にとってあるんです。
2回宙返りして持つ技が得意な人がいれば、
それにひねりを加えてバリエーションを使えるようになってたんですけど。
それに制限がかかって。
例えば、回転系の技だったら二つ。切り返し系の技。
また違った動きをする技も組み入れて演技構成をしないといけないと、
そんなルールになってくるので。
自分の不得意としてる動きを攻略していかないと、
演技勝ち点は高められないようなルールになってますね。
大変ですね、色んな動きを習得していかないといけなくなってきますね。

 

-ウルトラ Cというのがすごい技だった時代から、
ウルトラはどこまで行くんですか?

現段階でもI難度まで。全然比べ物にならないですね。
選手が発表すれば今後も出てきますね。
特に今は新しい技をしたら、
すぐその選手の名前をつけようっていう取り組みになってるんで。
選手たちはもう名を残したいっていう選手もいるんで、
色んな技に挑戦したりしますね。
オリンピックで金メダルを取ると同じぐらい欲しいものでもありますね。
なかなか難しいですけどね。

 

-冨田という技は?

それがないんですよね。心残りですね。

 

-日本人で残ってる技は?

数えたことはないですが、近年だと白井選手が6つぐらい作ったので。
体操選手が使う難度表なんかも、
全部「シライ」「シライ2」とかいう形でのってますんで。

 

-素材の変化でこれから先、技の進化はある?

床が一番変わりましたね。
形状的に見てパッとわかるのは跳馬です。
昔は長細いあん馬のような形をしてたんですけど、
男子を縦において女子は横向きにおいて。
それが手をつく場所があまりにも限られる。
危険が伴う技が出てきたして、
安全を考慮して今はテーブルのような形で広い形になってきてるんで。
より安全に難しい技にチャレンジできるような状況になってますね。

 

-逆に一番変わってないのは?

吊り輪ですかね。鉄棒はしなり方が変わってますね。
素材とかワイヤーが1本でやってたりしたのを2本でやってるので、
より高さが出せるような。やりやすくはなってますね。
ただ、その分、すごく動きが出るようになってきたんで
それを制御するのは難しくなってると思います。
中は空洞になっていてワイヤーが通ってるんですけど、
あれも折れることがあるんですよ。
折れてもワイヤーがつながって最悪の事態は免れるようなことにはなってます。

 

-冨田さんが一番好きなのは?

私は鉄棒が好きでしたね。
鉄棒でいろんな技をやるときに、
他の種目より快感を得ることが多かったですね。

 


冨田洋之さんが今でも忘れられない言葉、大きなチカラになった言葉とは?
 

「感覚」

スポーツをやってる中で出てくるのが「感覚」になって来ると思うので、
指導する中でもそうですし、
選手の感覚をいかに引き出すかっていうのを大事にしてますね。
自分自身で取り組んでたときも、映像だけに頼るんじゃなくて、
自分の感覚はどう受け取ったのかというところも踏まえて、
映像と照らし合わせてたりするんで。
その感覚はこれからも大事にしていきたいなと思いますね。
見えないものをどんどん色んな試行錯誤しながら
手繰り寄せていくってのが結構好きですね。
凝り性なのかもしれない。

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