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岩渕健輔ヘッドコーチが高校時代にコーチから言われた大事な言葉

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今週のゲストは、ラグビー7人制男子日本代表

岩渕健輔ヘッドコーチです。

  


今回は、岩渕健輔ヘッドコーチ
『相棒』=「こだわりの用具」に迫りたいと思います。

―何を持ちいただいたのでしょうか?


 

 
パソコンと携帯電話です。

 

パソコンにこだわりは?

こだわりというよりは、
自分にとっての一つのターニングポイントが
イギリスに行ったことなんですけど、
その頃をよくよく思い返してみると
その頃からノートパソコンが主流になって、
インターネットが出てきて、
だけどWi-Fiがなくて携帯がその頃ちょうど出始めた頃なんです。
イギリスに行った当時、
いろんなチームに自分自身を売り込まなきゃいけなかったんです。
映像を作ったりするのも自分でやったわけですよ。
それでデータを送るのも、
当時は色んな国に遠征に行ったりした時も赤外線でやったんです。
すぐ切れちゃうんですけど。
選手としてもそうだし、仕事をするにあたってもこの二つがないと、
プロの選手にもなれなかったし、
今の仕事にもつけなかったなって。
パソコンと携帯がなかったら今の自分ないなっていう風に思います。

 

-パソコンに求めるものは?

バッテリーですね(笑)

 

-今お使いなのは?

ヘッドコーチとして映像みたりとかするケースが多いので、
今は Mac を使ってます。
Macがいいというよりは、
使ってるソフトがMacに対応してるっていう事ですね。

 

– iPadも使ってる?

使ってますね。昔れで見ることもできませんでしたし。
それこそコーチをやってる時なんかは、
大会が終わって、選手は解散するわけですよね。
その時に、試合映像を見てもらって次に活かしてもらいたいので、
帰るまでに選手に映像を渡したいわけです。
今だったらクラウドにあげて、
選手が自分の手元の携帯電話でパッと見れますけど、
10年ぐらい前の当時はそういうことはできなかったので。
試合が終わったらパソコンの中からDVDを1枚ずつ焼いて。
それを考えてもパソコンにはお世話になったなって思いますよね。

 

-選手時代のギアのこだわりは?

選手としてもパソコンです。
当時から割と映像を分析したりするのがすごく好きだったんです。
青春時代は、1999年にW杯に出た時に、
当時はまだ映像分析って全然進んでなかったんです。
日本のラグビー界はもちろん世界のラグビーも。
当時の日本代表は、平尾さんがヘッドコーチで、
そういった映像分析をすごく一生懸命されたんです。
世界でも一番早いって言っても過言じゃないぐらい早かったと思います。
私が2000年に、プロのチームに入ったんですけど、
プロのチームよりもそこの部分は日本代表の方が進んでましたから。
その頃、私も選手として、日本代表のスタッフから
プレーを集めていただいて分析をしてもらったんですよ。
それから自分もパソコンに興味を持って。
そういうのを自分で一生懸命やるようになって。
プロに行く時には結局自分のプレーを見てもらわなきゃいけないので、
プレー集みたいなのを作ったりとか。
当時そういう活動ってのは、どうするかもわからなかったので、
例えばF1とかに乗ってる選手を紹介してもらって、
その選手がどうやって売り込んでるのかお聞きしたら
パワポとか使って売り込んでると。
今から20年前なので、今は当たり前だと思うんですけど、
まだまだそんな状況じゃなかったので。
だから選手としてもパソコンを持って、売り込んだりとかするっていうのは、
そういった他のスポーツの選手達の影響すごく受けましたね。

 

 

リクエスト曲は?

 Truly Madly Deeply  / Savage Garden 

 

代表チームに入ったのが、大学2年の頃なんですけど。
大学3年ぐらいになった時に
オーストラリアに遠征をしたことがあって。
その当時、2年3年ぐらいから先のことを悩んでいた時に
この曲がものすごくかかっていて。
オーストラリアで合宿をしながら、
海外に漠然と興味があったので。
いろんな街を歩いたりとかしてる時に
どこの店に行ってもこの曲が流れてたんです。
すごく店の情景とかも
20年以上前ですけどまだ頭に浮かぶぐらい、印象深い曲です。

 


そんな岩渕健輔ヘッドコーチに金子がより突っ込んで聞いていくコーナー!

『金子の深堀り!』

   

現役時代から7人制にこだわりを持たれてるわけじゃないですか。なぜ?

 

元々、非常に固いスポーツというか、
騒ぎながら応援したりするようなスポーツじゃないし、
子供の頃はそういう風に言われもしてました。
競技場の雰囲気でもそうだったと思います。
1980年代に香港に行きまして、
7人制の最も大きい「香港セブンズ」という大会を見たんですけど、
そこにあったのが全く違うラグビーだったんですよね。
もう本当にお祭り。
極端な言い方すると、お客さんは誰もラグビーは見てないと。
そのぐらい勝手に騒いでいるような状況で。
自分が日本で見てるラグビーとは全く違う。
こういうのを見たらやっぱ楽しいし。選手も楽しいし。
お客様も楽しいし、みんな楽しいんじゃないかなって思ったんですね。
それがリオのオリンピックから、7人制が入りまして。
ラグビーがより多くの国で、
より多くの人たちに見てもらえる、
一つのきっかけになるのは7人制じゃないかなって強く思っています。

 

-7人制が力をつけていくことは、15人制に繋がるんですか?

はい繋がると思います。例えば日本代表のレベルでいえば、
2016年リオオリンピックに出た選手が
2019年のワールドカップですごく活躍をしましたし、
そういう意味では7人制から15人制、
両方とってすごくプラスな部分があると思います。

 

-例えばにわかファンであれば
松島くんあたりに7
人制にも出て欲しいとか思っちゃうんですけれど、これは難しい?

 

皆さんが思われる通り、15人制で特に走力の高い選手ってのは
7人制にも向いてますので、大きなチャンスがあると思います。
15人と7人制、両方やる難しさは単純に競技の違いとか色々あるんですが、
それよりも一年間が52週間しかなくて。
15人制のシーズンと7人制のシーズンを
選手が両立させていのは難しいというのが一番の理由ですね。
私がやってた頃はもう随分前で。
どちらかと言うと15人制のないシーズンの時に
7人制をやるっていう状況でした。
今は7人制もワールドシリーズと言いまして、
世界中で10カ国で6〜7ヶ月間かけて開催していくんですよね。
そういう意味では、1年間しっかりやらないとできないスポーツになってきてるので、
物理的な意味で難しくなってきてます。

 

-他のスポーツからの転向は?

十分チャンスがあると思います。
女子の方はリオ五輪の時に代表で行った選手たちの1/4は他の競技から。
大人になってから初めて代表選手になった選手がいます。
男子は今のところそんなにいないんですけど。
世界に目を向けるとアメリカの場合は100mのスプリンターで、
オリンピックには出れない10秒3とかの選手たちが、
実際に入ってきて代表選手として世界の舞台で活躍をしています。

 

日本でも今後そういうことはある?
 
はい。
ヘッドコーチとして、あるいはラグビー協会としては
そういう選手たちには是非とも挑戦して欲しいと思いますし。
それは男子とか女子とか限らずですね、
いろんな能力のある選手たちが入ってくることで、
相乗効果でチームのレベルも上がると思ってます。
よく日本の選手にとって7人制は有利じゃないかっていう議論が結構出てきて。
それは日本の選手は俊敏だからっていうんですけど、
一方で俊敏なだけじゃなくて、ぶつかることもあるし、走ることもあるし。
それから100m
一回だけだったらいいんですけど、
何度も続けるので。そういう意味では、
アスリートとしての総合的な力はかなり必要とされます。

 

-15人制よりも身体能力が問われる

例えば男子の世界ではケニアが強いんですよね。
15人制は全然強くないんです。
ワールドカップにも出たことないですし。
7人制ではワールドシリーズという世界大会で優勝したこともあるんです。
ニュージーランドとかに勝って。
なんとなくのイメージとして日本のマラソン選手のような
すらっとした選手を想像されると思うんですけど、
体の大きい人がたくさんいるんですよね。
190cm、100kgぐらいで100mを10秒台で走る人がたくさんいるんです。
ラグビーという競技を15人制をやらせるとそうでもないんですけど、
7人制だと強いんですよね。

 

-ラグビー協会としては競技人口を増やすためにどう考えてますか?

少年・少女のラグビー人口っていうのは、
この先10年20年後あるいは50年後に大きく繋がるので、
すごく大切なものとして捉えています。
幸いです、2019年のワールドカップを見て
小・中学校、このくらいの年齢層の競技人口は増えています。
なのでここをまず確実にもっともっと増やしていく。
そしてそれがその先に繋がるように、
今では特にラグビーは人数が多くなきゃできないとか。
あるいはタックルに対して抵抗があるとかっていうのもありますので。
特に小学校は、タグラグビーをやってもらって
すごく競技人口が増えてるんですけど、
中学校に入った時に中学校に部活がないとか。
中学校でやる場所がないとかっていうのが多いので。
そこのあたりを働きかけて
いろんな場所でプレーができるような環境を整えるようにしています。

 


岩渕健輔ヘッドコーチが今でも忘れられない言葉、大きなチカラになった言葉とは?
 

「いつでも誰かが見ていると思って、恥ずかしくないプレー、振る舞いをしなさい」

高校の時、中学校から見てもらってるコーチが、
私が高校3年の時とか大学1年の時に、
こういう言葉を盛んに言われるようになったんですね。
その頃は全くそんな事も思ってなかったんですけど、
というのはあまりラグビーが強い学校でもなかったですし、
日本代表になるのも、もちろん一人のラグビー選手としては
漠然とした憧れはあっても、強烈な思いがあったわけではなかったんですね。
ある時、めちゃくちゃ怒られたんです。
そんな気の抜けてるプレーをするんじゃないと。
だけど自分でした全然そんなつもりはなくて。
いつものように懸命にプレーをしていたつもりだったんですけど。
ある時突然そういうこと言われまして、腑に落ちなかったんです。
なんでそんなことを急に言うんだろうと。
あまり堅苦しい事を言うコーチでもなかったし、
どっちかっていうと、ラグビーの楽しさをすごく追求して。
すごくいつもいつも前向きなことを言う方だったんです。
だけど大学2年生の時に急に日本代表に選ばれたんですね。
そういう事が急に起こった時に、やっぱり本当に自分がプレーをすることとか、
そういうことは、どこかで誰かが見てくれて、
いつか誰かに選んでもらえることがあるのかなって急に思って。
それから自分がいろんな場所に行って、
色んな所でラグビーをさせてもらいましたけど。
この言葉は強烈に残っているし。
逆に今、指導者として日本代表の選手を指導させてもらう立場にで、
今、非常に社会的にも難しい状況ですけれども、
選手である前に一人の人間として、
社会に対して色々出来る事をしていかなきゃいけないし。
自分たちがプレーすることの意味は、今の代表選手たちと考えてるんですけど。
そういうことを高校・大学で言われた事のは
指導者となった自分としても、強く影響を受けています。

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