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右代啓祐選手がまさかの失敗の際に国士舘大学の監督から言われた言葉

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今週のゲストは、
陸上の十種競技で

3大会連続のオリンピック出場を目指す
右代啓祐選手です。 


 

  


今回は、
右代啓祐選手の『相棒』=「こだわりの用具」に迫りたいと思います。


たくさんのシューズに囲まれた写真ですね。

10足近くは試合に持っていくんですけど、
よーく見ると形状がそれぞれの種目によって違って、
100mのスパイクだったら結構軽量化されてて、
紐の部分だったりとか結構くりぬかれてる。
それこそアッパーの素材がかなり軽量化されてるんですけど、
逆にやり投げのスパイクは、
右利きの場合は左足が前で右足が後ろみたいな形で、
左足の部分がハイカットになってて、
右足の部分は普通の靴と同じような形。
左右非対称みたいなスパイクもあったりします。

 

-400mと1500mも違いますか?

違います。
1500mはもっと軽い、柔らかいソールのスパイクを使ってます。

 

-メーカーはずっとミズノ?

大学からずっとミズノさんにお世話になってます。
高校の時は自分で買ったりもしてたんで、ミックスでした。
アシックス、ミズノ、ナイキみたいな。もう安いのを買うという。
十種競技は、とにかくスパイクがいっぱい必要なので、
履きたいシューズよりも安いスパイクを探しに行くみたいな。

 

-十種競技でスパイクのサイクルが短いのは何の競技?

やっぱり短距離のスパイクですね。
新品のスパイクの反発はめちゃめちゃいいんですけど、
2、3回使うと、ちょっとヘタってくるんですよね。
見た目は分からないぐらいのヘタリなんですけど、
やっぱりちょっと反発が履き始めの時の反発が弱くなっていたりとか。

 

-大会の本番は新品のスパイクで臨む?

新品にほぼ近いやつですね。
僕は前日にスパイク履いたりとか、
当日に新品履いたりするタイプです。
みんな慣らしたりしますけどね。
もう自分の足の形で作ってるので、
そんなに慣らさなくても、僕の場合はってことですけどね。

 

-世界の十種競技の選手も足型をとってもらって作ってる?

意外に国産のスパイクぐらいですね。
職人さんと話して、「1mm厚くしてください」とか、
「小指の第一関節のところにかけてマジックテープを…」
みたいなカスタマイズはできないみたいです。
道具にこだわるのは日本人のいいところですよね。
やっぱり体格差だったり、骨格で勝てない部分って出てくると思うんですよ。
そこは認めたくないんだけど、
やっぱりそういうのはあるなっていうのは僕自身は感じてるので。

 

-196cmの右代選手でも体格差のハンデは感じる?

やっぱ身長は同じでも、関節がデカイんですよ。
肩の関節とか肘の関節とか、手の大きさとか。
同じ身長なのに僕よりも、数十センチ大きい人と一緒にいる感じなんですね。
握手したりとかしても。
関節がでかいからパワーが強いっていうデータがあるのかわかんないけど。
僕自身はそこの体格差っていうものをコツコツ技を磨くとか、
道具を大事にすると言うか、
こだわり抜くみたいな部分は日本人の素晴らしいとこかなって思ってます。

 

リクエスト曲は?

 オーバー・ザ・オーバー / 竹原ピストル 

同級生のお父さん、お母さんと
仲良く食事したりとか遊んだりするんですけど、
そのお父さんが僕に贈ってくれた曲なんですよね、
「右代くんにすごく合った曲だから贈るよ」
みたいな感じでいただいて。聴いたらめちゃめちゃ心に刺さって。
練習とか試合前に必ず聴く曲です。
これを聞いてイメージして試合に臨みます。
終わった後に「ちゃんと自分は自分を超えることをできたかな?」って
反省しながらこの曲を聴きます。

 


そんな右代啓祐選手に金子がより突っ込んで聞いていくコーナー!

『金子の深堀り!』

   

東京オリンピック出場は簡単なことではないですよね?

そうですね。今は世界ランキングが25位なんですよね。
出られる枠っていうのが24枠しかなくて、
今はみ出ちゃってるんですけど。
順位を上げなきゃいけないっていうところなんですけども、
無条件で出られる参加標準が、8350点。
この点数は僕の日本記録8308点の自己ベストよりも上の記録です。

 

-その42点を詰めるには、何をどれくらい縮めなければいけないのでしょうか?

単純に足が速くなれば、余裕で…みたいな所はあるんですけど。
8350点を今狙ってるわけではなくて。
というのも8350点を取ってる選手は
世界のランキングでも10人いないぐらいなんですよ。
そっから下の人たちは記録プラス大会ポイントっていうのを
合算したものが順位に反映されてくんですけど。
その順位を上げるために、大きな大会で記録を出すのが一つ条件になりますね。
僕がこの順位を上げるためには8100点〜200点ぐらいの点数を、
日本選手権だったりとか海外の大きな試合があるんですけど、
そこで出せれば、ほぼほぼ10番以内に入るなみたいな所はあるんで、
出る大会のランクを見ながら、
どの大会で自分のピークを持ってくのかを考える必要があるんですね。
自分の記録を越えるのは、もちろん大切なんですけど、
オリンピックに出るために順位を上げるっていう事も必要なことで。
メダルを取るためには8350ぐらいは必要なので、
8400〜500ぐらい取れればメダルは確実に取るんですけど、
やっぱりそのまずは出るための順位を上げて、
メダルを取れますよっていう自信をつけるために、
それこそ5月の頭に鹿児島で試合があるんですけど、
そこでしっかりと8100点〜200点っていう順位が上げられるような点数を取って、
オリンピックでは声高らかに
「メダルを取ってきます!」って言えるように調整したいですね。

 

-命を削るような毎日が続くわけですね。

この前も、走りの最高速度を測定する実験をやってきたんですけど、
過去10年ぐらいずっとデータを取ってるんですが、
過去10年で最高速度が出たので。
進化してるというのを感じたので、めちゃめちゃやる気が出てます。

 

-大会がまだ不透明ですが、予定ではいつ頃ですか?

日本選手権が、6月2週目ぐらいなんですけど、
その後の理事会があって、そこで決まるので。
6月の中旬〜末ぐらいが代表発表ですね。
ギリギリ、オリンピックの始まる
一か月前ぐらいに分かるっていうところがあるので。

 

-代表決定で安堵するでしょうし、気持ちの持っていき方が難しそうですね。

それこそ、ロンドン、リオオリンピックの時に感じたのが、
いろんなところに引っ張りだこになるんですよ。
地元に帰ったりとか。
そういう忙しさっていうのはちょっと感じましたね。
ただコロナの影響もあるので、
なかなか地元に帰ったりって軽はずみな感覚ではいけないんで。
そこは難しいかもしれないけど、アスリートはこれから大変ですね。
陸上は特に。いろんなとこに呼ばれることが多いと思うので、
そこのコントロールは必要だと思うし。

 


右代啓祐選手が今でも忘れられない言葉、大きなチカラになった言葉とは?
 

「今日からがお前のスタートだ」

 

国士舘大学の監督の言葉ですね。
2009年の日本選手権で、当時めちゃめちゃ調子よくて、
1日目はダントツのベストを量産して。
トップと争えるぐらいの順位を維持してて、
二日目も良い状態で競技を進めてて。
棒高跳びの時に、トップに躍り出たんですよ。
円盤投げでトップを取って、総合順位が一番上になったんですね。
その瞬間、初の日本選手権の優勝、世界陸上の代表内定っていうのが、
頭にちらついたんですね。
「この棒高跳びを普通に飛べば、日本代表のユニフォーム着れるかも」と、
それが頭ん中で浮かんできちゃって。
そんな中、スタートするんですけど、3回連続で失敗してしまって、
記録なしになってしまったんですね。
今までそんなことしたことないし、気合いで飛べると思ってたのに、
それができなくて。
気づいたら先生の前で。「先生ダメでした」って言おうとしたら、
先生は僕に背を向けて
「今日はお前の試合、一つも悪いとこなかったと思うぞ。
今日からがお前おのスタートだからな」って
ボソって言って去っていったんですよ。
自分にヒントを与えてくれてる気がして、
「なんだろこの言葉」って思いながら、その後のやり投げ、
1500mを終えて、普通だったら自分のこの「記録なし」になったことを反省して、
じゃあ明日から練習どうやってやってくのかな?っていうことを考えるんですけど、
先生は「今日から」って言ったなって思って。
日本選手権終わった後なんて、みんなワイワイ飯食って、
打ち上げみたいな感じが普通なんですよ。
僕は、今日一歩踏み出す勇気を出して、
広島の町中を全力でダッシュを1時間ずっとし続けるっていう思い出があります。
そんぐらいぶっ飛んだことやらないと、先生の言った
「今日からがスタート」にはならないなと思って。
全身筋肉痛でボロボロなんですよ。十種競技なんで。
でも何かスタートするために先生は僕にかけてくれた言葉って
「自分を責めるな」みたいなことだったりだとか。
「後ろ向かないで前すすめ」みたいなことも含めての
「今日からがお前のスタートだ」って言う言葉だったと思うので
僕はそれを汲み取って、そこからですよ、
翌年の2010年から6回連続で日本選手権優勝して。
オリンピックに出たり、世界陸上に出たりっていう夢が叶っていったんで、
やっぱりその時かけてくれた言葉が最適な言葉というか。
自分がその時求めてた言葉ってその言葉だったと思うし。
人生を変えてくれた熱い言葉だと思って、今も大事にしてますね。

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