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藤川球児さんが迷いを断ち切るためグローブに刺繍した言葉

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今週のゲストは、
今シーズン限りで現役を引退された
元・阪神タイガース、藤川球児さんです。

 


今回は、
藤川球児さんの『相棒』=「こだわりの用具」に迫りたいと思います。

グローブなどではなくマットレス?

そうですね。僕たち移動が凄く多くて、
アメリカにも持っていったし。
2005年ぐらいってナイターの試合が多かったじゃないですか。
だから結構ぐっすり寝る時間があったんですけど、
今、週末はほとんどデーゲームなんで、寝る時間が難しいんですよね。
週の半分デーゲームってなるんで。
いかにすぐ寝られるかっていうのは結構重要で。
30超えてから特に30前ぐらいから、寝違え起こしたりとか、
ぎっくり腰になったりとかっていうのが出てきて。そこからですね。

 

―どこ社製の何というマットレスですか?

PHITENのマットレスですね。
自分はPHITENのネックレスもお世話になったりとか、
あと、家で食べる卵とかも届きますからね。
サプリもPHITENだし、お水もPHITEN。

 

―普通のマットと何がちがうんですか?

遠征先のホテルで寝るマットだと、ゆるいんですよね。
たくさんの方々が寝てるんで。ヨレとかが起こってるんですよね。
下のネジというかバネが。
どうしてもマットレスがないと安定しないんですよね。
これは今はもうほとんどのアスリートが入れてると思いますよ。

 

―いつぐらいから?

28歳ぐらいですかね。マットレスと枕と。
常駐のホテルにはもう置いといていただいて。
行った時に出してもらうって言う形をとってましたけど。
今年はコロナとかで、なかなかそういう持ち運びとかっていうのが、
どうしても消毒関係のことがあってできないとかで結構大変でしたね。
まあ今年はほとんど働いてないから(笑)

 

―家でもこのマットレスを使われている?

はい、もちろんずっと家に敷いてますね。

 

―野球の道具についてのこだわりは?

どうなんでしょう。
ずっと同じメーカーだからあるもないもわからないまま来ちゃいました。
あとクセがバレない様に、僕はまっすぐとフォークなんで。
グローブが開きやすいんで、それで悩んだ時期もありましたね。
あとは、ボールがつかみやすいようにぐらい。
だから守備上手いんですよ(笑)

 

―一時期「本塁打厳禁」とかグローブに入れてましたね。

ずっと入れてましたね。
マウンド上に頭の中が整理されずに登ることが多くて。
「今日はどんなピッチングしようかな?」
「このバッターの並びだからこういうピッチングにしようかな」
っていうことばっかりマウンドに上がるまでに考えていくわけですね。
リリーフカー乗りながらとか。
それでマウンドに登ってバッターが構えたときに、
ちょっと感じが違うなぁってなると配球に悩みが出るんです。
そうしてる間に、1球目を投げてボール。
次はどうしようって考え過ぎたときに、立ち返るものが必要なんですね。
そこでグローブを見た時に「本塁打厳禁」って書かれていれば、
2ストライクでフォークボールのサインが出たとしても
「ボールゾーンに投げないと」とか。
次の年は「細心而剛胆」とか。最後は「不動心」だったんですけど。
不動心は、ベテランになればなるほど、
考えすぎて動けなくなるとかいうのもあるんですよね。
頭では分かってるんだけど体が動かない。
その時の疲労度とかによって、若い時はどんどん体が動くんだけど、
そういう時に心を動かさないようにして
整理した状態でマウンドに行くぞって決めて、
あとは出すだけ。って思って行きながらも忘れた時にまた見直せるんで。
カンニングペーパーみたいなもんですよ。

 

―ちゃんと効果があるわけですね。

効果がない物は入れたことないかもしれない。
引退最後の試合は「応援ありがとうございました」ですから。
1試合だけそれにしたんで。
それは、「応援ありがとうございました」っていうことにしといたら、
自分が投げる時になんで投げてるかがちゃんと分かるじゃないですか。
それが「不動心」であってはいけないと思ったので。
もう勝負は終わってるし、それだとジャイアンツさんに失礼なので。
優勝決まったチームで相手はウイニングラン中ですから、
僕の引退を支えてくれてるので。
これはファンの方にいいものをお見せする
ショーというかエンターテイメント。
なので「応援ありがとうございました」。
だから笑顔になりましたね。みんなにこんなに祝ってもらって。
みなさんは悲しいと思ってるかもしれないけど、
僕からしたら、みなさんに祝ってもらってるんだっていう発想ですから。
卒業式みたいなもんじゃないですか。
 

  
リクエスト曲は?

 川の流れのように / 美空ひばり 

 

人生ってこういうもんだと気づいたから。
独立リーグ行ったりもしたんですけど、戦わなきゃいけない、
ここで勝ちあがらなきゃいけないと。
だけどこの時間をどう楽しく過ごすかというのも、
一つ自分の人生としてやっぱり人生捨てたわけじゃなくて、
人生を楽しんで独立リーグを選んだし、
その時ぐらいからリラックスして生活を送れるようになって。
ここから変わったんですね。
「野球選手の自分」が人生の真ん中じゃなくて、
「藤川球児の人生」を送ってる中に、
「野球やってる自分」が少しだけいるっていう風に変わったので。
いつのまにかそれに気付いて。
もう身を任せてゆっくりゆっくり楽しんでるんだなぁって。
アメリカから帰ってくる時に他のチームからオファーがありながら、
独立リーグを自分で選んで。
自分で決めた事がいつのまにか自然な流れになるんだったら、
とにかく自分の思いの向くままに。他人に迷惑をかけないっていうのを、
自分のモットーにしてるんで、自分の人生に誇りを持つっていう思いでやる。
なんかわからんまま歩いてきたけど、気づけばみんながそれを見たときに、
通った道を振り返ってきて楽しいと思ってくれる。
「自分もこうやって生きよう」って題材になれば、
なんか生きてた甲斐ってあるんじゃないかなと思って。


そんな藤川球児さんに、金子がより突っ込んで聞いていくコーナー!

『金子の深堀り!』

 

巨人対ソフトバンクの日本シリーズはどう思いましたか?

僕は2戦目の解説をさせていただいたんですけど、
「あ、無理だな」というのは正直感じてましたね。
試合だから可能性があるので、それは言えないですけど。
空気的に飲まれちゃったなって。

 

―なぜ第2戦で無理だなと思った?

打たれてはいけない選手、全員に打たれたんで。
しかも第1戦で打順を見たときに栗原君が5番に入ってるでしょ?
あれって繋ぎの打順なんですよ。
うしろがデスパイネ。4番がグラシアル、3番が柳田。
だから打線の中で唯一休めるチャンスのあるところなんですよね。
そこを出すと全部繋がっちゃうんですよね。
1番の周東君は打ち取れたじゃないですか。
2番は色々選手が変わって、中村晃君はそこそこ良かったんですけど。
あれ栗原くんが良くなければ、あそこの打順が変わってたと思うんですよ。
いきなり第2戦第3戦ぐらいから集中的に
何かターゲットを絞ったようなやり方したじゃないですか。
きっちり前後にやられたじゃないですか。
長打がない、軽打で済む選手って実はいて。
栗原君と、甲斐君。この2人にやられたのが厳しかったのと、
第4戦にも甲斐君にインコースを同じように、またホームラン打たれたんですよ。
「なんで?」っていう配球なんですよね。
なんでそんなことするのっていう。僕はそれを感じたかな。

 

―藤川さんが今後やってみたいことは?

自然に生きる。
自分の生きたい人生で、野球やってる時に自分のことを憧れてくれたりとか、
藤川球児を目指したいって言われたいと思って野球やってきて。
みんなが言ってくれるようになって。
それが今の現役選手の中にもそういう選手がいて。
これが野球選手をやめたことで精算してしまわないように。
これから先の自分の人生に目標と、夢と希望を持って生きていくことで、
野球を辞めた人たち、やらなかった人達。
現役プロ野球選手になったんだけど、
その後またどう生きようかって。
学校の教員になりたいとか、たくさんの事言ってる今、
セカンドキャリアの問題があるんですけど、
そういった後輩達にも何か目指せるような、
「面白いな、こういう生き方」って思ってもらえるひとつの生き方をしたい。
解説者、コーチ、監督ってまあ既存のものは
少しはやるかもしれないんですけど、そこを自分の人生の真ん中に置かない。
自分の道をまっすぐ行って、あとは野球と同じ。
周りがどう感じるかは自分には計り知れないところだけど。
自分の人生に誇りが持てる。他人に迷惑かけない、
これを軸に展開をしていくっていうこと。
なのでまあ、答えのないことをやっていきたいですね。
 


藤川球児さんが今でも忘れられない言葉、大きなチカラになった言葉とは?
 

「不動心」

2017年からの終わりに持ってきたんですけど。
やっぱりこのラジオを聴いている人たちの中にも、働きながら、
次の世代に譲らなきゃいけないとか。
今がうまくいかない、昔うまくいってて
前もっとうまくいってた事がうまくいかなくなって。
でも、立ち上がらなきゃいけない、でもまたうまくいかないって、
繰り返してるうちに、迷いが生じると思うんですよね。
脱サラしようか、続けていいものなのかどうか。
っていうときに、僕はやっぱりもうひと我慢したかったんです。
駄目になってる時に辞めたくなかったっていうのが最後に勝ったんで。
これはこの迷いを1年間経ち切らなきゃいけないということで、
2018年にグローブに「不動心」と。
やると決めたことをやり通すって言うだけ。
シンプルにそれでこの一年行こうと。
じゃないと多分止まってしまいそうな気がする。
やめたいって言いそうっていうのがあったので
「不動心」っていう言葉を選んだのはそれがきっかけですね。
ちょうど多分、今働いてる方でそういう人っているし。
自分の仕事がこれでっていう間も、その甘くないのも分かってるんですよ。
今個人で働いてる方とかは。
だけど僕の場合はここでもうひと踏ん張りして、
勝った状態で絶対やめてやろうと。自分のゴールは自分で決めたいし。
ダメだろうって言われてる中での、引く作業は取れなかったんですよね。
自分自身に負けたみたいで。
それは頑張れたおかげで、藤川球児が現役引退したときに、
自分自身に「よく頑張ったね」って拍手を送れるようになったんで。
この時にこの言葉を選んでよかったなと。
やめるっていう選択を一回消して2018年行ったんで。
どっちを選択しても後悔がないようにということで、
「不動心」と刻んだ自分の言葉を打ち破るぐらい、
そっちに気持ちが傾けば、それもまた自分の気持ちだと思うんですよ。
だから中途半端に選択しないというのは、我々40代、
僕のこれからの40代、50代っていうのは特に重要になってくると思うんですよ。

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