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室伏由佳さんがケガと戦いながら誓いに立てた言葉

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今回のゲストは、
陸上女子ハンマー投げ日本記録保持者で、
順天堂大学スポーツ健康科学部講師、室伏由佳さんです。


室伏由佳さんのプロフィール】
 

室伏由佳さんは、1977年、静岡県沼津市生まれ。
中学時代に短距離選手として陸上競技を始め、
市邨学園高校で円盤投げに転向。
進学した中京大学では日本インカレを4連覇、
21歳からハンマー投げにも取り組み、
世界でも珍しい投てき2種目を専門にされました。
2004年アテネオリンピックにハンマー投げで出場。
世界選手権には、2005年にハンマー投げ、2007年には円盤投げで出場。
2010年アジア大会ではハンマー投げで銅メダルを獲得。
2012年に競技引退、現在は、順天堂大学スポーツ健康科学部講師のほか、
日本アンチ・ドーピング機構アスリート委員を務めている。


 

-小学生の頃はどんなスポーツをしていたんですか?

これといって無くて、かけっこですかね。
短距離はすごく速かったです。
跳躍力があったので男の子よりも立ち幅跳びが飛べたりとか。
でも、持久走はとっても苦手でしたね。
マラソン大会は、校内を飛び出して外周するコースだったんですね。
一番で飛び出してドベで帰ってくるっていう。
学校に行くのが嫌でしたね。
「なんであんなに遅いんだろう?」って言われるのが恐怖。
プレッシャーで一番で行かなきゃって思うんですよね。
それで一番で行くと体力尽きてしまうので。

 

-どんなプレッシャーがあったんですか?

子供の頃に「ゆかちゃん速いね」ってお友達に言われて、
それをキープしなければってどっかで思ってたんだと思います。
でも父に、種目は違うけどさすが指導者で。
ペース配分をその時ばかりは言われたんですよ。
小1か小2ですよ。
「もうちょっとスピードを落としていくと良いよ」って言われたんですけど、
「絶対に嫌だ」って言って、実践しなかったんですね。

 

-お父さんも足が速いんですか?

速いです(兄・広治氏も)速いです。すごく速いです。
私は練習で計ったタイムは、
50メートル走をスパイク履かずに6秒8。
兄は5秒台ですからね。
5秒台の人は多いですよ?特に短距離は得意で、
30mから50mは短距離の選手に負けないぐらい速くないといけないんです。

 

-世界には大きな体の選手も多いですが、他の選手も速い?

あのトップクラスは速いです。
もう一歩の爆発力がすごいです。隣でヨーイドンすると、
多分怖いと思います。絶対速いのが分かります。

 

-では短距離から投てきに転向するのも無関係ではない?

そうですね。基礎体力、基礎能力がある人で、
「あと何に具体的に向いてるのか?」というのを
だんだん年齢を重ねるごとに絞っていくので。
初めはサッカーにしても野球にしても、
陸上の「走る・跳ぶ・投げる」の3要素が、
基礎的に能力が高いってなるといろんなスポーツにいけますよね。
なので、まずそこの能力を高めておくことと、それが得意かどうか。
私は短距離も得意だし、跳躍力もあった。
後は回るのが得意だったので、回転する能力が得意。
フィギュアスケートの選手とか、体操の選手もそうですよね。
そういうのが得意という人もいるんですよね。
私は物を持って回転して投げるっていうのが
テストしたら得意だったんですよね。

 

-だれがテストしたんですか?

指導者である父です。
やってみたら私も向いてるよって言われると同時に、
「これは面白いな」って感じたんですよ。
「君は能力あるからやりなさい」って言われても、
自分がピンと来てなかったらできないですよね。
でも、これはなんだか得体の知れない面白さだなっていう。
難しいし、技術性が高い。時間かかるだろうけど面白い。
そう思って、向いてるよって言われたので。
「努力するとできるよ」って言われたんです。
ただやれば伸びると言わなかった。

 

-室伏さんの娘、室伏さんの妹っていう影響はありましたか?

ありますね。
「活躍するであろう」という、
「そんな始めたらできないよ」って一番思ってましたね。
そこには円盤を始める時に、
父が「努力するならば、納得するぐらい楽しめる競技ができるよ」っていう。
その努力っていうのは分かってるんで、
何もしてないのにいきなり名前だけで出てしまって、
期待をされて。
そこまでなってないし、そこまで自分はなれないと、
ちょっと反発をしましたね。

 

-その時の目標は?

その時の目標は、「インターハイで勝ちたい」って言ってました。
1年したら、とっても伸び率が良くて。
インターハイで優勝するんじゃないか?って記録を突然投げたんですよ。
それで、周りのお友達が一変するんですね。
「記録なんてすぐに出ないよ?」って思ってた方々が、
ギロってライバル視するようになって。
「由佳ちゃんなんかに負けない」と始まるんですよね。
その力を使ってみんな切磋琢磨するんだけど、
ちょっと耐えられなかったですね。
それが、私をね残念ながら強くしてしまうんですよね(笑)

 

リクエスト曲は?

Pizza   /   Martin Garrix 

実は平昌オリンピックの閉会式でパフォーマンスされてるんですよ。
とても若くて、現在24歳で。
彼が影響受けた人が2004年の私が出たアテネ大会の閉会式で、
初めて DJで採用されたティエストって人なんですね。
その人を見て、自分もオリンピックでパフォーマンスできるような
アーティストになりたいって言って。
現在3人しかオリンピックで DJをしていない中の1人なんですよ。
この彼の曲は、引退した後に出た曲なんですけど。
私、試合とかでアップテンポな曲を聴いて
よくウォーミングアップしてたんですよ。
自分のリズムにハマるような。
それが私にとって自分が乗り気になるテンポの音楽で。
クラシカルから始まって、急に曲調が変わって…
なんという世界観を持ってる青年なんだろうっていう風に感じました。
それがオリンピックっていうスポーツの舞台で採用されるよねって。
やっぱりスポーツしてる人にとっては
このリズムの効いた曲すごくハマるんじゃないかと。
ちょっとアスリート視点で選曲しました。

 


そんな室伏由佳さんに、金子がより突っ込んで聞いていくコーナー!

『金子の深堀り!』

-世界っていうのはいつ頃視野に入ってきたんですか?

世界が視野に入ったのは大学生ですね。
私の父が務める中京大学に入学して。
世界を目指す人が多かった環境に入って、自分だってそうなりたいっていう。
高校時代から世界大会に出たいとか、
オリンピックに出たいとは言ってましたけど、
どれだけそれが大変な事なのか、
どれくらいの努力をしないとなれないのかを、
練習風景を見て目の当たりするんですよね。
こんなにも練習してやっと手が届くかっていう、先輩方を見たりして。
その成し遂げた人の入り込む姿、練習の姿勢とか。
自分にはまだまだやってないことがあって。
なんとかああいうことをすれば、自分もその国際大会に出れるんじゃないか。
っていう風に、自分が近づいて行けたんですね。

 

-お父さんの影響はあったんですか?

小学生の時に、現地でロスのオリンピックを見ているし、
父の留学制度で1年間アメリカに引っ越して練習風景も見ていて。
だから自分にはこう見てきたものが記憶の中にあったんですけど。
でも、現実的にそれを自分がやろうってアクションを起こして、
何をしようっていうところまでは全く結びついていなかったですね。
でも家族って近いのであんまり。
影響はありますけど。
家族以外の人で、いろんな努力の仕方、
いろんな競技があって陸上や体操、水泳とかが強い学校だったので。
この人はこんな生い立ちで、こんな高校時代を過ごして、
それで今こんな練習をしてっていうのが、
自分にとってはもうアイデアの宝庫っていうか。
自分がまだ体験する前のこと?
これしたらどうなるんだろうっていうのが、聞けたりとか。
私にとっても目指しやすい環境に身を置けたっていうのは随分違いましたね。

 

-本当に世界が見えたのは?

大学2年生で、世界ジュニアの大会に出たんですね。
シドニーに遠征をして行って。同年代の仲間と競いあえたんですよ。
まだ記録は近かったんで、それでも離れてるなと思う選手がいて、
この人たちに勝てるにはどうしたらいいかな?って思っていた彼女たちが、
1年後にはとんでもない記録の伸び方をして行くんです。
世界が見えかかったのに、置いてけぼりになっちゃって、
そこで記録が止まってしまったんですね。
ポキッと気持ちが折れて。
大学3年生になったら、練習がただの作業に。
また今日もあのメニューをこなしてっていう。
クリエイティブな気持ちで、楽しみに練習に行ってたのに。
何回やっても伸びないなと思って。
今まではこれをしたら、こんな体力がつくって。
これをしたらこんな動きができてって見込めたんですよ。
それが、全く分からなくなってしまって。
オリンピックに出るまでずっと続きました。


そんな室伏由佳さんが今でも忘れられない言葉、大きなチカラになった言葉とは?

『信じて貫く』です

これは、私がオリンピックに出た後に、誰かに教わったのではなくて、
自分自身ができたことをまず信じよう、ということと。
やりぬき通すことを何があっても自分はして行こうという決意表明なんです。
私は、この言葉を誓いとしてたてた時は、
腰痛症があって体が思うように動かなくなった時に、
これを励みとして何があっても最後まで絶対にやろう、
という初めて自分がたてた目標信じて最後までやろうっていうことを
決意表明した言葉です。
これはよく覚えてます。
簡単でシンプルなんですけど、やるのは難しいですやっぱり。
やめれることなので。言っちゃったらやらなきゃみたいな。
そして自分しか分からないスローガンを作ろうと思ったんですね。
励みになりました。

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