今回のゲストは、
プロ野球選手からクリケット選手に転身された
木村昇吾選手です。
−まずは「バット」。長さは野球のバットとほぼ同じぐらいですか?

同じぐらいですね。85センチぐらいあると思います。
グリップのバットの下から20センチぐらいのところから
平べったい板がくっついていて、
羽子板の大きい形って思っていただければ。
−それで、打つのは赤いボール?
白もあるんですけど、野球の硬式のボールよりも気持ち小さいぐらいの、
そして硬いですね。
それで、皮2枚を一本の糸でつないでいるイメージです。
中央部分に一本、二つのものを一つにしてるという形ですよね。
お椀を真ん中でカプセルのように合わせている感じですよね。
−投げる時、ボウラーはどこに指をかけるんですか?
これが面白いんですけど、野球ってファールとか打つと
ボール交換するじゃないですか?
クリケットは、試合開始に新しいボールを使うとそれだけでやります。
1回の表と裏しかないんですけど、攻撃毎にボールを変えるんです。
1回の表の攻撃で1個、裏の攻撃で1個。
それで、ボールをユニフォームとかでこすってツルツルになるんですけど。
そのツルツルの面が空気抵抗で曲がるんです。
野球のピッチャーが絶対やっちゃいけないことをやります。
あと、ツバや汗をつけることもあります。
だから赤のボールの時は白のユニフォームを着るんですけど、
ユニフォームが赤くなりますね。
−投げるボールのスピードはどれくらい?
世界クラスだとMAX150キロは超えてると言われてますね。
しかも思いっきり助走して投げるんで、最初は怖いですね。
日本だと150キロを投げる人はいないんですけど、それでも威圧感がある。
バウンドすることで若干遅くなりますけど、
ストライクゾーンがあるようでないんで。
どちらかというと、野球よりテニスのイメージに近いかもしれないですね。
自分の打てるツボに来ればそのタイミングでもなんぼでも振れるんで、
飛んでってくれるんですけど。
何球か対戦すると、得意なコースがバレるんです。
向こうも経験があるから
「そこに投げなきゃええんやろ」っていう感じなので。
最初の頃は見透かされて違うところに投げてこられて、
何もできないという状態になりましたね。
−グロープは、サッカーのゴールキーパーのグローブのようですが、
持ってみると指の背中部分がカチカチですね。
ウィケットっていう三本の棒があって、
ピッチャーはそこに向かって投げてくるんです。
ウィケットを守るために、そこの前に立ってバットを盾代わりに、
そのボールが当たらないように弾くので、結局体にも当たるんですよね。
当たった時にバットを野球のように横に振るんじゃなくて、
ウィケットが縦に立ってるので縦にして守る。
その時に手の甲に当たる時があるので、骨折しないようになってます。
あと、パッツっていうキャッチャー道具よりも、
少し大きいやつを足につけて、
あとサイパッツっていう太ももを守るやつをユニフォームの中に入れて、
野球よりも大きなアメフトに近いヘルメットを被って、
その状態で走ります。
−全部装着すると何キロぐらい?
2〜3キロあるのかな?走りづらいです。
あと野球はバット持って走らないんですけど、
クリケットバットを持って走るんです。
だから最初は打った後、
野球の感覚でバットを離しそうになりました(笑)
バットも重たいし、ボールも硬いんですが
実はパワーがいるようでいらないんです。
150キロのボールが来ても、
横にコンと当てただけでも速い打球で抜けていくので、
振る力がなくても当てる技術があれば、なんとかなります。
またそういう選手の方がゲームメイクをできるので、
パワーも大事なんですけど、技術・経験が活きるスポーツかなと思います。
−リクエスト曲は?
映画グレイテスト・ショーマンから「This is me」
インドに行く飛行機の中でこの映画を見たんです。
「This is me」=「これが私だ」。
周りの声とかじゃなくて自分の姿を見てくれと言うか。
自分の心・自分の信じる道をという気持ちがリンクしました。
そんな木村昇吾選手に、金子がより突っ込んで聞いていくコーナー!
『金子の深堀り!』
–インドのプロリーグと日本に力の差があるとおっしゃっていましたが、
プロ野球選手がクリケットに転向したらどうなる?
世界をとれると思います。
インドと日本の違いは経験、普及率だと思います。
今は土壌がないんですけど、やったらできると思います。
-なぜ日本で普及しなかったんでしょうか?
なぜですかね。
でも日本では野球よりも先にクリケットがあったって、
横浜スタジアムに石碑として記録が残ってるので。
時代背景は分かりませんが、なぜか広まらなかったんですよね。
-野球の魅力を知ってる木村さんでもクリケットは面白い?
面白いです。野球は、監督に指示されて動くんですけど、
クリケットは監督がいないので、全部キャプテンが決める。
あと守備位置も野球で言うと、大谷選手が打席に立つと、
引っ張るから少しライト寄りに守ったりするじゃないですか?
でも、クリケットの場合はレフトがいなくなるぐらいのレベルです。
全方向を9人で守らないといけないんですが、ほぼ不可能。
そのため極端なシフトを組んだりするので。
そういう戦術をするのがクリケットの面白さ・奥深さですね。
-インドのプロリーグの平均年俸はどれぐらい?
2億9千万円ぐらいですね。
本当にトップ中のトップなので。
試合の期間が4月〜5月半ばぐらいで終わって、
1ヶ月半ぐらいなんですよね。
もちろんそれ以外でも代表戦などの活動はしてるんですけどね。
だからインド人の方があれだけ熱狂するっていうのは
インディアンドリームというか。
あとオーストラリアとかでも何億円って稼げる方もいるので。
ここ20年ぐらいで稼げるスポーツになってきました。
-日本代表は世界から見てどう?
高くはないですね。
まだまだ発展途上。クリケット後進国だと思います。
そうですね、この過去10年間で1番成長している、
そんなが木村昇吾選手が今でも忘れられない言葉、大きなチカラになった言葉とは?
『念ずれば誠の花開く』
尽誠学園高校時代に聞きまして。
「念」ってやっぱり強いじゃないですか。
単純にポッと思った言葉じゃなくて、本当に考えて思って。
念ずるぐらい心を込めれば花開くんじゃないかと。
「愛 敬 誠」っていうのが尽誠学園の言葉なんですけど、
そこにこの言葉があって。
花を開かせるために、自分自身に念じながらという感じですね。