古美術永澤 presents ミッツ・ザ・コレクション

2025.09.21

2025年9月21日放送『海外でレコーディングした曲』

音楽への造詣が深いミッツ・マングローブが、

毎週様々なテーマと共に70年代・80年代・90年代の音楽を

ミッツ・マングローブ自身の解釈でお届けしていく番組『ミッツ・ザ・コレクション』。

第175回目のテーマは『海外でレコーディングした曲』。

かつて日本の音楽界では、

「海外レコーディング」が盛んに行われた時期がありました。

わざわざ海外のスタジオでレコーディングした理由は、

「スタジオミュージシャンの腕がいい」とか「(今と逆で)円高」とか

特にバブルの時期は「予算が潤沢にあった」などなど…。

ということで、今回は「日本人アーティストが海外でレコーディングした曲」を選んでみました。

 

まず1曲目は、五輪真弓さんで「少女」。

なんと1971年に、デビューアルバムをロサンゼルスで、

しかも2ヵ月もかけてレコーディングしました。

当時はまだ為替が変動相場制になる前で、「1ドル=360円」の

固定相場制で、今のように気軽に海外に行ける時代ではありませんでした。

にもかかわらず、レコーディング当時、まだ20歳だった五輪さんは

自ら海外録音を望んで、その希望が通ったんですね。

これは、五輪さんの所属していたレコード会社が、

アメリカのCBSレコードとソニーが合弁で作った新興のレコード会社

「CBS・ソニー」所属だったこともありますが、

五輪さんの才能がそれだけ飛び抜けていたからでもあります。

デビューアルバム『少女』は、あのキャロル・キングもピアノで参加。

「和製キャロル・キング」と呼ばれた五輪さんの才能を、

本家も評価していた証でもあります。

 

2曲目は、山下達郎さんで「CIRCUS TOWN」。

「シュガー・ベイブ」のメンバーとしてデビューした達郎さんは、

バンド解散後、ソロ活動を始めるにあたって、

自分の理想とする音楽は、ニューヨークで向こうの一流プロデューサーと

エンジニア、ミュージシャンを使わないと実現できないと考えて、

「海外レコーディングができること」を条件にRCAレコードと契約。

1976年、23歳のときにその夢を叶えました。

ただし予算の関係で、半分はニューヨーク。もう半分はディレクターのツテで

腕利きのミュージシャンが「お友達価格」で使えるロスで録音されています。

 

3曲目は、本田美奈子さんで「HEART BREAK [English Ver.]」。

本田美奈子さんはゲイリー・ムーアや、クイーンのブライアン・メイとも

コラボしていますが、所属事務所のボンド企画がラトーヤ・ジャクソンの

来日公演をプロモートした関係で、ジャクソン・ファミリーともつながりができました。

1987年、マイケル・ジャクソンのスタッフがプロデュース。

ロサンゼルスでレコーディングされた、すべて英語詞のアルバム

『OVERSEA』からお聴きいただきました。

 

4曲目は、小泉今日子さんで「水のルージュ(Berlin Version)」。

ドイツの児童文学作家、ミヒャエル・エンデの『モモ』が大好きで

自分のラジオ番組でも紹介していたキョンキョン。

「じゃあ、その世界観をアルバムにしてみよう」ということで、

当時「西ドイツの西ベルリン」にあった有名な「ハンザ・スタジオ」で

1987年にレコーディングされたのが『Phantasien』というアルバムです。

ハンザ・スタジオは、デヴィッド・ボウイもここでアルバムを作った

有名なスタジオで、プロデュースは当時すでに海外で活躍していた

一風堂の土屋昌巳さんが手掛けています。

 

お別れの曲は、松田聖子さんで「THE RIGHT COMBINATION」でした。

聖子さんは1985年、海外進出を狙って、ニューヨークで録音した

全編英語の曲「Dancing Shoes」をリリースしていますが、

レコーディング直後に、神田正輝さんとの結婚および音楽活動の休止が

発表されたためアメリカでは発売されず全米デビューは延期になりました。

そして1990年、満を持してアメリカでレコーディングされたアルバムが

アルファベットで『Seiko』です。

その中から、シングルカットされた「THE RIGHT COMBINATION」を

今回聴いていただきました。

この曲は、当時大人気だったボーイズグループ、

ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックの、ドニー・ウォールバーグが

デュエットで参加。他のメンバーもバックコーラスで参加しています。

彼らのホームタウンであるボストンでレコーディングされました。

ビルボードでも54位と、まずまずのセールスを収めています。

番組に関する感想・ご意見・ご要望などありましたら、

mco@1242.com までお寄せください。

お葉書は、

〒100ー8439 ニッポン放送「ミッツ・ザ ・コレクション」まで。

次回の放送は、2025年9月28日(日)17:30〜です。

どんなテーマでどんなセレクト楽曲が繰り出されるのか、お楽しみに!

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パーソナリティ
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    ミッツ・マングローブ

    ドラァグ・クィーン・歌手・タレント。総じて「女装家」。
    1975年 4月10日 神奈川県横浜市生まれ
    10代中盤ををロンドンで過ごす。 慶應義塾大学法学部を卒業後、 英国ウエス卜ミンスター大学に入学。商業音楽全般を学ぶ。帰国後2000年ドラァグ・クイーンとして東京でデビュー。以降、各地のクラブを中心に様々な活動やイベントの主催をする傍ら、05年に星屑スキャットを結成。07年スナック「来夢来人」にて丸の内初の女装ママに。
    09年頃からテレビでも活躍。
    2011年「若いってすばらしい」で歌手デビュー。2012年3人組コーラスグループ“星屑スキャット”のメンバーとして「マグネット・ジョーに気をつけろ」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2018年星屑スキャット1stアルバム「化粧室」をリリース。野外フェスティバルへの出演含め精力的に活動中。
    2019年星屑スキャット初の全国ツアー「あ々喉仏」開催。
    2021年4月中野サンプラザを含む星屑スキャット全国ツアー「色、色々」開催。