古美術永澤 presents ミッツ・ザ・コレクション

2025.07.06

2025年7月6日放送『女性シンガーが歌う”ぼく”』

音楽への造詣が深いミッツ・マングローブが、

毎週様々なテーマと共に70年代・80年代・90年代の音楽を

ミッツ・マングローブ自身の解釈でお届けしていく番組『ミッツ・ザ・コレクション』。

第165回目のテーマは『女性シンガーが歌う”ぼく”』。

今、女性アイドルグループが歌う曲は、AKB48や、乃木坂46などの曲が代表的ですが、

1人称が「ぼく」になっている曲が非常に多いです。

しかし、女性シンガーが「ぼく」を主語として歌うジェンダーフリーな曲は、

何も今に始まったことではありません。

そこで今回は、女性シンガーが”僕”という1人称で歌った曲をご紹介しました。

 

まず1曲目は、太田裕美さんで「南風 -SOUTH WIND-」。

太田裕美さんといえば、「木綿のハンカチーフ」や「赤いハイヒール」にも

「ぼく」という歌詞が出てきますが、この2曲は裕美さんが1人2役で、

男女両方の視点から歌っています。

一方、この「南風」は最初から最後まで男性視点。

「♪君は光の オレンジ・ギャル」という80年代を感じさせる歌詞は、

「キリンオレンジ」のCMソングだったからです。

 

2曲目は、森田童子さんで「さよなら ぼくのともだち」。

森田童子さんは、1975年にこの曲でメジャーデビュー。

カーリーヘアにサングラスをかけ、男性のような出立ちでステージに立っていましたが、

素顔は全く謎に包まれていて、本人も絶対に素性を明かすことはありませんでした。

熱心なファンもいましたが、大きなヒットが出ることもなく、

1983年にアルバムをリリースしたのを最後に、森田さんは活動を休止。

その後は表に出ることもなくなりました。

しかし1993年に、ドラマ『高校教師』の主題歌として、

1976年発売のシングル「ぼくたちの失敗」が使われてヒットしたことをきっかけに

「森田童子ブーム」が起こり、過去の楽曲やアルバムも再発。

デビュー曲の「さよなら ぼくのともだち」も再評価されましたが、

残念ながら2018年に訃報が伝わりました。

2021年に発売された、なかにし礼さんの著書の中で、

森田童子さんはなかにしさんの姪であることが明らかになっています。

 

3曲目は、松本ちえこさんで「ぼく」。

松本ちえこさんは、1974年にアイドル歌手としてデビュー。

しかしなかなか芽が出ず、2枚目のシングルが出てから

しばらく次のレコードが出せない状況が続きました。

ところが、1976年に資生堂のシャンプー「バスボン」のCMに出演すると、

身近にいそうな素朴な可愛らしさが受けて、人気が沸騰。

この年に発売された「恋人試験」「恋人願書」が立て続けにヒットしました。

「ぼく」はその次に出たシングルで、これも勢いに乗ってヒットしています。

まさに、コマーシャルが生んだアイドルの代表と言えるでしょう。

 

4曲目は、小泉今日子さんで「夜明けのMEW」。

1986年7月にリリースされたシングルで、

この時キョンキョンはちょうど20歳でした。

この前の年、1985年に「なんてったってアイドル」をヒットさせたキョンキョンは、

ハッチャケ路線とは打って変わって、男性の視点からしっとり歌い上げるこの曲で、

大人の歌手への階段を昇っていきました。

作詞は秋元康さん、作曲は筒美京平さん。

実は「なんてったってアイドル」を書いたコンビなんですよね。

 

お別れの曲は、中島みゆきさんで「ローリング」でした。

1994年のヒット曲「空と君のあいだに」でも、

「♪君が笑ってくれるなら 僕は悪にでもなる」と歌っているみゆきさん。

この「ローリング」は、1988年にリリースされたアルバム

『中島みゆき』のラストを飾る1曲で、ファンの人気も高い曲です。

みゆきさんんは1993年に発表したセルフカバーアルバムでも、

この曲をリメイクしていますが、

今回は最初に出た1988年のオリジナルバージョンで聴いていただきました。

番組に関する感想・ご意見・ご要望などありましたら、

mco@1242.com までお寄せください。

お葉書は、

〒100ー8439 ニッポン放送「ミッツ・ザ ・コレクション」まで。

次回の放送は、2025年7月13日(日)17:30〜です。

どんなテーマでどんなセレクト楽曲が繰り出されるのか、お楽しみに!

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パーソナリティ
  • ミッツ・マングローブ
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    ミッツ・マングローブ

    ドラァグ・クィーン・歌手・タレント。総じて「女装家」。
    1975年 4月10日 神奈川県横浜市生まれ
    10代中盤ををロンドンで過ごす。 慶應義塾大学法学部を卒業後、 英国ウエス卜ミンスター大学に入学。商業音楽全般を学ぶ。帰国後2000年ドラァグ・クイーンとして東京でデビュー。以降、各地のクラブを中心に様々な活動やイベントの主催をする傍ら、05年に星屑スキャットを結成。07年スナック「来夢来人」にて丸の内初の女装ママに。
    09年頃からテレビでも活躍。
    2011年「若いってすばらしい」で歌手デビュー。2012年3人組コーラスグループ“星屑スキャット”のメンバーとして「マグネット・ジョーに気をつけろ」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2018年星屑スキャット1stアルバム「化粧室」をリリース。野外フェスティバルへの出演含め精力的に活動中。
    2019年星屑スキャット初の全国ツアー「あ々喉仏」開催。
    2021年4月中野サンプラザを含む星屑スキャット全国ツアー「色、色々」開催。