古美術永澤 presents ミッツ・ザ・コレクション

2025.06.15

2025年6月15日放送『野球ソング』

音楽への造詣が深いミッツ・マングローブが、

毎週様々なテーマと共に70年代・80年代・90年代の音楽を

ミッツ・マングローブ自身の解釈でお届けしていく番組『ミッツ・ザ・コレクション』。

第162回目のテーマは『野球ソング』。

メジャーリーグでは、大谷翔平選手はじめ、日本人選手が今年も活躍。

日本のプロ野球は、セ・パ交流戦で盛り上がっています。

そしてもうすぐ、夏の甲子園の地方大会も始まりますし、野球好きの方にはたまらない季節がやって来ます。

ということで、今回は「野球にまつわる楽曲たち」をお送りしました。

 

まず1曲目は、宇多田ヒカルさんで「プレイ・ボール」。

2002年発売の3rdアルバム『DEEP RIVER』に収録されている

恋愛を野球に喩えたユニークな曲で、歌詞に

「♪ 九回の裏で魅せるピッチャーのように

I’m throwing my heart  一人でも続けると決めた misson」というフレーズが出て来ます。

9回ウラといえば、勝負が決まるクライマックス。

好きな人に愛を受け止めてもらえることを願って、自分の思いを全力で投げ込む。

恋する女性って、マウンドで孤独に戦うピッチャーにも似ているかもしれません…。

 

2曲目は、吉田拓郎さんで「ホームラン・ブギ2003」。

「ブギの女王」こと笠置シヅ子さんが、戦後間もない1949年に発表した曲を、

2003年に吉田拓郎さんがロック調でカバーしました。

作詞はサトウハチローさん、作曲は笠置さんの「東京ブギウギ」の作曲者でもある、服部良一さんです。

この曲、数え歌になっているんですが、「1と2」の次がいきなり

「♪5つ いつもの ホームラン・ブギ」になっていて、

なぜか「3と4」が飛ばされているんですね。

笠置さんの時代は、蓄音機で聴くSPレコードで曲を収録できる時間が短かったため、

やむをえず歌詞が短縮されたそうです。

54年後にこの曲をカバーした拓郎さんは、あえてオリジナルのまま、

歌詞を変えずに歌っています。

 

3曲目は、矢野顕子さんで「行け柳田」。

「柳田」とは、1970年代にジャイアンツで活躍した柳田昌宏選手のことです。

1976年・77年、長嶋茂雄監督のもとでリーグ連覇に貢献。

勝負強いバッティングで「巨人史上最強の5番打者」と呼ばれた柳田さん。

ニックネームは「マムシ」で、理由は「毒蝮三太夫さんに顔が似ているから」。

歌も得意で、引退後は演歌歌手としてデビューしたそうです。

「柴田・高田・張本・王・柳田・土井・河埜・吉田」という

1977年当時の巨人のオーダーが歌詞に出て来ます。

 

4曲目は、石野真子さんで「完全試合」。

作詞の阿久悠さんは、のちに小説『瀬戸内少年野球団』を書いたほどの野球好きで、

真子さんのセカンドアルバムに書き下ろした曲です。

真子さんも当時、草野球チーム「プリティーズ」を結成して監督を務めたり、

野球は嫌いじゃなかったご様子。

 

5曲目は、LINDBERGで「もっと愛しあいましょ

この曲は、1995年にリリースされたシングルで、

「♪たしかイチローが満塁ホームラン打ったあの日以来会ってないわよね」

という歌詞は、イチローさんの存在が当時社会現象になっていた証です。

イチローさんは1994年、オリックスで史上初の200本超えとなる

シーズン210安打をマーク。この年から7年連続で首位打者になり、

2001年からメジャーリーグ、シアトル・マリナーズに移籍。

1年目に首位打者となり、2004年にはメジャー記録を84年ぶりに

塗り替えるシーズン262安打を記録しています。

メジャーで最初に野手として成功した日本人選手であり、大谷翔平選手の

メジャーでの活躍も、イチローさんを抜きにしては語れません。

ちなみにこの曲が出た1995年、イチローさんは4月4日と

6月10日に満塁ホームランを打っています。

このカップルが最後に会ったのはどっちの日なんでしょうか?

 

お別れの曲は、松任谷由実さんで「ようこそ輝く時間へ」でした。

「まぶしい草野球」という名曲もあるユーミンですが、この曲は

1982年発売のアルバム『PEARL PIERCE』のオープニング曲で、

カップルが、後楽園ゆうえんちの乗り物「スカイフラワー」に乗って

当時その真下にあった後楽園球場を見下ろす歌です。

東京ドームと違って、後楽園球場は屋根が付いていませんでしたから

シューッと高く垂直に上がっていく「スカイフラワー」に乗ると、

試合中のグラウンドが覗けたんですね。

後楽園球場は、この曲が出た5年後の1987年限りで閉場。

お隣に建設された東京ドームに役目を譲って、取り壊されました。

「スカイフラワー」はその後もずっと残りましたが、

去年の1月に惜しまれつつ営業を終了しています。

番組に関する感想・ご意見・ご要望などありましたら、

mco@1242.com までお寄せください。

お葉書は、

〒100ー8439 ニッポン放送「ミッツ・ザ ・コレクション」まで。

次回の放送は、2025年6月22日(日)17:30〜です。

どんなテーマでどんなセレクト楽曲が繰り出されるのか、お楽しみに!

最新番組ブログ
パーソナリティ
  • ミッツ・マングローブ
    ミッツ・マングローブ
    ミッツ・マングローブ

    ミッツ・マングローブ

    ドラァグ・クィーン・歌手・タレント。総じて「女装家」。
    1975年 4月10日 神奈川県横浜市生まれ
    10代中盤ををロンドンで過ごす。 慶應義塾大学法学部を卒業後、 英国ウエス卜ミンスター大学に入学。商業音楽全般を学ぶ。帰国後2000年ドラァグ・クイーンとして東京でデビュー。以降、各地のクラブを中心に様々な活動やイベントの主催をする傍ら、05年に星屑スキャットを結成。07年スナック「来夢来人」にて丸の内初の女装ママに。
    09年頃からテレビでも活躍。
    2011年「若いってすばらしい」で歌手デビュー。2012年3人組コーラスグループ“星屑スキャット”のメンバーとして「マグネット・ジョーに気をつけろ」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2018年星屑スキャット1stアルバム「化粧室」をリリース。野外フェスティバルへの出演含め精力的に活動中。
    2019年星屑スキャット初の全国ツアー「あ々喉仏」開催。
    2021年4月中野サンプラザを含む星屑スキャット全国ツアー「色、色々」開催。