古美術永澤 presents ミッツ・ザ・コレクション

2024.06.09

2024年6月9日放送『夫婦のしらべ』

音楽への造詣が深いミッツ・マングローブが、

毎週様々なテーマと共に70年代・80年代・90年代の音楽を

ミッツ・マングローブ自身の解釈でお届けしていく番組『ミッツ・ザ・コレクション』。

第120回目のテーマは『夫婦のしらべ』。

夫唱婦随で音楽作品を生み出している御夫婦は、日本の音楽界にもたくさんいらっしゃいます。

今回取り上げたのは、「歌い手とプロデューサー」という

ビジネスパートナー的趣きで音楽を生み出している御夫婦たちです。

 

まず1曲目は、竹内まりやさんで「家に帰ろう〜マイ・スイート・ホーム〜」。

1978年にRCAレコードからデビューをした竹内まりやさんは、

ややアイドル路線的な文脈でヒットを飛ばしていましたが、

よりシンガーソングライター的な方向へ転換を考えていた時期に、

同じレーベルメイトであった達郎さんと出会い、

そして82年に達郎さんと結婚以降の作品は、ほとんどの楽曲を「竹内まりや」が作詞作曲し、

編曲・プロデュースを山下達郎さんが手掛けるというサウンド世界が確立されて現在に至ります。

 

2曲目は、大橋純子さんで「結婚の理想と現実」。

残念ながら昨年秋に旅立たれてしまった大橋純子さんですが、その夫君であられる佐藤健とは、

1976年の「大橋純子with 美乃家セントラル・ステイション」時代からの盟友であり、

79年には公私ともども最愛のパートナーと相成ったわけです。

希代のボーカリストとしてシーンに鮮烈な衝撃と存在感を示す「大橋純子」は、

80年代以降も職業作家の楽曲などで大ヒットとを連発します。

その一方で、音楽通が唸るような作品を夫婦で生み出し続けます。

「結婚の理想と現実」は、1曲目のまりや・達郎が描く夫婦像とはまた違う、

なかなか90年代的しらけムードの中にも、

40代を迎えた夫婦の自信みたいなものをブギ―のリズムに乗せて、遊び心たっぷりに歌っています。

 

3曲目は、高橋真梨子さんで「陽かげりの街」。

こちらは1979年よみうりホールでのライブ音源でお送りしました。

高橋真梨子さんもまた、ソロ転向後も、ペドロ時代のメンバーである

「ヘンリー広瀬」さんが、公私に渡ってパートナー兼プロデューサー兼バンドマスターとして

彼女の音楽人生をずっと支えてらっしゃいます。

この「陽かげりの街」は、ペドロ時代の楽曲でも珍しくヘンリー広瀬さんによる作曲ということで、

今から45年前の演奏と歌声、お聴き頂きました。

 

4曲目は、岸谷五朗さんで「あの鐘を鳴らせ」。

妻が夫をプロデュースしたという、かなりのレアケース作品です。

この曲の作曲・プロデュースをしたのが、

当時プリンセスプリンセスのボーカル&ソングライターとして乗りに乗っていた奥居香さん。

このふたりは、後の96年にご結婚されるわけですが、

よってこの楽曲が出来上がった当時はまだ夫婦でもなければ、下手すりゃ恋人でもなかった。

当時は、TBSラジオの夜の帯番組「TOKYO RADIO CLUB」を岸谷さんが毎日務めており、

深夜の「スーパーギャング」を奥居さんが担当していた縁で、

ラジオのこちら側で聴いているファンにとっても、

ゆっくりゆっくりとふたりの距離が縮まっていく様を観察しているのは楽しいものでした。

そんなふたりの「リアルラジオ恋物語」の中で生まれたのが、こちらの曲というわけです。

 

5曲目は、松任谷正隆さんで「Hong Kong Night Sight」。

あのユーミンこと松任谷由実さんの公私に渡るパートナー兼プロデューサーである松任谷正隆さんが、

1977年に唯一リリースした「夜の旅人」というソロアルバムがあります。

全曲作曲・編曲はもちろん松任谷正隆さんなのですが、面白いのが、

作詞は全曲・ユーミンが書き下ろしているという点です。

実質的に「歌手・松任谷正隆像」を言葉やフレーズでプロデュースしたのは、

妻であるユーミンという、いつもとは完全に逆転現象が起きている作品です。

曲の後半にかけて若干不良ぶった投げやりなシャウト唱法になっていく

正隆さんのボーカルにも、耳を傾けてみてください。

 

お別れの曲は、原由子さんと桑田佳祐さんで「いつでも夢を」でした。

桑田さんがプロデュースする原坊ソロ楽曲には名作がたくさんありますが、

やはり締めはせっかくですから、おふたりに吉永小百合と橋幸夫になって頂きました。

番組に関する感想・ご意見・ご要望などありましたら、

mco@1242.com までお寄せください。

お葉書は、

〒100ー8439 ニッポン放送「ミッツ・ザ ・コレクション」まで。

次回の放送は、2024年6月16日(日)17:30〜です。

どんなテーマでどんなセレクト楽曲が繰り出されるのか、お楽しみに!

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パーソナリティ
  • ミッツ・マングローブ
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    ドラァグ・クィーン・歌手・タレント。総じて「女装家」。
    1975年 4月10日 神奈川県横浜市生まれ
    10代中盤ををロンドンで過ごす。 慶應義塾大学法学部を卒業後、 英国ウエス卜ミンスター大学に入学。商業音楽全般を学ぶ。帰国後2000年ドラァグ・クイーンとして東京でデビュー。以降、各地のクラブを中心に様々な活動やイベントの主催をする傍ら、05年に星屑スキャットを結成。07年スナック「来夢来人」にて丸の内初の女装ママに。
    09年頃からテレビでも活躍。
    2011年「若いってすばらしい」で歌手デビュー。2012年3人組コーラスグループ“星屑スキャット”のメンバーとして「マグネット・ジョーに気をつけろ」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2018年星屑スキャット1stアルバム「化粧室」をリリース。野外フェスティバルへの出演含め精力的に活動中。
    2019年星屑スキャット初の全国ツアー「あ々喉仏」開催。
    2021年4月中野サンプラザを含む星屑スキャット全国ツアー「色、色々」開催。