淵澤:今週から野田聖子さんが取り組まれている様々な
「子育ての課題」について伺っていきます。
きょうは「女性の働き方」についてです。
自見:聖子先生にとって、母になったことが、働き方の転換期では?と
思っております。母親としての強い意志、
マー君(息子さん)を守るのは私なんだ!という強い意志を
感じます。産まれてきてくれたマー君と対面してきた時、
どんな気持ちだったんですか?
野田:17週目から障害があるというのは覚悟していました。
だから、“生かされている”だけで、1日1日よかったです。
この歳で“おっぱい”出てましたし。
搾乳してNICU(新生児集中治療室)に届けると入れてくれる。
毎日その積み重ね。息子の状態の悪さは織り込み済みだったし、
それをよくするために駆けずり回っていました。
自見:マー君を産む前と後では、まったく働き方も変わったということですよね。
多くの女性が子供を産みながら、家庭を守りつつ、
社会でも活躍をする。
そのような“社会のマインド”どう変わっていくべきだと
思われますか?
野田:子供を持っていらっしゃる方は“ハンデ”だと思われてきたけど、
むしろ今、働き方改革で求められているのは“生産性”なわけで。
お母さんを経験すると非常に生産性が向上します。
ダラダラと仕事をしているわけにはいかない。
なにしろ、天からいただいた命を守らないといけないので。
残業をして(食事の世話をしないで)子供を
飢え死にさせるわけにはいかない。わたしも独身の時には
ダラダラ朝から晩まで仕事をしてきましたが、
誰にも迷惑をかけなかった。でも、いまは責任があります。
それと、子供って制御不能です。子供を持つと、
想定外の色々なことに耐えうる“器用さ”が身についてきます。
なにかショックなことがあっても「世の中そんなものだ!」と。
つまり女性はもともと、そういう環境に置かれちゃうんだけど、
男性にも、そういう予定調和のない世界っていうのを
知ってもらって、限られた時間の中で仕事をするクセを
付けてもらえれば、働きやすい、生産性が向上する社会を
作れるだろうなと、母になってから思います。
自見:聖子先生の息子さんは現在、小学校2年生。やんちゃ盛り。
聖子先生のブログ「ヒメコミュ」で、
元気姿を拝見することが出来ます。
野田:産まれた時には仮死状態。これまでに13回の外科手術を
やってきました。(現在)見た目はそんな風には見えなくて。
我ながら凄い子だなあと。わりと、すくすく育ちました。