1242 ニッポン放送
つかちゃんコラム
塚越孝
塚越孝
column
11月26日

一週間のうち、ニッポン放送お山歩会で袋田の滝へ行った以外は、
六日間落語会という充実した?日々を過ごしました。
まず、新宿末廣亭、昼の前座から、前回は六時間で挫けたので、
久しぶりの九時間居続け。
落語ブームでホール、会館、お寺、お店、色んな所で会がありますが、
やはり、基本は寄席です。
昼席の主任、柳家小満んは「猫の災難」。
師匠、人間国宝だった小さんが得意にした噺ですが、
しっかりその芸を受け継ぎ、
なおかつ最初の師、名人・文楽の雰囲気も漂わせる品格。
先月は、この人の「目黒のさんま」を聴きましたが、
季節感溢れ、江戸落語の良さがじんわり伝わります。

翌日は伝統ある「わせだ寄席」。
大隈小講堂、立ち見も出るほど。
それもそのはず、最高の顔ぶれ。
春風亭昇太「人生が二度あれば」、林家たい平「愛宕山」、
立川志らく「火焔太鼓」、柳家三太楼「初天神」、
そして早大落研出身の新真打、桃月庵白酒の「代脈」。
OBの顔がちらついたのか、ちょっと上がってました。

昇太は軽さが持ち味ですが、
間の取り方が見事で風格すら感じました。
たい平は、枕の組み立て良く、噺にも説得力が。
特筆すべきは三太楼で、
寄席でよくかかる噺にたっぷり二十五分、
だれることなく古くさくなく、子供が今風で爆笑につぐ爆笑。

翌日、錦糸町の手打ちそば「みつまさ」で
金馬、金時、実の親子会。
派手さはないけど金時、お薦めです。
大御所、金馬は、本当に落語家らしい落語家で
季節どんピシャの「七五三」という短い噺から「ねぎまの殿様」。
「七五三」は創作に才を発揮した初代・権太楼の作で
直接、本人から教わったという珍しいもので他にやり手はない。
息子に、今のうちに習っておきなよと言っておきました。

翌日、ニッポン放送イマジンスタジオで入船亭扇辰ひとり会。
師匠、扇橋譲りの「藁人形」で客をぐっと惹きつける。

一日おいて第四回青山寄席「笑福亭鶴瓶落語会」。
「愛宕山」を秋の山歩きにかえ、
紅葉に小判を撒く演出は色が浮かんだ。
桂三枝作「悲しみよありがとう」、
独自の私落語「お母ちゃんのクリスマスツリー」も
哀愁があって落語が現代にも通用することを示してくれました。

おしまいは安田大サーカスの東京初単独ライブ。
サッカー少年だった安田団長は国立競技場を目指していて、
国立にこだわり、「国立演芸場」で。
若い女の子でいっぱい、DVDも飛ぶように売れる。
テレビの人気者だが、ネタ作り、稽古を積み重ねた上での
むちゃくちゃぶりが、国立の板の上で弾けた。

年末年始のお笑い番組では引っ張りだこになるでしょう。
単なる際物でない確かで強かな関西の芸がある。
得意の赤ふん姿から少しはみ出たように見えたが、
わざとじゃないと必死の弁明。
国立からお咎めはあるか。
これ放送事故でなく、なんて言うんでしょう。




 
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