1242 ニッポン放送
つかちゃんコラム
塚越孝
塚越孝
column
12月 3日

B'zの「PleasureU」というアルバムの発売に合わせて
一曲オンエアーしました。
AMラジオはジャンルを問いません。
私の番組では、十二歳から八十八歳までが聴いてくれているので、
その日の雰囲気に合わせて、なんでもかけます。
クラシックはかけません、基本的に唄入りです。
でも、浪曲は長いから無理です。
エノケンからアヤヤまでかけます。

若者に人気のアーティストですから、私は当然、
平板アクセントだろうと思って“ビーズ”と発音してきましたが、
そうじゃないの生放送中にメールで投書があり、
「“ビー”ズ」と、頭高になるんだそうです。

戦後の舞台中継で一世を風靡し、「空白の名人」といわれた
通称“はくさん”こと高橋博アナウンサーの晩年に間に合い、
東京・四谷の奥方公認の彼女がやってる小料理屋で貴重な話を、
静かに飲みながら何度も聴きました。
今、思えば宝物のようなひと時で、録音しておけばよかった。
単語が平板化して、日本語に表情が無くなってきたと
よく嘆いておいででした。三十年前です。
もう、すでに「カレシ」「クラブ」「ドラマ」って
兆候があったんですね。
「音(おん)の美しさと間(ま)だよ」ってことも
しょっちゅう言ってました。

美空ひばりが幼いころ、好んで唄ったという
三門博の「唄入り観音経」。
遠くちらちら灯りが見える、あれは言問こちらを見れば、
誰を待乳のもやい舟ーと自分勝手な間で、
息継ぎをしやすいよう読みますが、そうじゃあないと。

遠くちらちら灯りが見えるあれは言問、
こちらを見れば誰を待乳のもやい舟ー意味を考えると、
こういう間になると。
なるほど、ここで切って間を取れば、
言問とこっちの川岸の距離感が表現できます。

B'zの今回のも含め三枚のベストアルバムを改めて聴いてみると、
バラードはもちろんシャウトする唄も、音といい間といい、
文句のつけようがありません。
こりゃ、売れるはずです。
私のようなおやじ世代も心地よく聴くことができます。

また、詩がいい。唄の文句がいい。タイトルがいい。
暮れにカラオケに行って古いのを唄い疲れたら、
ズラーっと並んだB'zをBGM代わりに選曲してみてください。
テロップを読むと感心、納得するばかり。

「easy come easy go」という曲があります。
英語のイディオム(慣用句)で、
「得やすいものは失われやすい」という意味です。
どうも最近、あっという間に
ビルやマンションが建つと思ったらこの騒ぎ。
ビル工法が格段に良くなったと勝手に解釈していましたが、
油断なりません。

あんなでかいコンクリが
そんな簡単に建ち上がるはずないんです。
それを建つ前から、モデルルーム見て購入するなんざ、
騙す奴はもちろん悪いけど、買う方も「間」抜け。



 
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