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サンデー早起キネマ『名もなき生涯』

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番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」

今回は、自らの信念と家族への愛のために、ナチスに立ち向かった男の実話
『名もなき生涯』

あの時代ヒトラー相手に、本当にこんな人物が実在したのか?!と驚くばかりです。

主人公は、オーストリアの山と谷に囲まれた小さな美しい村で、農業に精を出す農夫フランツ。
妻のファニと3人の娘と共に、素朴で穏やかで幸せな毎日を送っていました。
ずっと続くと思っていた小さな幸せ…しかし、第二次世界大戦の戦火が日々激しくなり、ついにフランツにも召集令状が届きます。
しかし、彼は信じているキリストの教えにかけて「罪のない人を殺すことはできない」と兵役を拒否。
さらに、ヒトラーに忠誠を誓う書類にサインすることを拒み、逮捕されてしまいます。
狭い独房に閉じ込められ、孤独に耐えながら裁判を待つフランツを、ファニは手紙で優しく励ましてくれます。しかし彼女自身も、村では、裏切り者の妻としてひどい仕打ちを受けていたのです。
この先、フランツとファニは一体どんな運命をたどるのでしょうか?

監督は、今年77歳「シン・レッド・ライン」「ツリー・オブ・ライフ」などで、映画界の“生ける伝説”と称されるテレンス・マリック。
広い空と雄大な山や谷、緑の草原…美しすぎる村の景色と対照的な人間模様。
少ないセリフと小さなシーンを丹念に重ねて出来事を炙り出す演出方法はさすがです。
まるでドキュメンタリーをみているような気分になります。
だからこそ私たちは、フランツとファニ、2人の気持ちに寄り添えるのかもしれません。

この作品を観て怖いと思ったのは、世の中が何かに突き動かされるように進んでいくと“本当に正しいことは何なのか”、わからなくなってしまうことがあるのではないか…ということです。
でもその時、自分の感覚として間違っていることには従わない…そんな強さをもつことがどれだけ大切かということを目の当たりにできる作品です。
そんな自分の大切な内なる声に誰も耳を傾けられなくなった時、ひとりひとりが考えることを放棄し誰かに自分の人生を委ねてしまった時…また取り返しのつかない悲劇がおきるのかもしれません。
火種となる小さな争いが絶えない今だからこそ、この作品を多くの方に観て頂きたいのです。

『名もなき生涯』全国公開中 

公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/namonaki-shogai/

©2019 Twentieth Century Fox

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