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サンデー早起キネマ『風の電話』

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番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」

東日本大震災から8年、傷ついた心を抱えた少女の旅を描いた『風の電話』

このタイトルで「ああ…」と思った方も多いことでしょう。
2011年に岩手県大槌町に設置された電話ボックス。
電話線の繋がっていない<風の電話>。
“天国に繋がる電話”として、亡くなった人に思いを伝えたい人達が訪れています。

主人公は大槌町で東日本大震災にあった高校生のハル。
身寄りがなくなり広島の叔母の家で暮らしていますが、その叔母が倒れたことをきっかけに今まで抑えていた感情が溢れてきます。
そして故郷をめざして、ヒッチハイク!
土砂災害や原爆など、広島で起きた様々なことを語ってくれた年老いた親子。
命の大切さを実感させてくれた妊婦さんと弟。
そして震災の時に助けてくれたクルド人を探している男性。彼もまた福島で家族を津波で失っているのです。
旅を続ける中でハルは様々な人と出会い、別れます。
ハルの目にはどんな景色が映っていくのでしょうか?
そしてハルの心が辿りつく先は?

ハルを演じたのは、モトーラ世理奈さん。
透明感のある本当に素晴らしい役者さんで私も注目しているのですが、今回も見せてくれました。
言葉少ない演技なのに、ハルの気持ちが手に取るように伝わってくるのです。
最後の10分を超える長回しカットには号泣してしまいました。

そして、西島秀俊さん、三浦友和さん、西田敏行さんといった名優が傷ついたハルを優しく包み込みます。

監督は、その場で俳優に自分の中から出てくる芝居を求める“即興芝居”を信条とする諏訪敦彦監督。「俳優は単に演じる人でなく、そこに存在している人」という通り、今回も一人一人が、役者ではなく、まさしくその役を生きていました。

必ず!ハンカチを用意してご覧下さい。
失われた故郷、傷ついた故郷。
土地の記憶と人々の記憶が織りなす物語。
まるでドキュメンタリーをみているようなロードムービーです。



『風の電話』
2020年1月24日(金) 全国ロードショー

公式HP:http://kazenodenwa.com/

監督:諏訪敦彦
出演:モトーラ世理奈、西島秀俊、西田敏行(特別出演)、三浦友和
配給:ブロードメディア・スタジオ

(C) 2020映画「風の電話」製作委員会

 

 

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