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サンデー早起キネマ『声優夫婦の甘くない生活』

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おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
12/13は、激動の時代、懸命に生きる人々を描いた全く違うタイプの2作品を放送しました。

2本目は、イスラエルから届いたユーモラスで心温まる人生賛歌
『声優夫婦の甘くない生活』

時は、東西冷戦が終結を迎え、東ヨーロッパの国々が民主化し、ソ連が崩壊に向かっていた頃。
1989年には出国制限も緩和され、崩壊期の混乱を避けるため、ソ連に住むユダヤ人の出国ラッシュが始まりました。
イスラエルに移った旧ソ連生まれのユダヤ人とその家族は、2000年代までに、累計でおよそ120万人、当時のイスラエルの人口の2割に上ったそうです。

この物語の主人公・ヴィクトルとラヤ夫婦も1990年にイスラエルに移りました。
2人は、かつてソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍した声優夫婦。
しかし、第二の人生の現実は厳しく、ロシア語声優の仕事がない新天地でどうにかして生活費を得る方法を見つけなければなりません。
ラヤは、テレフォンセックスの仕事を見つけ、意外な才能を発揮!超売れっ子に。

一方、ヴィクトルは違法な海賊版レンタルビデオ店で再び声優の職を得ます。
ようやく軌道に乗り始めたかに見えた生活。
しかし、ラヤの仕事がヴィクトルにバレてしまったことで、長年気づかないふりをしてきたお互いの本当の心の声が噴出し始めるのです。
果たして、新天地で迎えた60代夫婦の再出発は、一体どうなってしまうのでしょうか?

自身もロシアからの移民だったエフゲニー・ルーマン監督は、子供時代の経験をもとにこの作品を描きました。
イスラエルの映画にはこれまでなかった親世代のストーリー。
「実際の生活がそうであるように喜劇的で馬鹿げた映画にしたい」と思ったそうです。
そう!転換期を迎えた世界の歴史的事情を背景に描く熟年夫婦の物語は、わちゃわちゃといろんなことが起きますが、その視点はとてもユーモラス。
なんだかとても可愛らしくて、面白いんです。
そして、ありがちな熟年夫婦の毎日に、どこの国でも一緒なのね…とクスっとしてしまいます。

スター声優の夫婦が、異国の地でスターではなくなった時、見えてくるお互いの本当の姿…2人はどう受け止めるのでしょうか?
鉄のカーテン崩壊後により良い生活を願って海を渡ったロシア系ユダヤ人たちの歴史の一幕を、軽妙なユーモアと温かいまなざしで描くと同時に、「映画は豊かな世界そのもの。声優はその案内人だ」というセリフに託された映画愛も溢れるほどタップリ。
今年、生誕100周年を迎える名匠フェデリコ・フェリーニに最大のオマージュを捧げています。
是非、大きなスクリーンでご堪能下さい。

いつも側にいるあの人が愛しくなる、ビタースイートであたたかい大人の物語
『声優夫婦の甘くない生活』

12月18日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

公式サイト:longride.jp/seiyu-fufu/

監督:エフゲニー・ルーマン
脚本:ジヴ・ベルコヴィッチ、エフゲニー・ルーマン
出演:ウラジミール・フリードマン、マリア・ベルキン
2019年/イスラエル/ロシア語、ヘブライ語/88分/スコープ/カラー/5.1ch/英題:Golden Voices/日本語字幕:石田泰子 
後援:イスラエル大使館 配給:ロングライド

 

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