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サンデー早起キネマ『在りし日の歌』

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番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」

中国から届いた3時間を超す感動のヒューマンドラマをご紹介しましょう。
『在りし日の歌』

この作品の根底をなしている曲が「蛍の光」。
日本では、卒業の歌。知らない人はいないほどお馴染みの曲ですよね。
中国では、“古き友を忘れられようか”と、永遠の友情を歌っています。
作品の中で効果的にこの曲が繰り返し流れ、郷愁に胸がキュンとなります。

中国が大きく揺れ動いた1980年代から2010年代。
文化大革命から数年が経ち、一人っ子政策、企業は国有から民営化し経済が発展、変貌し続ける社会の片隅で、喜びも悲しみも分かち合い、時を重ねる夫婦の30年の物語です。

地方にある国有の工場で働くヤオジュンとリーユン夫婦は、一人息子のシンと3人、幸せな毎日を送っていました。
同僚のインミンとハイイエン夫妻には、シンと同じ日に産まれた息子ハオがいて、義兄弟の契りを結び、家族ぐるみの付き合いをしていました。
そんなある日、ハオに連れられて遊びに行った川で、シンは帰らぬ人となってしまったのです。
乗り越えられない悲しみを抱えたヤオジュンとリーユンは、故郷を捨て、誰も知らない遠くの海辺の町に移り住みます。
やがて時は流れ…その間にも二人には、いろんなことが起きます。
シンの代わりに養子に迎えた息子との確執、昔の友たちとの再会…。
物語は、ゆっくりゆっくり進んでいきます。
会話の間の沈黙も、ヤオジュンが煙草を吸う仕草も、リーユンが野菜を刻む様子も…だからこそ、見ている私たちは、まるで二人と一緒に時を過ごしているように感じ、彼らの喜びや悲しみ、怒り、諦めが手に取るようにわかって、心に寄り添うことができるのです。

シンが亡くなるという事件を中心にした過去、そして現在が行ったり来たりしますが、それを承知した上で見ればよく分かると思います。私は何の知識もないまま見てしまったので、途中ちょっと時系列に戸惑いましたが、それも束の間、段々彼らにのめりこみ、最後は感動の涙が溢れていました。

3時間5分で味わう夫婦の30年…ずっと二人を傍で見てきた親戚になったような気分です。
いろんなことを乗り越えて一緒に時を重ねることの素晴らしさ、そして、時々小さな間違いもするけれど、人として一生懸命ちゃんと生きていくって素敵なことだなと改めて思いました。
人は幸せになるために産まれ、幸せになるためには日々の小さな積み重ねが大切なんですよね。
中国らしいゆっくりとした悠久の時の流れを感じるこの春オススメの感動作です!

『在りし日の歌』

4月3日()より角川シネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開

公式サイト:http://www.bitters.co.jp/arishihi/

【キャスト】
ワン・ジンチュン(王景春) ヨン・メイ(詠梅) アイ・リーヤー(艾麗婭) チー・シー(齊溪) ワン・ユエン(王源) ドゥー ・ ジャン(杜江) シュー ・ チョン(徐程) リー ・ ジンジン(李菁菁) チャオ ・ イエングオジャン(趙燕國彰)
【スタッフ】
監督:ワン ・ シャオシュアイ(王小帥)
脚本:ワン ・ シャオシュアイ(王小帥) アー・メイ(阿美)
撮影:キム・ヒョンソク
音楽:ドン ・ インダー(董穎達)
英題:SO LONG, MY SON 原題:地久天長  2019 年|中国| 185 分|カラー| 1.85:1 配給:ビターズ・エンド
ⒸDongchun Films Production   
 

 

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