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日本小児科学会の高橋孝雄会長。小児科医は代弁者として「こういうことなんだよね」と翻訳してあげることが大切

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1月20日(日)の放送では日本小児科学会の、高橋孝雄会長をお迎えして、小児科医の役割「代弁者」についてお伺いしました。

自見 慶応大学の医学部に入学されて
   「小児科医」を選択された理由、お聞かせ下さい。

高橋 医学部の5年生になると、すべての科をまわります。
   産婦人科の時、私が担当させて頂いたお母さんが妊娠28週で
   破水してしまってお産しなくてはならなくなったんです。
   指導医の先生に「分娩室までついて行っていいですか?」と尋ねると
   「やめとけ」と言われたんです。子供は死に、お母さんは泣く。  
   そういうところを学生が見て大丈夫か?と。
   でも私は少し不謹慎かもしれませんが医学として興味があり
   分娩室に入りました。そして赤ちゃんは産まれましたが、
   息はしていない。生体反応もない。体は紫色。
   そこには3人の先生が待機していました。
   1人の先生が赤ちゃんの気管に管を入れその管を口にくわえ
   さらに酸素ボンベの管をくわえて赤ちゃんの肺に酸素を送りました、
   人工呼吸です。すると赤ちゃんの体がピンク色になったんです。
   まさに命を吹き込んだ。そしてすぐにタオルで赤ちゃんをくるんで、
   抱っこして3人で駆け出したんです。新生児集中治療室まで駆けて行き
   保育器に、宝物を入れるようにそっと置いた。
   3人の先生は保育器の窓から手を入れて様々な治療をはじめ、
   終わった人から手を抜いた。そして閉鎖された保育器の中で赤ちゃんは   
   人生をスタートさせたんです。それがめちゃくちゃかっこよくって。
   こんな仕事があったんだと思って、その一瞬で小児科を選びました。

自見 人生を変える出会いですね。

淵澤 小児科学の教科書には「小児科医は代弁者たれ」と
   書かれているそうですね。これは、どのような意味なんですか?

高橋 日本だけではなくアメリカの教科書にも
   「アドボケイト」と書かれています。
   日本小児科学会のホームページにも、
   「小児科たるもの子供の代弁者であれ」と書かれています。
   子供、そしてお母さん、さらには小児科医の代弁者と考えています。
   代弁者とは何かというと、何かいいたいことがある人っていますよね。
   でもそれがどういう思いなのか、自分でもわからない。
   子供もそうです。虐待を受けている寂しい気持ちって何だろうと
   わかる子供はほどんどいません。
   それからお母さん。なぜ自分はこんなに苦しいなのか、わからない。
   だから、そういう方々の話を聞いて、わかりやすい言葉に翻訳する。
   そして翻訳した言葉をご本人に返すのが代弁者だと思っています。
   「こういうことなんだよね」と翻訳すると、
   子供は「あ~あ!」と言います。これが、代弁者なのです。

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