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2018年6月25日
車いすバスケットボール男子日本代表・豊島 英選手 (1)

今回のゲストは、車いすバスケットボール男子日本代表キャプテンの豊島英(とよしま・あきら)選手です。

 

 

6月8~10日に開催された、車いすバスケットボールの国際親善大会『三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2018』で、日本は全勝優勝を果たしました!

決勝(日本vsオーストラリア)を会場で観戦した鈴木亮平さんは、この試合ですっかり豊島キャプテンのファンになってしまったということで、今回の放送では、かなり前のめりに話していましたね(笑)

 

『三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2018』を終えて、豊島選手は

「この大会で優勝できたという事が、何より日本代表の自信につながったので、素直に嬉しかった」と率直な感想を述べました。

オーストラリア、カナダ、ドイツという世界の強豪を迎えて行われたこの大会。

東京2020パラリンピックで車いすバスケットボールの試合会場となる『武蔵野の森総合スポーツプラザ』が戦いの舞台ということもあり、日本代表としては2年後を見据えて、会場入りや初戦の入り方等を想定しつつ、”優勝”を目標に掲げ、大会に臨みました。

これまで国際試合でなかなか勝ちを手にしていなかった日本代表が、このような国際親善試合で勝つことで、自分たちのスタイルや日本のトランジションバスケットボールを証明させる上でも、重要な大会として位置づけていました。

 

結果は、決勝戦を含む4試合全てで勝利を収め、日本が優勝!

“全勝優勝”に、豊島選手も手ごたえを感じていました。

「今、日本代表が取り組んでいるバスケットが、世界相手に、強豪チーム相手に、通用する部分が見えてきたので、そこは自分たちの強みだと改めて思いました」

 

今回の大会では、試合中、ほとんどの時間コートの中にいた豊島選手でしたが、コートの外から見ていて「いいなと思う時間」があったのが、2日目に行われたカナダ戦だったといいます。

43対43で迎えた、第4Q。

カナダが得点した後、鳥海連志(ちょうかい・れんし)選手が3連続得点を挙げ、試合の流れを一気に日本に引き寄せたシーン。

「チーム全体で戦っている」

豊島選手は、その時、そう感じていました。

「リオのパラリンピックまではプレータイムが偏っていて、ほぼ、主力の5人で戦ってる状況だったんですけど、そこから日本代表は、全員でまわしながら得点を取って、プレーの質を落とさずに戦う今のスタイルに変わりました」

合宿での“ベリーハードワーク”に意欲的、意識的に取り組み、選手一人一人がレベルアップしたことがチーム全体の底上げに繋がり、選手層も厚みを増しました。

事実、このカナダ戦には12名全員が試合に出場。チーム全員で掴んだ勝利でした。

 

個人としても、攻守にわたり大活躍し、日本を勝利に導いた豊島選手。

「スピードを活かした、アグレッシブなディフェンスを武器に戦っている」と自らが語るように、その堅いディフェンス力は、今や日本代表にとって欠かすことができません。

“チーム最長のプレータイム”が、それを裏付けます。

そして今大会では、高いディフェンス力に加え、得点力も光りました。

得意のレイアップシュートのみならず、ミドルシュートやフリースローも確実に決め、決勝では、エース・香西宏昭(こうざい・ひろあき)選手、藤本怜央(ふじもと・れお)選手と並ぶ、チーム最多の14得点で、優勝に大きく貢献しました。

男子日本代表の及川晋平(おいかわ・しんぺい)ヘッドコーチは豊島選手を「今大会のMVP」と絶賛し、車いすバスケットボール界のスーパースター、カナダのパトリック・アンダーソン選手も、気になる日本人プレーヤーとして豊島選手の名前を挙げました。

豊島選手は、ご自身のパフォーマンスについて、このように振り返りました。

「この大会は、比較的安定して、やりたいこともやって結果も出たので、とても充実した大会ではありましたけど、まだまだ質の面だったり、チーム力では課題がみえた部分もあるので、そこは、もっともっとこれから伸ばしていかないといけないなと思いました」

 

『三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2018』大会期間中、会場には昨年を上回る1万2000人以上の観客が訪れ、選手たちに大きな声援を送りました。

その声援は、選手たちを力強く奮い立たせました。

「応援があると、個人的にもそうですし、チームの雰囲気も良くなって、その期待に応えたいという気持ちになります。勝利を目指す中で、応援を(自分たちの)力に変えられるというのは、やっぱり日本で試合をやるメリットですね」

 

8月には、ドイツで開催される世界選手権に臨む、車いすバスケットボール男子日本代表。

世界選手権では “ベスト4以上” という目標を掲げています。

大きな戦いを前に、キャプテンの豊島選手は語ります。

「世界選手権にもなってくると、簡単に勝てる試合は数少なくて、一戦一戦が大切になってきます。今回のWORLD CHALLENGE CUPの結果により、選手ひとりひとりが日本の強みを認識できたので、それをまた2ヶ月間、一人一人がレベルアップして、世界選手権の場でぶつけていきたいと思います。そして、今回、日本が全勝優勝したことによって、他のチームも日本対策をしてきたり、今まで日本と対戦した時のギアより、一つ、二つ上げてくるというのも予想されるので、それに負けないくらい、自分たちのギアも上げていかなければいけないと思っています」

戦いと挑戦の日々は続きます。

 

豊島英選手のリクエスト曲: ライオン / ベリーグッドマン

 

次回も、車いすバスケットボール・豊島英選手をゲストにお迎えしてお送りします。

どうぞお楽しみに!

2018年6月19日
ウィルチェアーラグビー・三阪洋行さん (2)

ウィルチェアーラグビーの三阪洋行(みさか・ひろゆき)さんをお迎えしてお送りした第2回目。

今回は、三阪さんがプレーイングマネージャー(選手兼ヘッドコーチ)を務める、ウィルチェアーラグビーのクラブチーム『TOHOKU STORMERS(東北ストーマーズ)』について伺いました。

 

TOHOKU STORMERSが結成されたのは、昨年、2017年4月。

新チーム立ち上げの構想は2年前からあったといいます。

具体的に動き出したのは、リオ2016パラリンピック直後のこと。

日本代表として出場した、庄子健(しょうじ・たけし)選手と、リオからの帰りの飛行機で話したことが大きなきっかけになりました。

三阪さんと長い付き合いだという庄子選手は仙台在住。

当時、東北地方にチームがなく、庄子選手は関東のチームに所属して、1〜2ヶ月に1回、チーム練習に参加するという状況でした。

これだけ、東京2020パラリンピックに向けて、パラスポーツやウィルチェアーラグビーが盛り上がる中で、メダリストになっても充分な練習環境がないことに憤りを感じていた三阪さんは、東北地方でウィルチェアーラグビーができる環境を作るため、何かできないかと庄子さんに話を持ち掛けたのです。

その時の会話が大きな一歩となり、東北での新チーム発足に向けて、選手やスタッフ集め、クラブ運営等について試行錯誤の日々が始まりました。

 

チーム登録をするには、最低でも5人の選手が必要でしたが、東北在住でウィルチェアーラグビーができる選手は2〜3人しかいませんでした。

そこで、関東の選手にもサポートしてもらうことで、チームとして成り立たせ、練習場所については、東北からも関東からもお互い2〜3時間圏内で集まることができる福島県に拠点を置くことにしました。

チーム練習は、月に1〜2回の合宿形式。それ以外は、関東在住の選手たちは関東組で集まり、東北組は東北で、それぞれ少人数の練習をして、チーム練習で合わせようということになりました。

ひとつひとつ問題を解決していき、チーム発足に向けて準備を進めていた、ある日。

三阪さんにとって、そして、チームにとって、大きな出会いが訪れます。

当時、中学3年生だった、橋本勝也(はしもと・かつや)選手との出会いです。

東北のスタッフから、ウィルチェアーラグビーができるかもしれない青年がいるという情報を受け、三阪さんと庄子選手は、競技用車いすを持って橋本青年に会いに行きました。

それまでにほとんどスポーツをやったことがないということでしたが、競技用車いすに乗り、ウィルチェアーラグビーの魅力のひとつでもあるタックルをした瞬間、橋本青年の目が輝いたことを、三阪さんは今でもはっきり覚えているといいます。

そうして、橋本勝也選手もチームに加入し、ついに、2017年4月、東北に新たなウィルチェアーラグビーチーム『TOHOKU STORMERS』が誕生しました。

 

チームが立ち上がり、まず目標に掲げたのは、毎年12月に行われる日本選手権に出場することでした。

「ただ東北で楽しくウィルチェアーラグビーができればいいかといったら、そうではないと思うんです。選手たちが向上心を持ったり、大きな目標を持ってやるというのは、すごく大事だったので、それを大事にして1年間とりくんできました」

TOHOKU STORMERSの挑戦が始まりました。

しかし、チーム発足当時から主力の選手が病気を患い体調を壊してしまったこともあり、三阪さんが思い描いていたプラン通りには進んでいきませんでした。

日本選手権予選では、勝てるはずのチームに敗れ、本大会出場も危ぶまれました。

ただ、予選での敗戦を機にチームの結束が強くなっていくのを、三阪さんは感じていました。

改めてチーム一丸となって練習頻度をあげ、本大会出場への最後の望みをかけて、TOHOKU STORMERSは、プレーオフに臨みました。

プレーオフでは前評判を大きく裏切り、全勝!

チーム結成からわずか数ヶ月で、日本選手権出場を勝ち取りました。

このプレーオフを勝ち切れた要因について三阪さんはこう話します。

「僕たちの中に加わってくれた橋本勝也選手は、当時、中学生で、簡単に大会に帯同するのは難しかったんです。プレーオフも北海道で行われたので来られませんでした。ただ、日本選手権には行けますよと言われていたので、じゃあ”勝也のために勝とう!”というスローガンを掲げ、僕ら30代後半の選手が中心なんですが、久々に、誰かのために、目標を持って、負けられない戦いを緊張感を持って戦えたというのが、日本選手権出場を決めるいいきっかけになったと思います」

 

日本選手権初出場を果たしたTOHOKU STORMERSでしたが、結果は全敗。

最下位で大会を終えましたが、三阪さんは、日本選手権という舞台で、東北にチームができたという爪跡を残すことができ、プレーの面でもこの大会で得た収穫は大きいとして、チーム1年目としては上出来だと話しました。

中学3年生、15歳の橋本勝也選手も公式戦に初出場し、チームの一員として堂々とプレーしました。

 

春から高校生になった橋本選手は、なんと、日本代表強化指定選手に初招集され、4月に行われた日本代表合宿に参加ました。

ウィルチェアーラグビー日本代表アシスタントコーチでもある三阪さんは、橋本選手に大きな期待を寄せています。

「持ってるポテンシャルというか、可能性もそうですし、実際、TOHOKU STORMERSで1年間一緒にやってみると、学習能力も高く、競技をするセンス、同じ失敗を繰り返さない向上心も持ってます。次の練習で会う時には、もう前の失敗をしない。ちゃんと、前にミスしたことをふまえて、プレーしてるっていうのが目に見えてわかって、日に日に成長している姿が、僕らも新鮮でしたし、可能性の高さをより感じる機会にもなりました。タイミングさえ合えば、成長さえうまくいけば、東京2020パラリンピックの目玉になれる可能性を持った選手なんじゃないかなという思いも込めて、(日本代表の)ケヴィンヘッドコーチとコミュニケーションを取りながら、彼がそういう場所に行って挑戦できるチャンスを作ってあげたいと準備していって、今年度の4月に正式に強化指定選手合宿に挑戦してもらいました」

(橋本選手は、先日、ウィルチェアーラグビー日本代表としてカナダで開催された CANADA CUPに出場。日本代表、そして、国際大会デビューを果たしました!)

TOHOKU STORMERSのプレーイングマネージャーとして、日本代表アシスタントコーチとして、三阪さんの挑戦は続きます。

 

最後に、上をめざして進もうとする方に伝えたい“Going Up”な一言を伺いました.

『“できない” ではなく “どうすればできるか” を考える』

事故に遭い、車いす生活を余儀なくされた時、もう何もできないと思った。そのまま、できないと思っていたら、きっとベッドの上から起き上がることもなく、その先の人生が終わっていた。でも”できない”ではなく “どうすればできるか”と考えたことで、車いすを使っていろんな所に行けるようにもなったし、ウィルチェアーラグビーという、自分が大好きなラグビーがまたできた。”できない”と決めてしまうと、そこで全てが終わる。できないかもしれないけど、あと1回でも”どうすればできるか”を考えた先に、自分が目指す場所や、自分が越えたい壁を越えるヒントがあると思う。こう考えながら前に進んできたので、自分の中ではとても大事な言葉だと、この言葉に込めた思いを語りました。

 

三阪さんは、今年2月に、自身の生き方が誰かのヒントになれば、という思いを込めて、これまでの半生を綴った自伝を出版されました。

『壁を超えるー車いすのラガーマン パラリンピックへの挑戦―』(山川出版社)

ぜひ、お手にとって見てください!

 

三阪洋行さんのリクエスト曲:太陽になりたいよ /RYO the SKYWALKER

 

次回のゲストは、車いすバスケットボール男子日本代表キャプテン・豊島英選手です。
どうぞお楽しみに!

2018年6月15日
三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2018 レポート vol.3

6月10日に行われた『三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2018』決勝。

5000人を超えるの大観衆が見守る中、再びオーストラリアとの対戦となったこの一戦。

日本は「チームワークで勝ち切ろう」と心を一つにして決戦に臨みました。

 

前日の予選リーグの時とは違い、オーストラリアはスタートからエースを投入。

日本はブレない堅いディフェンスと攻守の切り替えの速さ、息の合った連携プレーで対応します。

第1Q(18-14)、第2Q(10-16) 前半を終えて、28対30とほぼ互角の戦い。

後半に入ると、徐々にオーストラリアに疲れが見られ、シュートミスも目立つようになります。

第3Q(23-18)を終えて、51対48と日本のリード。

ところが、第4Q、開始からオーストラリアの連続得点により、一時は51対56と、そのまま引き離されそうになります。

しかし、残り7分を切ったあたりから、日本は猛反撃。

オーストラリアに一点の追加点も許さず、逆転からさらに点差を広げ、最後はキャプテン・豊島選手がシュートを決め、65対56で勝利しました。

 

これで日本は、予選リーグを含め、4戦全勝での優勝となりました!!

戦いを終えて、会場には、たくさんの喜び、たくさんの笑顔が溢れました!

 

 

<及川晋平ヘッドコーチ 決勝後のインタビュー>

選手たちがそれぞれ100%の力を出して40分間戦い抜いてくれた、それに尽きます。2020年に向かって、強化指定選手24名全員で強くなっていこうと考えているので、今日、ベンチ全員で戦い抜いたことはこの先に繋がっていくと思います。まだまだだと思いますが、いいスタートを切ったことは間違いないですし、しっかりした自信にして次に進みたいと思います。このような大会で、こんな強豪相手に全勝して金メダルを獲るというのは、僕が知る限りでは歴史上初めてだと思います。ほんとにみなさんと作って来たから、チームも強くなったと思います。これからまた一緒に、2020年に向かって応援して頂けたらいいなと思います。本当にありがとうございました!

 

表彰式には、わが鈴木亮平さんもプレゼンターとして登場!会場から歓声があがりました。

 

車いすバスケットボール男子日本代表のみなさん、優勝、本当におめでとうございます!!!

 

歴史に残る決勝戦を会場で観戦した鈴木さん。6月16日(17日)の放送では、番組後半で大会レポートもありますので、どうぞお聞き逃しなく!