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今回も車いすバスケットボールの藤本怜央(ふじもと・れお)選手をゲストにお迎えしました。
今年6月、車いすバスケットボール・男子強化指定選手のうち13名がアメリカ遠征に参加しました。
藤本選手もメンバーの一人として参加し、国際親善大会でリオ2016パラリンピック金メダルのアメリカ、同・銀メダルのスペインと対戦しました。
今回対戦した世界のトップ・アメリカ代表。どういうチームなのか、藤本選手に伺いました。
「一言でいうと、完全に強いです。個のスキルもチームのスキルも総合的にレベルが高く、パスのスピード、ドリブルのスキル、パスやキャッチの精度…すべてにおいてハイレベルです。シュートも僕たちのインサイドのアベレージレベルでアウトサイドを決めてくるようなスキルを持っていて”世界ナンバーワン”だと思いました」
アメリカとは3年ぶりの対戦となった日本。
今回の遠征では3試合を行い、35対76、46対95、38対54で、0勝3敗という結果に終わりました。
しかし、クォーターごとで見ると互角に戦った時間帯があったのもの事実。
男子日本代表の及川晋平HCは「まだまだ課題は多いが、世界の強豪に対して試合を通していろいろと試すことができたことは来年に向けて大きな収穫」だと語っています。
アメリカ戦を通して藤本選手が感じたこととは?
「総合的な試合結果からするとだいぶ点も取られて、こちらの点も抑えられたという印象ですが、こちらのミスから負けていったのではなく、一番大きな要因はシュート力の差にあります。相手のアクションにこちらがリアクションするのではなく、ディフェンスでアクションを仕掛けて、向こうがリアクションしている時間を増やせば、当然僕たちの方が有利に進む時間帯も生まれてきます。勝ち負けを競うような段階にはまだ到達できませんでしたが、今回、世界一のアメリカに少しリアクションさせられたクォーターがあったことで、『勝つならこうだな』『これを40分やれば勝つな』という戦い方みたいなものは見えたのかなと思っています」
一方、もう一つの対戦国・スペインは、アメリカと違い、大きい(背の高い)選手を4人揃えて、そこに持ち点1点台の選手が加わるのが特徴です。
サイズを生かして、ペイントエリア内、インサイドで戦うというのが基本スタイル。
これに対しての日本の対策は「釣り出して、剥がして、崩す」。
ボールを3ポイントラインの外でもらうとディフェンスが出てくるので(釣り出す)、そこにピックをかけると高い位置で相手のディフェンスが崩れる(剥がす)。そうするとリングに近いところのスペースが大きく広がるので、そこをめがけてアタックして(崩す)インサイドで点を取っていきます。
そこに、「5人での連携プレー」、そして、いいディフェンスからリバウンドを取って、1人でも多く相手のディフェンスが戻る前にペイントに行って点を取るという「トランジションバスケ」で戦います。
スペインは、昨年の世界選手権・決勝トーナメント1回戦で日本と対戦して、50対52と惜しい負けを喫した相手。
今回の遠征ではスペインと3試合を行い、66対73、62対70、58対60と、あと一歩という悔しい結果に終わりました。
勝ち切れなかったことは課題として残りましたが、それでも大きな手応えを藤本選手は感じています。
「今回も2点差で負けはしましたが、内容を見れば僕たちがリードする場面が増えてきたのはよかったと思います。全ての試合で接戦だったので、ヨーロッパの上位にいるスペインに対してそういう戦い方ができたことで手応えを感じました。世界選手権で優勝したイギリスやスペイン、トルコ、ドイツ。そういったヨーロッパ勢の上位に勝っていくと当然(東京パラリンピックでの)メダルが見えてきます。その中でも強いといわれるスペインに今回いいゲームができたことは非常によかったと思います」
東京2020パラリンピックでのメダル獲得に向けて進化を続ける日本代表。
今月、またまたまたあの熱い戦いが東京で繰り広げられます。
それが、三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2019!
昨年は、世界の強豪を相手に日本が全勝優勝を果たし大変な盛り上がりを見せましたが、あの興奮がまた帰ってきます!
昨年の大会に日本代表として出場した藤本選手。
現在の日本代表は前回大会よりもさらにパワーアップしていると自信をのぞかせました。
「(日本代表が取り組んでいる)トランジションバスケは洗練するステージに入ってきているので、もっともっとクオリティにこだわったバスケットになっています。それに、選手一人一人の体力が上がってきました。昨年の大会で優勝はしましたけど、40分間戦えずに失速することがあったんです。そこを強化したことで、40分間止めきる体力が、この1年でまた上がってきたという実感があるので、今年の大会での注目ポイントかなと思います」
日本代表がTOKYOで躍動する、三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2019!
ぜひ会場で熱い熱い声援を送りましょう!!
今回のゲストは、番組最多3回目の登場!車いすバスケットボールの藤本怜央(ふじもと・れお)選手です。
藤本選手が所属するクラブチーム・宮城MAXは、5月に開催された「天皇杯 第47回日本車いすバスケットボール選手権大会」で前人未到の11連覇を達成!令和初の天皇杯チャンピオンに輝きました。
ここまでの道のりを振り返り「長かったです」と率直な感想を述べた藤本選手。
引退した選手、加入してきた選手、他のチームに移籍した選手…いろいろなチームの変化がある中で、豊島英選手や藤本選手といった主力の選手たちが、「自分がいる間はこの連覇を続けていくんだ」という”プライド”を持ってやってきたことが、偉業につながったと話します。
11年間、「昨年の自分たち」という目標を掲げ、目の前にいる敵ではなく自分たち自身と戦ってきたことが一番大変だったといい、それを常にイメージしながら戦い続けたことで、個もチームも成長することができたと、連覇を支えた地道な努力の日々を振り返りました。
今年の天皇杯では、健常者の選手登録が認められるようになったことが大きな話題となりました。
宮城MAXには健常者プレーヤーは所属していませんが、関東では健常者チームがリーグ戦に出場していたり、大学生の頃から(大学のサークルで)車いすバスケットボールを始めた健常者プレーヤーが社会人になってもそのまま関東にある障がい者のクラブチームの中に入って車いすバスケットボールの練習をしているのをみると、確実に「障がい者スポーツ」という垣根を越えた”競技スポーツ”になってきたことをリアルにさせたと、藤本選手は語ります。
健常者プレーヤーの持ち点は、藤本選手と同じ4.5。
最初は疑問に思うこともあったといいますが、「ポジティブに考えれば僕は健常者扱いで、障がいがないプレーヤーとして同等に戦わせてもらうというところで僕のプライドもあったので、ルールの中で5.0ではなく4.5という健常者プレーヤーと戦うことにワクワクしました」と王者の風格を漂わせました。
藤本選手は昨年8月にドイツで開催された世界選手権に日本代表として出場した後、そのままドイツに残り、天皇杯 直前までドイツリーグでプレーしました。
ドイツリーグには、2014-2015シーズンから参戦していますが、肘の手術のため2017-2018シーズンは日本で過ごしました。
そうして再びドイツでプレーすることを選んだ藤本選手。
そんな、2年ぶりとなるシーズンの過ごし方を決定づけたのが世界選手権での戦いでした。
「世界選手権で実は自分はほとんどプレータイムがなかったんです。今まで40分間試合に出ていた僕が、一番短かった試合では出場時間が1分半でした。でも、その試合でチームは勝ったんです。目標としていたベスト4という結果には届きませんでしたが、僕が出ていない試合で世界に勝っていくというのが現実的にあって、時代が変わってきたというのを感じた世界選手権でした。日本代表に入って初めて、代表に必要か必要じゃないかのエッジに立たされたのを直面して、ドイツではがむしゃらにやろうと決めました。シーズンをやりきって、自分にもう一度自信をつけられるような、そんなシーズンにしようと思って臨みました」
今、男子日本代表の軸になっているのは「走るバスケ」。
たとえチームから離れていても、日本代表のバスケットボールを忘れずに、40分間走りきれる体力作りをして、試合勘の中で、日本のバスケをイメージしながら、どう自分がプレーしていくかということを考えながら過ごしたシーズンとなりました。
藤本選手は、ドイツから帰国後、休む間もなく天皇杯や日本代表強化合宿に参加。6月には強化指定選手としてアメリカ遠征に旅立ちました。
今回の遠征では、リオ2016パラリンピック金メダルのアメリカ、同・銀メダルのスペインと3試合ずつ、計6試合を戦った日本。
パラリンピック本番1年前の貴重な経験となったこの遠征での戦いについては、次回、たっぷりとお届けします。
どうぞ、お楽しみに!
藤本怜央選手のリクエスト曲:未完成交響曲 / ONE OK ROCK
ドイツにいる時に出会った一曲。まだまだ成長しなければいけないと思う自分がいた中で、タイトルの”未完成”という言葉がすっと入ってきて、聴いてみるといい曲だったので、それ以来、好きな一曲になったということです。
今回も、車いすバスケットボールの柳本あまね選手をゲストにお迎えしてお送りしました。
柳本選手は、2歳の頃、両脚に機能障がいを負って歩くのが難しくなり、幼い頃から車いすで生活しています。
歩いていた頃からすごく活発で、走り回ったり動くことが大好きな女の子でした。
車いす生活になっても、小学1年生の時から、車いすのミニ駅伝大会にずっと出場していて、一番距離の長い3kmで区間賞をもらったこともあったそうです。
そんな柳本選手が、車いすバスケットボールを始めるきっかけとなったのが、お姉さんと見た一本の映画。
小学4年生の時に観た「ハイスクールミュージカル」でした。
映画の中のバスケットボールのシーンを見て、(私もバスケしたいな)という気持ちが芽生えました。
その頃はまだ、バスケットボールは立ってプレーするしかないと思い、部活に入っていたそうですが、先生から車いすバスケットボールという競技があるという話を聞き、心が動きました。
駅伝の知り合いで車いすバスケットボールと関係ある方がいて、その方に紹介してもらい、関西を拠点に活動している女子クラブチーム「カクテル」の見学に行って、一気にその世界へと引き込まれました。
そうして、車いすバスケットボールを始めることになりました。
初めは、ただただ車いすバスケットボールが楽しいと思いながらやっていましたが、女子日本代表の強化指定選手が多く所属する「カクテル」でプレーする中で、先輩たちが遠征や合宿に行くのを見て、(遠征ってどこに行くんだろう)(合宿でどんなすごいことをしているんだろう)と興味を抱くようになります。
中学2年生の頃からは、「私の夢はプロバスケットボール選手」と将来を描くようになり“日本代表”への憧れも大きくなっていきました。
地道な努力により、 高校1年生の時、韓国・仁川で開催されたアジアパラ競技大会(2014年)で初の日本代表入りを果たしました。
この大会での経験が「自信に変わった」と話す柳本選手。
試合に出場して、自分としては満足のいかない部分もあったそうですが、その中でも「これもできる」「あれもできた」「このプレーも海外の選手に通用した」ということを自分の中で見つけられて、「この大会で悪かったところは今後に活かすことができる」と自信を持って帰ってくることができたと当時を振り返りました。
今では、若手のエース、日本代表に欠かすことのできない選手にまで成長した柳本選手。
スピードとディフェンス力に加え、ローポインターでありながら3ポイントシュートも決める決定力も大きな魅力です。
「ローポインターは、障がいの軽いハイポインターを活かす仕事がメインになりますが、その役割をしっかり果たしつつ、ボールも運び、シュートも打てる、全てをできる選手になりたいと思っています」
試合の中で、ハイポインターへのプレッシャーが強くなった時に、自らがシュートにいって決められるように、そして、そのことで相手のマークを自分にも引き寄せ、ハイポインターが空く状況を作れるように、シュート力を上げていきたいと話します。
今、磨いているのは「ボールハンドリング」と「判断力」。
ボールをコントロールする力を鍛えるため、体幹や筋力トレーニング、メディシンボールを使ったパス練習にも励んでいます。
また、障がいにより、腰をひねる幅があまり広くないことから、その幅をもっと広げて、どんなパスを受けてもそのままシュートに行けるように、回旋の練習もしているそうです。
車いすバスケットボールは、今年11月にパラリンピックのアジアオセアニア予選会が開催されます。
日本は、男女とも開催国枠での東京2020パラリンピック出場がすでに決まっていますが、女子日本代表にとってこのアジアオセアニア予選はとても大きな意味を持ちます。
「私が日本代表として参加した中で、中国に1回も勝ったことがありません。一番最初に日本代表として出場した2014年のアジアパラ競技大会の時も、私たちが銀メダルで、金メダルが中国。あれから、5年間くらい全く勝ててないという状況の中で、日本は開催国枠があるといえども、そのアジアオセアニア予選で優勝して東京パラリンピックに出場したいので、中国を倒すために、フィジカル、シュート力、いろいろなことを合宿で鍛えています」
そして、その先にある、東京2020パラリンピックにかける思いをこう語りました。
「個人として、絶対に出場するというのを一番の目標に挙げています。そして、ずっと練習でやっていることを本番で出して、チームの勝利に貢献できるように頑張りたいと思っています。日本代表の目標は、メダル獲得!それは絶対に譲れないので、絶対にメダルを獲りに行きたいと思います!」
最後に、上をめざして進もうとする方に伝えたい“Going Upな一言”を伺いました。
『 努力に勝る天才なし 』
バスケットボールも学校のことも、何事も努力しないと何も始まらない。努力で変えられることはたくさんあると思う。そう信じて、ご自身中でモットーにしている言葉だということです。
柳本あまね選手のリクエスト曲:SMILE AGAIN / WINNER
歌がうまくて、曲のメッセージ性も強く、ファンとメンバーの関係もすごくいいので、コンサートに行くとがすごく幸せになるとWINNERの魅力を熱く語ってくれました。もちろん、ファンクラブにも入っているそうですよ♪
次回は、車いすバスケットボールの藤本怜央選手をゲストにお迎えします。
どうぞ、お楽しみに!