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サンウルブズが次のステージに行くために必要な言葉

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今回のゲストは、
ラグビーの元日本代表で、

サンウルブズの大久保直弥ヘッドコーチです。


今回は、
大久保直弥さんの『相棒』=「こだわりの用具」に迫りたいと思いますが・・・

縁起は担がないことが、縁起担ぎみたいな。
特にこれがなきゃ試合いけないみたいなものはないですね。
写真を持ってきました。


これは今シーズン、
サンウルブズの開幕戦・レベルズ(オーストラリア)戦で勝った時の写真ですよね。
いい顔してますね。
この試合に向けて4週間の準備があったんですけど。
この4週間の準備は、もう僕自身、この仕事携わってきてて、
選手の取り組みとかスタッフの取り組み、
これは日本のラグビーの歴史に残せる準備・結果だったと思うんですよね。

-それまでの準備と何が違ったんですか?

一つは今年に限っていうと、トップリーグが同時にその時期が重なったので。
9割の選手が新しく変わった。
その中で、最初の週に僕が全員、一人一人にミーティングしたんですけど、
彼らはすでに「サンウルブズって同じことやってても勝てないよね」
「準備も短いし、どうやってチームが一つになったらいいのか?」
会って2日ですけど、新しく集まった選手が、
もう3、4年やってたんじゃないかというぐらい。
みんなまだそこまで顔と名前も一致してないと思うんですけど。
この試合に関しては勝つべくして勝ったなっていうのは
周りのファンの熱気も含めてありましたね。

-短い時間でチームがギュッとユニットになったという経験はなかった?

僕は3年、サンウルブズに携わってきたんですけど、
一つは日本でのワールドカップに対するリスペクトっていうのも、
あったと思うんですよ。
日本がワールドカップでベスト8に初めて入って、
その戦い方に感銘を受けた、
何人もの選手がサンウルブズの選手としてプレイして成長してます。
それに対するリスペクトは新しく入ってきた選手にも私自身感じました。
もう一つはそれぞれの環境を見ていくと、
自分の母国ではスーパーラグビーチームに入れそうで、
入れないという選手がほとんどだったんです。
ただスーパーラグビーをやりたい…これを活かさない手はなかったですね。
もちろん初めて会う選手なんですけど、日本人らしさ、
日本人だからできる「プレーに対するその相互理解」っていうのは
僕自身やりやすかったですよ。

 

-この時点でどんな半年後(7月・8月)を予想していましたか?

サンウルブズが遠征で移動も多い、
時差もあるしその気候の変化に対応していかなければいけないっていうのは
例年そうなのでたいした問題にはしてなかったんですけど、
1戦目勝ったことによっても相手チームの
サンウルブズに対する出方っていうのは変わってくるだろうし、
次は簡単に勝てるとは思わないですよ。
ただ残念だったのはホームのファンの前で例えば、
クルセイダーズとかブランビーズとかね、ニュージーランド、
オーストラリア1位のチームとサンウルブズがやって、どうだったのかと。
これはね、僕の鈍感力をもってしても無視できない。
それぐらいサンウルブズのファンっていうのは、
この3年間どんなに負けても、やっぱり真っ赤に染めてくれるんですよ。
これはありがたいです。
あの、申し訳ないって思ってもファンはまた見に来てくれるんですよ。
それはありがたかったです。そのファンの前で今年、
2試合で終わってしまったのは残念ですよ。

-貴重な日本ラグビーの成長の場がなくなってしまいましたが、
 今後、どうなってしまうんですか?

まあ、いろいろ世界的なフォーマット自体がもう1回、
見直そうって動きにはなってますよね。
僕が心配なのは、それぞれの国で完結してしまうこと。
これが選手の成長を考えた時に一番危惧する部分です。
例えば去年ワールドカップで活躍した姫野とか、
流とか、中村亮土とか、彼らはここの厳しい環境のなかで
いかにして自分のパフォーマンスを出すかっていう部分を
一番学んだと思うんですよね。これは、その環境がないとなかなか難しい。
日本でこの環境の中で出せと言われても難しい。

−リクエスト曲は?

シェリー / 尾崎豊

自分自身今もう45になるんですけど、
若い時持ってたようなその反権力とか、
反社会を今ここでそれ言ってたら
なんかガキっぽい人間に感じてしまうと思うんですけど。
やっぱり反権威的な人間になってないかと。
例えば、コーチが良いって言ってる選手が必ずしも良いわけじゃないんですけど、
そういうところに弱い部分もあるんですよね。
だから僕も逆に自分がそうならないように、常にゼロベースで。
選手ともそうだし、こういった仕事をさせてもらう時も
偏見を持たないでありのままの自分でいたいっていう。
シェリーだけじゃないですけど、
尾崎豊の曲を聴くとそういう気持ちを思い出させてくれる。

 


そんな大久保直弥さんに、金子がより突っ込んで聞いていくコーナー!

『金子の深堀り!』

 

ールドカップがかなり盛り上がりましたがいかがでしたか?

あのプレッシャーの中でプレーした選手、本当に素晴らしかったと思いますし。
それこそサンウルブズで一緒に生活した選手がいっぱいますし。

 

-今はまた熱が落ち着いてきていますが?

いまニュージーランドが観客がパンパンに入った状態でやってますけど、
日常っていうのは時間が経てば戻ってくると思うんですけど、
戻ってきたときに選手がどういうパフォーマンスを出せるか。
ニュージーランドの選手を見ていても、
自粛期間中にちゃんとトレーニングをしていたのか、
サボっていたのか見れば一発で分かるじゃないですか。
逆に言えば、他の選手と差をつける時期だと思って。
これが再開した時に前よりパフォーマンスが落ちてるのか、上がっているのか。

 

-にわかファンという言葉が生まれましたが?

にわかファンっていう言い方は僕はあまり好きじゃないんですけど、
それだけラグビーの面白さっていうのが知ってもらえたって考えたらね。
一回面白いって思われたらまた戻ってくるじゃないですか。
その時にまたラグビーっていいなって思えるような試合をしないといけないと
思ってますし。多少時間がかかっても、
「コロナがあったから日本のラグビー良くなったんじゃないの?」って
思われるぐらいに。
それを言い訳にするのか、プラスに変えられるっていうのは本人次第と思います。

 

-3年後のフランスワールドカップはどうなると思いますか?

今、テストマッチがキャンセルになってる状態で、
コーチの想像力が問われると思うんですよ。
この環境の後に何が来るか?
目の前の数字だけじゃなくて、仮説でもいいと思うんですよ。
でもこうなるっていう想像力が勝敗をわけることもあると思うんで。
ラッキーなことにラグビーってルールが毎年変わるんですよ。
なんでラッキーかっていうと、
エディー・ジョーンズがコーチの時に言ってたんですけど、
ルールの変更に伴うと、それにアジャストしてどうやって相手に勝とうかって
常には考えていかなきゃいけないんですよ。
このサイクルを常にこの20年見てきて、じゃあ次こういう時代が来ます、
だからこういう選手が最後残りますっていうのを
ルールも含めてコーチは対応してくれなきゃないと思うんで。
僕はそこはポジティブなんで、日本代表が悪くなるとは思ってないし。
もちろんまたベスト4に入っていうのは本当に高いハードルなんですけど、
ただやる前から「どうせ行けねえだろうな」っていうのは
2015年からそうなってはいけないと思ってるんで。
常に知恵絞って。とにかくこのプランで勝つっていうのは、
アップデートしていくのが大事だと思います。

 


そんな大久保直弥さんが今でも忘れられない言葉、大きなチカラになった言葉とは?

「キープハンティング」

これは今年のサンウルブズのチームスローガンなんですけど。
僕が考えたって言えば僕が考えた言葉になってしまうんですけど。
ワールドカップを経て、ここで満足しちゃいけないっていうのも、
もちろんありましたし。
次のステップに行くためにみんながハングリーになってなければいけない。
そういう願いを込めてこの言葉にしたんですけど。
選手もそうですけどプレイですね。
常に日本は、相手のチームより高いワークレート。
ボールを失った瞬間に取り戻さないといけないし。
スクラムにしてもランヤードにしても、
常に相手の先、先、先って行けるようなプレースタイルが
まだまだ足りないんじゃないかなと思ってます。
我々の時代はGPSってなかったし。
水を飲むなって言われてましたし。
それを素直に水飲まなかったっていうのは今考えればすごいですけど(笑)
ただ、その理不尽な事ってめちゃくちゃ多いんですよ。
ただその理不尽の先に勝利っていうこと考えたら、
僕の意見は理不尽なことを、いかに合理的にトレーニングさせるか。
そこにどんだけチャレンジできるかっていうのは
いつもメディカルと喧嘩になりますよね。喧嘩じゃないですね(笑)
僕もエディと仕事してきて、たまに飲んだら
「昔、こんなしんどいことやってさ」とか。
結局そういうことの方が人間って覚えてるんですよ。
むしろ優勝した時の方が忘れてることあるんで。
プレッシャーの中で、立ち返った時に
自分がこんだけやってきたっていうのがあるかないかで。
すがるものがやっぱり欲しいんですよね。

 

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