最近世の中や霞が関を喧々諤々とさせているイラク日報問題や、東アジア各国の緊張状態についてなど、さまざま軍事問題をゲストの軍事スペシャリスト、元陸上自衛隊 北部方面総監で帝京大学名誉教授の志方俊之さんと一緒に分析した。
須田:今日は軍事スペシャリストである志方さんに国防にまつわるあれこれを伺っていきたいと思うのですが、その前にですね、いま世の中を騒がし野党が奇声を上げている、このイラク日報問題、これについてお伺いしたいのですけれども、どうなんでしょうね、私なんかが見ておりますと世の中の多くの人がちゃんと正しくこれを理解して、「けしからん!」とかね、批判をしているのか。どうもそれが疑問なんですよ。イラクの日報問題というのは、小泉政権の時の問題ですよね。
志方:そうですね。
須田:ああいった日報が書かれていたことが、まあ隠されていたというか隠蔽されていた。そういう理解でいいでしょうか?
志方:どっかいっちゃった!ということになっていたんですね。探してもない!と。根本的に考えてね、現場で起こったことを書かないわけがないのですよ。ですから、必ずあるんですよ。
捨てたか捨てないかにしてもね、捨てるわけがないですよ。若い人たちが命がけでやった仕事をね、書かないで、捨てちゃうということはありえないです。だから「なくなっていました、見つかりません」ということが何故か?っていうことを言わないといけないのに、なくなっていたら幸せそうなんだよね。国会でいじめられたりするとか、そういう風に思っていたりするからね。だから現場と、霞が関というか国会というか政治の関係ですよね、そこのところをこうどうやったのか。私に言わせればね、ないはずがないんですよ。捨てるわけがない。
須田:つまり「なくなってました」というところで深く追求しなかった政府に側にも問題があるということですね。
志方:そうですね。なくなるわけがないだろ、おまえたち!というのが本当ですね。
…
須田:… そうするとね、ズバリお聞きしたいのですけれども、じゃあとりあえず隠されていたことは間違いないのですけれども、誰が隠していたのか、どこが隠していたのか?どう思われますか?
志方:それは政治だと思いますね。自衛隊は隠しませんよ、あったことをそのまま報告しますから。そうするとこれは国際的に発表しない方がいい。他の国のことも書いてあるわけですから。どこどこの国のこういう軍隊は、どこがこういう損害を受けている、とか。そういうことが書いてあるので、そこはもう全て黒塗りにする。それは外務省なり、国会なりが発表するときになればよいので、書いた人が黒塗りにしたら話にならないじゃないですか。
須田:なるほど。じゃあそうすると、これは微妙なナイーブな話なんですけれども、お話を伺っていたら、じゃあこれは小泉政権下で隠されていたのかな、と私には考えられるのですけれども、やっぱりそういうことなんですかね?
志方:あの時は、戦争が終わって、これから新しいイラクを作るんだ!という時に自衛隊が行ったんですよね。サダムフセインはもう捕らえられていたから。で、新しいイラクの政府ができるまでの間に行っていた。ですから、戦争ではまあないわけですよ。しかし現場は、爆発が起こったりいろいろしている。今日でパッと戦争が終わる!という訳ではないですからね。ですから自衛隊が行ったときにはまだいろんなところで戦いが残っていた。サダムフセインが死んでも戦いはあったんです。
須田;そうすると思い出してみると、あの時は小泉総理の銘答弁と言われていたのですかね、自衛隊の行くところが非戦闘地域だと(笑)、そういう答弁があった。それは考えてみると、小泉さんのあの発言を忖度してみると、やっぱりあの日報は「これは出せないぞ!」と当時なってしまったんですかね。
志方:そういうのはあるでしょうね。他の国もいるわけですからねその時に、イギリス軍だったりオーストラリア軍だったり。そういうことが書いてあるものは出せませんよね。
須田:しかも銃撃戦とかそういう記述があるわけですからね。
志方:ただね、あれを見ていて今問題になっているのは、自衛隊は応戦したわけではないですから。流れ弾が飛んできたりはありますから、昔みたいにこの両線から向こうが敵で、みたいは最前線のようなラインでつながってはいないですから。
須田:混在している、ということですよね。
…
志方:だから小泉さんがいうにね、「私がそういうことを知っているわけがないじゃないですか」、と。その時に、もし野党だったらね「分かるようにしなさい!」と。もっとすごい情報機能を作ってね、「今日はここが戦闘地域になる!ここはならない!なので自衛隊は戦闘地域になるようなところからどこう!」と、そんなことは物凄い情報機関でないとできませんよね。そっちの方を言うならばいいけどね。
…
その他にも、日報に書く内容や背広組・制服組との確執について、シビリアンコントロールについて。国際貢献として自衛隊を送り込むことについてや、戦闘地域と非戦闘地域の線引きについて。戦後70年が経ち日本にも脅威がある現代において国防はどうあるべきか、北朝鮮のミサイル・核問題について、憲法改正についてなど、最近の日本を取り囲む様々な軍事問題について幅広く、鋭く切り込んでいった。
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