3月30日
セ・リーグ開幕〜北京五輪とペナントレース〜
パ・リーグに続いて、セ・リーグも開幕した。今シーズンのペナントレースを展望するとき、避けて通れないのが8月の北京五輪だ。星野仙一監督率いる野球日本代表に選ばれることは、選手にとっては名誉、ファンにとっては喜びであり、首脳陣にとっては悩みの種でもある。
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星野監督は昨秋のアジア予選で北京出場を勝ち取ったメンバーをベースに本番に臨むと話している。となれば、川上・岩瀬・井端・荒木・森野と主力がごっそりと離脱する中日は痛い。
上原・阿部・小笠原・高橋由(小笠原と高橋由はケガで予選を辞退)らが選ばれる可能性のある巨人はそれを見越して外国人選手をしっかり補強しているので大丈夫だろう。
人数こそ少ないが、青木・宮本というキーマンが離脱するとヤクルトにとっては大打撃だ。日本代表に新井を派遣していた広島だが、新井が阪神へ移籍して今のところ代表選手は0。しかし、今年から中心選手となる栗原や梵がブレイクして活躍すれば、北京の代表に選ばれてしまうかもしれない。と考えると、前半戦から選手が大活躍するのも球団にとては痛し痒しだ。
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北京五輪の野球日程は8月13日から22日。直前の合宿も含めれば代表選手が北京五輪でチームを離れる期間は20日前後になる。オリンピックの暑さ、連戦の過酷さ、精神的な疲労は代表選手にダメージを残す可能性がある。グランドの状態・大気汚染など不確定要因もある。試合に出た選手はもちろん、試合に出られない選手は、反対にモチベーションが下がってしまう心配もある。また、良い結果が出たとしても、そのあとの「バーンアウト」、いわゆる「燃え尽き症候群」もあり得る。06年3月のWBC後、シーズンに臨んだロッテの選手たちが振るわなかったとき、「バーンアウト」現象を指摘されたものだ。
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今シーズンのペナントレースに臨む監督たちは長期的な視野に立ち、8月の北京五輪、10月のクライマックスシリーズをにらんだチーム作りが必要になるだろう。
選手派遣の救済措置として中日・落合監督が求めていたルール、すなわち「3人以上代表に派遣する球団は外国人の一軍登録枠を1人増やせる」という特別ルールがプロ野球実行委員会が認められた。早速、落合監督はドミニカ出身のデラロサという内野手を開幕戦から起用して実戦で鍛えている。
若い選手はチャンスだ。空いたポジションで活躍すればレギュラーが近づく。中日なら、井端・荒木・森野が抜けたら「俺たちが」と、堂上兄弟らの若手が出てきてほしい。またそういうチームが優勝争いに加わってくるだろう。チームにとっては新陳代謝をはかるチャンスでもある。
FAと外国人補強で若手の出るチャンスが少ないジャイアンツも、ぜひ多くの代表を派遣して、その間に若手を起用して、新陳代謝をはかってはどうだろうか。チャンスさえ与えれば、坂本らの若手が出てくる素地は十分にある。今シーズンだけでなく、長期的視野に立っても、北京五輪期間の有益な利用法だと思うのだが。






 
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