自見:去年の12月、日本国政府の主催で「ユニバーサル・ヘルス・カ
バレッジ・フォーラム東京2017」が開催されました。
改めてユニバーサル・ヘルス・カバレッジについて、
ご説明お聞かせください。
横倉:これは「すべての人が、適切な健康増進、 予防、治療、
機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」
ことを意味し、すべての人が経済的な困難を伴うことなく保健医
療サービスを享受することを目指しています。
日本では1961年に国民皆保険の体制が出来、
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジのモデルと言われています。
淵澤:それは何故、なんですか?
横倉:1961年は、まだ日本が経済大国どころか、
戦後の混乱期からやっと抜け出した、発展途上国でした。
その時、政府や財界、労働組合等のみなさんが知恵を出し合って
国民が安心して医療を受けれる体制を作ろうと
努力をして頂いたわけです。
その後、日本は急速な経済復興をいたします。
やはり経済復興や社会の安定には、
このユニバーサル・ヘルス・カバレッジが、
非常に重要な役割をするということです。
自見:現在、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを必要としている国
どのような国がありますか?
横倉:びっくりされると思いますが、
アメリカは国民皆保険がないんです。
淵澤:聞いたことはありましたが、本当に、ないんですか?
横倉:ないので通常は民間の保険に入ります。
いわゆる健康保険を持っていない国民が
以前は4、5千万人いました。オバマケアというのが始まって
も、まだ2千万にくらい、いらっしゃる。
最近はオバマケアの行方も分からない状態です。
他にも、いまから国民皆保険を作って国民に安心を与えようとし
ている発展途上国がたくさんあります。
そこに日本が経験したことをお伝えして、
後押しを出来ればと思っております。
淵澤:日本がモデルになるというのは、うれしいですね!
自見:横倉会長は「2030年までに世界でユニバーサル・ヘルス・
カバレッジをしたい!」と宣言されています。
目標を実現するために日本がすべきことは何ですか?
横倉:これには単にお金だけの問題ではなくて、
国民が協力しようという気持ちが重要です。
淵澤:国民自体に?
横倉:相互扶助するということが
国民皆保険の原理原則になっています。
また医療を提供する側も自分たちは技術があるから、
もっとお金がほしいということばかり主張すると
国民皆保険は破綻します。
だから、お互いが出来る範囲の中で国民皆保険を作ろう!
という意思を明確にしていくことが重要だと思います。
自見:バランス感覚が求められますね。