最近いいなと思って番組でも紹介した本や映画のことを少々。
まずは絶賛増刷中の「文学界」に掲載されたピース又吉直樹さんの小説「火花」です。
恥ずかしながら人生で初めて手に取った「文学界」です。しかも松本さんから借りた、こぼしたコーヒーで茶色に変色して戦前の古本みたいになってしまった「文学界」です。
若手芸人が先輩芸人に弟子入りすることになり、メールをやり取りしたり会話をするのですが、これがもう舞台の上で漫才をやっているようなボケとツッコミになっているのです。
又吉さんにとってはお手の物なのでしょうが、お笑いの方々の言葉遊びのセンスの高さに脱帽です。当然ライブで漫才のシーンもあるりますが、笑って泣けるという見事な構成になっていました。
3月11日に単行本になるそうです。また大きな話題になることでしょう。
今度はももいろクローバーZ主演映画「幕が上がる」です。はい、ここで相当数の方が「なんだ、アイドル映画かよ!」とお思いでしょうが、私にとっては観終わってすぐに皆に薦めたくなる映画でした。
富士山を眺めることができる静岡の高校の演劇部が舞台ですが、百田さんが図らずも部長になってしまうところから物語は始まります。まるで彼女をはじめメンバー全員のキャラクターをもとに当て書きをしたかのような、劇作家で演出家の平田オリザさんの原作です。
といっても、ももクロさんのキャラクターなんてわからなものという貴兄、わからなくても大丈夫です。自分が何者でもなく何になるのかもわからないという高校時代を過ごした方なら必ずや共感し登場人物を応援したくなる作品です。
また黒木華さんの存在感、ムロツヨシさんの達者さ、志賀廣太郎さんの声の響き方、清水ミチコさんのお母さん具合など脇を固める方々も非常に魅力的です。
スクリーンに何度も登場するのが静岡のローカル線「岳南電車」!一昨年の夏に岳南電車に乗りながら生放送をやったものですから吉原駅や電車内、プラットフォーム、けなげに走る一両編成の電車が映るたび、懐かしさに胸が熱くなりました。
ももクロさんのファンの「モノノフ」の皆さんは熱心に劇場に足を運ぶことは間違いありませんが、「幕が上がる」はモノノフさんのものだけにしてはもったいない青春群像映画でした。
子ども二人に観に行かせようとも思いましたが、大人の鑑賞に十分耐えうる映画と言っちゃぁちょっと偉そうですが、いやホント!大人にも観て欲しいです。