7月20日に公開される映画2作品がお薦め。一本はいまさらあんたが薦めなくともと言われるだろうが、宮崎駿監督作品「風立ちぬ」。関東大震災から戦前の日本、戦中、そして・・・と言う時代を飛行機製作に自分の夢をかけた青年の人生とともに描く。ゼロ戦を設計した堀越二郎氏に詩人の堀辰雄を重ね合わせたという。当然ながら戦前のドイツや日本の飛行機が数多く登場するが、それらが皆人格を持っているように見えるのは、プロペラが回る音などを人の声で出しているからだけではないだろう。飛行機、列車、自動車などが愛情を持って、主人公の恋愛とともに描かれている。 もう一本は「最後のマイウェイ」と言う作品。フランクシナトラが歌う「マイウェイ」を作ったのは39才で亡くなったフランスのスーパースターだったという、実在の人物、クロード・フランソワの一生を描いている。149分の長編だが長さをまったく思わせないテンポの非常によい映画だ。日本ではあまり知られていないがそれも当然で、フランスからアメリカに進出しそして世界でと言う時に事故で命を落とした。 常に上を目指し落ちることを極端に恐れ、嫉妬深い人間。恋人や家族よりも自分の人気。そのためならなんでもするが、なんだかやたらと魅力的なのだ。エンターテインメントの強烈な光と影をそのトッブに君臨する人は放っている。今年の上半期一番の作品。