野沢那智さんが亡くなられました。
1970年、中学1年の秋から、
聴き始めた深夜放送。
クラスのリーダー格の友人が、
「オールナイトニッポン」もいいけれど、
「パックインミュージック」いいぜと、
クラス中に啓蒙していました。
ならばと聴き始めた「パック」の木曜日深夜が、
野沢那智さんと白石冬美さんのコンビ。
「ナッチャコパック」との、
衝撃的出会いでした。
投書のレベルが異常に高く、
とても中学生には書けるようなもので、
はありませんでした。
お兄ちゃん達の文化を、
背伸びをしてのぞき見るような感覚でした。
そしてそして、
野沢那智さんの声と,
投書を読む技術に激しく心ひかれたのでした。
そしてまたナッチャンは、
アニメ「悟空の大冒険」の、
三蔵法師の声の人であったり、
「0011ナポレオンソロ」の、
金髪のイリア・クリアキンの声で、
ずっと前から慣れ親しんだ人だったのです。
つまりは声優とう仕事があることを、
知ったのでした。
番組に届いたメールや葉書を読む時や、
ラジオドラマで演技をする時、
(日曜日にも収録があったのですが)
また藤沢周平作品の朗読の時に、
あのころ聴いていたナッチャンなら、
どう読むだろうと考えるだけならまだしも、
完全に野沢那智さんのノウハウを拝借することも、
多々あったことを心よりお詫び申し上げます。
芝居を観に行くと、
野沢さんのお姿を見かけたこともありましたが、
勇気がなくてご挨拶をするこができませんでした。
いつかお会いすることもあるだろうと、
思っていたのかもしれません。
ダブルのスーツをビシッと着こなし、
そして知り合いの方々と歓談するその声は、
嗚呼!まさしくナッチャンだと、
人知れず感動していた私でした。
「ナッチャコパック」のエンディングは、
レイモン・ルフェーブルの、
「シバの女王」だったと記憶しています。
今でもあの曲を聴くと、
来週までの待ち遠しさと、
また3時まで起きてしまったという後悔と、
こんなことしている俺の人生って、
いったいどうなってしまうのだろうという、
ボンヤリとした不安な気持ちが、
切ないほどによみがえってくるのです。
野沢那智さんのご冥福を、
心よりお祈り申し上げます。
ナッチャンにあこがれていた中学生は、
そのラジオの中で働くことになって29年になります。
お聞きしたいことがたくさんあったことが、
残念でなりません。
そちらでは林美雄さんに、
お会いになっているでしょうか?
本当にありがとうございました。
ニッポン放送
上柳昌彦