1242 ニッポン放送
つかちゃんコラム
塚越孝
塚越孝
column
12月31日

漢字、一文字で、表すと、今年は「愛」とのことですが、
私は、「嬉」、感謝したいことが沢山ありました。

こんなお便りが、年配のご婦人から届き、
わたくしの場合は、「乱」と申し上げました。
今年は、生の舞台、今風の言葉で言やぁ、
ライヴを沢山観よう、聴こう、
漢字、一文字で「生」となるはずでした。
正月、初席、二ノ席と小さな寄席を楽しみ、
大劇場公演へと出掛けた一月十七日、
明治座で「川中美幸座長芝居」を観て、
次の歌謡ショーまでの幕あい、
そば屋で、一杯、ひっかけた途端、携帯が鳴り、
ニッポン放送、フジテレビの親子逆転、完全子会社化が
今、発表されたと。

まぁ、噂されていたので、そういう時が来たかと
わたくしも同僚も、比較的冷静に受け止めました。
大阪の新しい寄席、B1角座なども観に行き、
穏やかに正月は、過ぎていきました。

翌月八日、衝撃が走りました。
ライブドア騒動の勃発。
事情がまったく飲み込めません。
年齢、立場によって差はあれど、動揺は誰も隠せません。
有楽町を建て替えて、お台場の球体、
フジテレビのビルから引っ越して半年足らず。
さぁ、これから腰を据えてという矢先の出来事でした。

建ったばかりのビルは、連日、テレビカメラが、
朝早くから並び、たいしたニュースがないときは、
朝から晩まで、新社屋が映し出されました。
午後七時のNHKニュースも、時報と同時に、
下から上へと、睨め上げるようにカメラが動いて、
パラッパ、パッパラパ、パッパッパと
「オールナイトニッポン」のテーマ曲が流れる。
ニッポン放送が揺れています、と言う
大真面目なアナウンサーのニュース読み。
そして、玄関先で待ち構えたハンディカメラが
帰宅する社員を追いかけ回す。
えらい騒ぎでした。

しかし、私は、同じ、送り手として、
報道が過熱すればするほど、頭が冷えていきました。
振り返れば、つい、こないだまで同じように
NHKスキャンダルを、これでもかと報じていた自分が、
そこに居るわけです。

だから。この騒ぎには、決して乗るまい、
乗ってたまるかと思いました。
あちこちから取材と称するコメント依頼がありました。
取材者に対して失礼に当たるので、
ノーコメントなどとはいえません。
そこで、真摯に応えつつも、相手にとって、面白くない、
おいしくもなんともない言葉をつなぎました。
日頃、アナウンサー、パーソナリティとしてやっていることと
真反対のことをあえて、してみました。

いつの間にか、嵐は、過ぎていきました。
わたくしの元に残ったのは、
ニッポン放送を愛聴してくださる皆さんからの
多くのメッセージです。
必ずしも好意的なものばかりじゃぁ、なかった。

叱咤とは、こういうものかと身にしみました。
一度でも1242に耳を傾けて下さった全ての方に
感謝申し上げます。
忘れられない年です。




2005年最後の放送には「安田大サーカス」の皆さんに、
来てもらいました。
2006年も注目の3人組です。
 
Copyright(c)2004 Nippon Broadcasting System,Inc.All Right Reserved