1242 ニッポン放送
つかちゃんコラム
塚越孝
塚越孝
column
1月 7日

お正月は、落語という雰囲気はまだ、ある。
着物で座布団の上に、ちょこなんと座るその様子、
そしておめでたい奴ばかりが出てくる。
落語ブームも手伝って、どこの寄席も超満員、
めでたい限りです。

しかし、よく考えりゃ、ブームに関係なく、
初席、二ノ席ぐらいまでは、毎の年、賑わうんです。
その後がいけない。
昔、「人形町・末広」が、「目黒名人会劇場」が、
閉場めたのが、正月明けでした。
めでたさの、ピークの、前後を観なきゃいけない。

暮れの浅草演芸ホール、昼席の前座、ってことは、
十一時半から、一階席、ほぼ満員。
二時、三時には、二階までぎっしり。
ブームは続くよどこまでもと一瞬、思ったが、
線路がのびたよつくばまでで、
新線の駅が、目と鼻の先に出来たのと、
新聞屋が配る平日招待券で来た客が多い。
それに、はとバス。

団体で来てもいい、席に着いて個が確立されてりゃ、
いいものに出くわすでしょう。
芝居でも映画でもコンサートでも、連れがあろうと、
時にはわれをも忘れて、舞台上にのめり込むもんです。

年の初め、ぜひ、早めに味わって欲しい
落語家を挙げておきます。
ほんと悪いことは言いません。
生物、いいものはお早めにどうぞ。

まず、第一に、三遊亭圓彌。
立川談志と同年、今年、六十九。
いずれ、最初の師匠・柳枝を襲ぐと言われながら、
何故なのか、四十五年前、二ツ目になったときの名で今日まで。
一席語った後の、踊りも見事。
しかし、げっそりやせて、
声量が乏しくなっているのが気になった。
踊らなかった。

最近、やり手の少なくなった「鼻ほしい」でわかせた。
この噺なら、声を張らずにすむ。
遊びが過ぎて鼻がかけた寺子屋の先生、
湯治に出かけた先の馬子とのやりとりは、
やせた面差しに、柳枝没後の師匠・圓生が浮かんだ。
名人・円生は、大ネタばかりが評価されるが、
こういう小品がよかった、その上でのことである。

四百五十回目の落語研究会は、おなじみ国立小劇場。
素晴らしいか顔ぶれなのに何故か空席が目立つ。
喬太郎、落語の基礎とも言うべき、
前座噺「道灌」。巧い。
談春は心中噺「星野屋」。綺麗。

中入り後は、鯉昇の「二番煎じ」。
顔が落語家らし過ぎるが、目を閉じて聴くと声もよく、
意外とさらりとした江戸前の芸。
研究会の納めの主任は、権太楼「芝浜」。
素晴らしい、夫婦の会話に、涙した。
名人・三木助はじめ枯れた夫婦が多いが、
権太楼のは、若い。
この後、まずいのを味わうといけないので、
これを聴き納めに。

聴き初めは「桂小米朝独演会」。
人間国宝の父、OSK女優の母、
良血を引いた流麗さにうっとり。
だが、肝から来るもんが足んない。
そこを埋めるべく三林京子の桂すずめ、
女優の余芸かと思ったら、とんでもない、
米朝が次代に放った刺客かも。


「柳家権太楼/三遊亭小円歌/塚越孝
つかちゃんおすすめCiub IKSPIARIたっぷり名人会」
■2月11日日曜日、JR舞浜駅前「イクスピアリ」4F
 「クラブ・イクスピアリ」17:30開場、19:00開演。
 前売:3150円、当日:3675円、
■予約コール
 047−305−5700
 (クラブ・イクスピアリ、10:00〜20:00)
 0570−02−9999
 (チケットぴあ、10:00〜23:30)

 
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