東京、大阪が済んで、取りあえず、今日から3日間の名古屋で終わり。
これを読んで間に合った人は運がいい。
中日劇場、当日券も少し有り、連休、取り立てて用のない方は、
今からでも名古屋へ小旅行をお奨めしたい。
私は、先週、東京で観て、ぶったまげて笑い転げた。
今週、大阪もバカ受けだったというので、
名古屋もドッカン、ドッカン来るのが目に見える。
丁度、10年前に初演され、その後、名古屋でのみ上演され、
大評判をとった作品が蘇って、尾張でお開きとなる。
三谷幸喜作品「アパッチ砦の攻防」より「戸惑いの日曜日」。
もともと劇団東京ヴォードヴィルショーのために書き下ろされ、
このたび、芸達者にスターを配した抜群のキャスティングで大成功。
おそらく、日を措かず再演され、平成の名狂言となるだろう。
舞台は、日曜の午後、高級マンションの一室。
ちょい派手目のベストを着た父親(佐藤B作)がしみじみしている。
娘が結婚の報告に来たが、なんか様子が変。
実は破産して4日前、人手に渡っている。
娘の手前、自宅のふりをするが、
そこに持ち主(西郷輝彦)や娘の婚約者、先の女房、
電気屋にフィリピン人妻などが次々現れ、ハチャメチャに。
この芝居、番組にゲストで出てもらった西郷さんに奨められ、
観たのだが、大スターが舞台上、戸惑う姿が涙が出るほど可笑しい。
日曜の昼下がり、越してきたばかりの部屋で
繰り広げられるドタバタに、真剣に向き合う主人公は、
既にもう、はまり役だ。
実は、私が生まれて初めて買ったレコードは、
西郷輝彦のデビュー曲「君だけを」。
生放送でいかにファンだったかを伝えるため、
「星のフラメンコ」以外の名曲を上げた。
西郷さんも喜んでスター歌手時代の思い出を語る。
調子に乗って「メキシコ娘」「星娘」「恋人を探そう」を口ずさんだ。
これは、ゲストに鼻歌交じりに生歌を歌わそうという
私のインタビュー手法だが、どうも西郷さん、乗ってこない。
ならば、さらに奥深いとこを。
「逢わずにゃいられない」って曲が好きなんですよー。
アァ。
西郷さん、アァって、ご自身の曲ですよ。
アルバムの中に入ってたのかなぁ。
何を言ってんですか、B面の名曲でしょうに。
ほらっ、♪あの娘と毎日、逢わずにゃって
私が痺れを切らして歌うと。
あぁ、ありましたねぇ。
このとぼけた味が喜劇に向かわせたかと思ったら、真面なんだと。
美空さんなんかも「その曲、知らないわー」ってのがいっぱいあって、
大スター歌手というのは、レコーディングしただけってのも
珍しかぁないと。
こっちは、針が擦り減るくらい聴いてるってのに。
西郷さんは、歌手を丁度、10年やって、
「どてらい男」で役者に転向。
これをテレビで欠かさず観ていた三谷幸喜少年の念願叶って、
今回の傑作が生まれた。
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