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飯田コージ |
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。 |
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香港競馬通信 |
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11月23日 |
昨日、一昨日と、先週末に行われた国際レースの前哨戦について報告してきました。
ジョッキークラブカップ、マイルと来て、今日はスプリントです。
従来このレースを得意としているジョン・ムーア調教師がその愛称の良さを発揮。
自身5勝目を挙げましたが、勝ったのはファンが人気に押し上げ期待したエイブルフレンドではなく、単勝43倍のノットリスニントーン(ヒュー・ボウマン騎手)でした。
重賞多頭出しでお馴染みのジョン・ムーア調教師。
今回のジョッキークラブスプリントには3頭を送り込んでいました。
最も注目を集めたのが、去年の国際レース以来およそ1年間の長期休養明け、ケガから復帰のエイブルフレンド。
一方のノットリスニントーンは単勝43倍の人気が示す通り、ほとんど注目されていませんでした。
それが、ファンを嘲笑うかのごとき大激走。
2着の一番人気ラッキーバブルズ(フランシス・ルイ厩舎)に半馬身の差をつけて優勝。
単勝43倍は、歴史あるこのトライアルレースにおいて歴代単勝最高倍率での勝利となりました。
3着には、さらに1馬身4分の1差で2014年の香港スプリント馬エアロヴェロシティ(ザック・パートン騎手)が入り、エイブルフレンド(トミー・ベリー騎手)は見せ場なく4着に終わりました。
ちなみに、ムーア勢のもう1頭、ダッシングフェロー(カリス・ティータン騎手)は最下位10着に惨敗しています。
ノットリスニントーンにとって、今シーズンのスタートはほろ苦いものでした。
まず、シーズン初戦に選んだ直線1000mのG3ナショナルデーカップはアメイジングキッズの5着。
続いて出走したG2プレミアボウル(1200m)では、今日2着に下したラッキーバブルズの8着に敗れています。
「今日はすべてが思い通りに運んだね」
と、ムーア師は上機嫌に語りました。今回の勝利は、2006年のエイブルプリンス、09年ハッピーゼロ、10年ワンワールド、13年チャールズザグレイトに続く5勝目となりました。
「本質的には直線1000m戦があっているとは思うんだけどね。でも、ゲートの出が悪かったり不利を受けたりするとそれで競馬が終わっちゃうからね。次走?当然1200mのG1を目指すよ」
と、ムーア師。続けて、
「今日はこの馬なりにはいい仕上がりだったんだけど、世間からは忘れられていたね。僕らはベストな仕上がりならこの馬は何かやってくれるって思っていたんだ。今日のレースみたいにね。そして、一度目覚めると暫く続くから、この流れで本番に向かうと、侮れないよ」
と、ムーア師はいたずらっぽく笑いました。そして、
「でも、今回の最大の立役者はヒュー(・ボウマン騎手)の好騎乗だね。こちらの指示通り、道中は前に少し壁を作って息を入れ、直線で末脚を爆発させる。今回は外枠に入っちゃったけど、来月の本番ではもう少し内枠からスタートして、同じような競馬をさせたいね。今回は100%のデキだったし、相手関係も現状の香港スプリント界のベストメンバーだった。だから、このままの調子を維持して本番に向かえば、海外勢相手にも十分戦えるんじゃないかな」
と、香港スプリントを展望して見せました。
ボウマン騎手は昨シーズン、3度ノットリスニントーンに乗りました。
その中には、ペニアフォビアとゴールドファンに続く3着に入った香港スプリントがあります。
その当時の印象は、直線1000mのスペシャリストでしたが、ある装具を変えたお陰で今回1200mへの距離延長ができたと言います。
「ホントにいいレースだった。道中も上手く折り合ってくれたしね」
と、ボウマン騎手。続けて、
「昨シーズンの3回の騎乗はいずれも1200m戦だったんだけど、その度にやっぱりこの馬の適距離は直線1000mだなぁと思っていたんだ。正直、1年前の香港スプリントの後は、この馬には1200mは酷だとまで思っていたんだ。少なくとも、劇的な力を発揮しない限り勝負にならないと思っていた。」
と、かつての印象を語りました。
「今日のレース前も1200mは正直ちょっと不安だったんだ。(不利と言われる)外枠を引いてたしね。でも、おそらく耳覆いが劇的にこの馬にフィットしたね。今日は驚くほど道中おとなしく折り合って走ってくれた。道中の消耗が少ない分だけ直線で余力が十分になるから、1200m戦でこれだけ力強い競馬を見せてくれたわけだ。この距離で、この相手関係で勝ったというのは大きいよ。目の前がパッと開けたというか、大きな可能性を感じさせる勝利だったよね。来月の国際レースも楽しみだよ」
とはいえ、耳覆い効果だけで勝てるほど香港スプリントは甘くありません。
ボウマン騎手はそれも承知で、
「あと3週間でもうちょっと調子が良くなってくれないと、国際レースで勝負するのは難しいかな。今回とは比べ物にならないくらい厳しいレースになるだろうから」
と、気を引き締めました。
「ま、ただ去年と同じようなレースができれば、あの時よりも馬が格段に良くなっているからね」
最後は自信を見せました。
一方、香港競馬史上最も高い国際レーティングを獲得したエイブルフレンド。
今回は脚部不安から実に11か月ぶりの実戦復帰で2馬身4分の1差の4着。
この結果にムーア師は、見るからに嬉しそうでした。
「やっぱり、規格外だよね。トミー(・ベリー騎手)は残り150mでガス欠を起こしたって言ってたけど、レースそのものは非常にスリリングだった。残り200mまでは勝てるっ!って思ったもんね。たしかに、残り150になったらアップアップしてたけど。そりゃ、11ヶ月の休み明けだもの。仕方がないよね。これは、国際レースでも楽しみになってきたよ」
ベリー騎手はエイブルフレンドとコンビを組むのは今回がはじめて。
というか、香港競馬で乗るのも今年の5月以来だったそうですが、このレース振りには手応え十分。
国際レースまでの3週間で十分仕上がると自信を見せました。
「着順もさることながら、重要なのは手応え抜群だった点。いい動きだったよ」
と、ベリー騎手。続けて、
「残り200mまではホントに勝てるって思ったんだ。だから、次走がどんなレースになろうが、いいレースをしてくれるはずだよ!」
と、期待を込めました。
管理するムーア師は、次走を1200mの香港スプリントにするか、この馬の主戦距離の香港マイルにするか今だに決めかねていると言います。
「オーナーと相談しないことには決断は下せないよ。1200mか1600mか…。おそらく、1600mの方が本質的にはこの馬に合っていると思うんだけど、何しろ長期休養明けだからね。マイルの勝負勘が果たして戻っているかどうか。いずれにせよこれからオーナーと相談してからだね」
さて、どちらを選ぶのか?他陣営もファンも固唾を飲んで見守っています。
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