飯田コージ
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。
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香港競馬通信
11月24日
昨日、香港国際レースの登録が締め切られ、4つのG1レースの顔ぶれが発表されました。
香港競馬はフルゲート14頭。
レース数は4ですから、合わせて56頭の登録馬の内、G1タイトルホルダーは26。
この中には、去年の4つの国際レースのそれぞれの覇者の名前があります。
順に、日本からモーリスとエイシンヒカリ、アイルランドのハイランドリール、そして地元香港のペニアフォビアです。
そして今年は、地元香港勢28頭に対して海外勢も9つの国と地域から28頭。
2016年を締めくくる「ターフワールドチャンピオンシップ」に相応しい顔ぶれとなりました。

今年のメンバー発表でまず注目されたのが日本のムーリスでした。
去年の香港マイルの覇者ですが、今年は香港カップ(2000m)に登録。
歴史をひもとくと、レースを変えて香港国際レースを連覇するというのは、1998年と99年に同じようにマイル→カップと連覇したジムアンドトニックのみ。
その意味でもモーリスは香港の競馬ファンからも注目されているわけです。
モーリスは沙田競馬場では2戦2勝。
去年の香港マイルに続き、今年5月にはG1チャンピオンズマイルも制しています。
この秋は2000m戦を2戦して1勝。
前走天皇賞(秋)で自身5つめのG1タイトルを獲得しています。
今回の遠征では、史上最多13頭の日本からの遠征馬の総大将として、一番のメインレース、香港カップに挑戦です。
この香港カップはライバル関係も非常に手強く、出走14頭の中でG1馬が実に10頭。
同じく日本から参戦の去年の覇者、エイシンヒカリもその1頭です。
去年のこのレースでは先手をとってあれよあれよという間に差を広げ、直線まんまと逃げ切りました。その後、フランスのG1イスパーン賞でも大差勝ちしたため、この春の国際レーティングではトップ評価を獲得しています。
さらに、カップの日本勢は強力で、去年のJRA最優秀中距離馬ラブリーデイ、前走エリザベス女王杯(2200m)を勝ったクイーンズリング、そしてステファノスとメンバーが揃っています。
カップ登録の海外勢では、フランスからアンドレ・ファーブル厩舎3度目の国際レース制覇を狙うエリプティック、ドイツのポテムキンというG1ウィナーが参戦。
地元香港からは、G1を4勝しているデザインズオンロームが2014年以来2年ぶりの香港カップ制覇を狙います。

地元ファンが注目しているのは、香港マイルに出走する予定のエイブルフレンド(ジョン・ムーア厩舎)です。
2014年の香港マイルの覇者ですが、去年はモーリスの影に完全に隠れてしまいました。
今シーズンはケガから復帰し、去年の雪辱を期します。
それに立ちはだかるのが日本からの刺客2頭。
両方とも今シーズン地元日本でムーリスを負かしているだけに侮れません。
まずは安田記念を勝ったロゴタイプ。
そして、前走マイルチャンピオンシップでは不運な3着でしたが、その前にG2札幌記念でムーリスを下したネオリアリズム。
香港の競馬ファンはこの2頭に注目しているようです。
さらに海外勢では日本からは、マイルチャンピオンシップで5着健闘のサトノアラジン。
アイルランドからは名伯楽エイデン・オブライエン調教師が送り出すクーガーマウンテンが香港マイルに登録しています。
地元香港勢では、G1馬コンテントメント、ジャイアントトレジャー、ロマンティックタッチ、さらに前哨戦のジョッキークラブマイルを勝ったビューティオンリー、昨シーズンの香港チャンピオンマイラーのサンジュエリー、そして上がり馬ヘレンパラゴンが登録。
かつては地元香港勢の独壇場だった香港マイルも、熾烈な激戦場となりそうです。

続いて、こちらもかつては香港勢の独壇場、そして去年は唯一地元馬が勝った最後の砦、香港スプリント。
今年も地元勢は一線級が顔を揃えましたが、対する海外勢も日本の強力な2頭に加え、オーストラリア、北米からもトップレベルの馬が参戦。
さらにヨーロッパの3頭もそれぞれ侮れず、大混戦が予想されています。
まず日本勢では、ビッグアーサーが高松宮記念の勝ちっぷりから、このレースを連覇したロードカナロアのようだと早くも恐れられています。
スプリンターズSでは直線不利を受けた影響もあり2着に終わりましたが、香港のファンは不利さえなければ違っていたと冷静に見ています。
そのスプリンターズSを制したのが、もう1頭の日本代表レッドファルクス。
1-2フィニッシュがあってもおかしくありません。
迎え撃つ香港馬では、2014年の覇者エアロヴェロシティ。
去年のこのレースは出走すら叶わなかったのですが、雪辱に燃える今年はセイクレッドキングダム以来の1年空けての飛び石連覇を狙います。
もちろん、去年の覇者ペニアフォビアも健在。
そして、ステップレースのジョッキークラブスプリントを勝ったノットリスニントーン、5月頭のG1チェアマンズスプリントプライズ2着の上がり馬ラッキーバブルズと多士済々。
ここに、フランスからはG1モーリスドギース賞(1300m)の勝ち馬サインズオブブレッシング、ロイヤルアスコットのG1キングズスタンドS(1000m)の覇者プロフィタブル、10月のG1ブリティッシュチャンピオンズスプリントS(1200m)馬グロウルがやって来ます。
アメリカからは先日のブリーダーズカップターフスプリントで小差3着ピュアセンセーション、オーストラリアからはこのレース豪州勢としては15年ぶりの勝利を狙うG1マニカトーS馬リベルデーンが登録しています。

最後に香港ヴァーズ。こちらはハイランドリールが史上3頭目のヴァーズ連覇を狙っています。
去年は、管理するエイデン・オブライエン調教師に香港初勝利をプレゼントしたハイランドリール。
その後も世界各地を転戦し、今や世界で一番旅をしているトップホースと言えるかもしれません。
ただ世界中を転戦するなら今までも何頭もいましたが、行った先の各地でコンスタントに良績を挙げ続けるというのは例を見ません。
なにしろ、去年5月以降、7つの国と地域で14のG1レースに出走、4つの勝ち星を挙げています。
それも、ブリーダーズカップターフ、キングジョージ、香港ヴァーズ、セクレタリアトSと、一つ勝つのも苦労するG1の中のG1ばかり。
また、勝てないまでもG1凱旋門賞では2着に入っています。
この強力なチャンピオンに挑戦するのは、イギリスのビッグオレンジ、日本からは2014年のオークス馬で去年の香港カップ2着馬ヌエボレコルド、さらにスマートレイヤー、ニュージーランドからはG2ブリスベンカップの覇者ベンジニ、フランスからはG1を2勝のエラプト、サンクルー大賞馬シルバーウェーブ、G2馬ガリンガリ、さらにワンフットインヘブン。この馬は香港の競馬ファンの心を少しくすぐる血統で、2006年に香港カップを勝った牝馬、プライドの娘なのです。

メンバー発表をした香港ジョッキークラブのレース運営担当上級ディレクター、アンソニー・ケリー氏は、
「去年の国際レースは出走馬のレベルの高さから、世界の競馬シーンにおける存在感を非常に高めてくれた。それぞれの勝ち馬がその後も世界の競馬シーンで活躍してくれたことも大きい。そして、今年の香港国際レースもその流れを引き継いでいて、非常に良質で多彩なメンバーでレースすることができるのはとても素晴らしい。特に、去年の勝ち馬4頭がすべて今年も参戦してくれること、去年1勝しか出来なかった地元勢も発奮して今年はそれ以上の成績を残してくれると信じているよ。モーリスが去年勝ったマイルからカップへ路線を変えて挑戦してくれるというのも非常にエキサイティングだし、日本のビッグアーサーとレッドファルクスが香港のターフで再び激突というのも見物。それに、復帰したエイブルフレンドがどういった競馬を見せてくれるかも楽しみだね。さらに言えば、連覇のかかるハイランドリールも注目。メンバーすべてが世界レベルというのは、年末の締め括りに相応しい。12月11日は世界が香港に注目すると思うね」
と評価しました。
あと2週、ボルテージが高まってきました。


 
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