 |
 |
 |
 |
飯田コージ |
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。 |
|
 |
|
|
 |
 |
 |
 |
|
 |
 |
香港競馬通信 |
|
 |
11月28日 |
所属している馬が3000頭あまりという非常に小さな所帯の香港競馬。
その中の濃密な人間関係に割って入らなければいけないという意味で、新たに移籍してきたジョッキーは一年目に苦労することが多いようです。
もちろん、去年のリーディングジョッキー、ホアオ・モレイラ騎手のように移籍前からすでに重賞などで活躍し、移籍直後から騎乗依頼がひっきりなしという例外もあるので一概には言えませんが。
今シーズン移籍初年度というジョッキーも何人かいますが、比較的好スタートを切っているのがオーストラリアから来たサム・クリッパートン騎手です。
昨日のレース前で10勝を記録し、迎えた沙田開催でメインレースのクラス1・シェバリエカップ(1600m)をゴナラン(キャスパー・ファウンズ厩舎)で勝利。
初めて沙田のメインを制し、余勢を駆ってこの日2勝の固め撃ちと好調をアピールしました。
直線は3頭の叩き合い、その中で一番人気薄だったのがゴナランでした。
穴馬券を持っていた人はさぞかし興奮したことでしょう。
外から併せてきたのは、ブレット・プレブル鞍上の一番人気ソーラーヘイヘイとナッシュ・ラウィラー騎手騎乗のサーキットランド。
結果、ソーラーヘイヘイがアタマ差2着、そこから短頭差でトップハンデのサーキットランドという順になりました。
「手に汗握るゴール前だったよねぇ!でしょ!?」
表彰式を終えて検量室に戻ってきたクリッパートン騎手は、興奮気味に話しました。
「ボクにとってはメインレース初制覇で、もっともっとこうして勝ちたいよ」
その言葉通り、その後の第10レース・シェバリエプロパティデベロップメントハンデ(クラス3・1400m)をジョン・ムーア厩舎のピープルズナイトで勝ち、この日2勝を挙げました。
22歳のクリッパートン騎手にとって、本人も言っていた通りメインレース初制覇で、さらにクラス1初制覇となったシェバリエカップ。
このレースで先に動いたのは、一番人気を背負ったソーラーヘイヘイでした。
残り300mで早め先頭に立ち、後続を振り切りにかかります。
そこに食い下がったのがラウィラー騎手のサーキットランド。レースはこの2頭の叩き合いかと思われました。
そこへ鮮やかな末脚で最後に全部を持って行ったのが、クリッパートン騎手のゴナランでした。
最後の最後まで脚を溜め、最短コースの最内をぶち抜いて勝利。
まさにしてやったりの勝利で、ジョッキーの興奮度合は推して知るべしといったところです。
特に、最後の最後まで立ちはだかったプレブルとソーラーヘイヘイのコンビを下したのは格別だったようです。
「ソーラーヘイヘイを明確に抜いた感じはなかったよ。おいおい、ここまでか…とあきらめかけた。ブレット(・プレブル騎手)は腕の立つジョッキーだからここで抜かれるようなことはしない。持たせるだけの脚は残しているだろうと思ってね。だから、写真判定でウチが出てるって見て大興奮しちゃったよ」
レース前、クリッパートン騎手とファウンズ調教師は、今回はゴナランが実力を見せてくれるだろうと自信を持っていました。
何しろ、香港移籍前にはフランス、ジャン=クルード・ロゲ厩舎で、G1フランスダービー(シャンティー競馬場芝2100m)で優勝したザグレイギャツビーから小差の5着を含む4走をしている馬。
今回はその力を見せつけるような末脚を見せてくれました。
「この馬はいい方に変わりつつあると今回は自信を持っていたんだ。ハンデにも恵まれていたし、キャスパー(・ファウンズ調教師)も今回はデキに自信満々だったからね。それに、枠順(2番枠)も良かった。内々で折り合って進めて、道中の位置取りも思った通り。抜け出るときにはちょっと狭いところを通らざるを得なかったんだけど、この馬は堅実なタイプだからそんなのに怯んだりしないからね。最後は素晴らしい末脚を爆発させてくれて、闘争心剥き出しで印象的ないいレースをしてくれたよ」
その後この日もう1勝を挙げたピープルズナイトは、昨シーズンの最優秀若駒(3歳馬)の称号を得た馬。
去年のこの時期にはダービー候補最有力!というような下馬評を得ていた馬です。
しかし、去年の12月末に3歳限定レースで勝って以来、9度の出走で1度入着したのみと完全に埋没してしまいました。
「もともと、もうちょっとで勝てそうな競馬をしていたんだよね。特に、前走などホントにいいレースをしていたんだ。差のない競馬をしてくれるんじゃないかと思っていたんだけど、押し出されるように先頭に立ってしまってね。今日はいい枠を引き当てたから流れも向いたね。まさに、(メインレースの)ゴナランと同じようなレースができた。今日はそういった流れなのかな」
一日2勝の固め撃ちで、クリッパートン騎手は今シーズン通算12勝となりました。
今シーズンデビューの22才の俊英は、これで8人の調教師と勝ち星を挙げたことになります。
ピープルズナイトはムーア師との4つ目の勝ち鞍。
一方ゴナランはファウンズ師との3度目の競馬で初めての勝ち鞍となりました。
「たしかにキャスパー(・ファウンズ調教師)とはそれほど多く仕事をしてないけど、実は移籍してすぐに会った調教師の一人なんだよね」
と、クリッパートン騎手。続けて、
「そして、ジョン(・ムーア調教師)とは歳は離れているけれどプロ同士としての強固な関係を築けていて、調教でも何度も乗っているし、沢山の機会をもらっているよ。移籍前に彼からはアドバイスをいろいろもらっていて、調教師たちに印象づけるためには、何よりも出来る限り沢山の調教師の馬に乗って勝ち鞍を挙げるといいって教わったんだ。それを続けていければいいし、もっと沢山の調教師と仕事ができたらいいね」
オーストラリアからの若武者、サム・クリッパートン騎手。覚えておいて損はなさそうです。
|
|
 |
|
|
 |
 |
 |
|
|
|