飯田コージ
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。
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香港競馬通信
3月 6日
香港競馬の歴史で、今までジョッキーの一日の最多勝は6勝でした。
記録を保持していたのは、いずれも年間最多勝のタイトルを獲得したダグラス・ホワイト騎手とブレット・プレブル騎手ですが、去年・一昨年と連続で年度代表馬に輝き、年間最多勝をあっという間に更新したホアオ・モレイラ騎手が実はこのタイトルを持っていませんでした。
ある意味、香港競馬七不思議の1つのような現象でしたが、やはりモレイラ騎手はこの記録も更新してしまいました。
昨日日曜の沙田開催で何と11レース、10騎乗で1日8勝という固め撃ちを果たしたのです。

実はモレイラ騎手、先週末は不気味な沈黙を見せていました。
日にコンスタントに1・2勝はするジョッキーが10レースに乗って勝ち鞍なし。
まるで力を溜めに溜めていたかというように、昨日は勝って勝って勝ちまくりました。
「言葉ではこれは言い表せないよ!ボクも驚いた!香港で1日にこれだけ勝つのはどれだけ難しいことか」
と話したモレイラ騎手。
続けて、一つ一つの勝ち鞍を支えてくれた関係者に感謝の言葉を述べました。
そして、驚きの気持ちを改めて表し、
「正直な話、こんなことが起こるなんて想像もしなかった。繰り返しになるけど、香港で1日に8勝なんて、これは特別なこと以上にレアだからね!」

モレイラ騎手は第1レースから第4レースまでをいきなり勝利で飾り、第5レースは騎乗自体がなかったものの、直後の第6レースも勝利。
次に、既存の記録と並ぶ6勝目は将来を嘱望される3歳馬、ビートザクロックを単勝1.9倍の一番人気に答える形で勝利に導きました。
さらに、記録破りの7勝目はデレク・クルーズ厩舎のマイティマーヴェリック。
クラス3のマカオハンデを4分の3馬身差で制しました。

そして、チャンピオンジョッキーは最終レースまで観客を離しません。
グランドフィナーレはクラス2のタイパハンデ(1800m)。
プローンババで1馬身4分の3差で勝ち、ブラジル時代・シンガポール時代に続き、ここ香港でも1日8勝の偉業を達成しました。

この日の8つの勝ち鞍の中でも特に目を引いたのが、第3レースを勝ったミスタースタニング。
直線1000mを56秒台の目の覚めるような脚で、単勝1.8倍の人気に応えました。
レースを引っ張ったアンバースカイの直後でスリップストリームのように脚を温存できたという側面もありますが、残り400mで外ラチ沿いに末脚全開。
残り250mで先頭に立つと、ゴール直前はモレイラ騎手が手綱を緩める完勝ぶり。
耳をピクピクと動かすほど物見をしても、2着のノットリスニントーンに2馬身の差をつけゴール。
勝ち時計は55秒65。上がりの400mは22秒ちょうどでした。

「今まではこの馬のベストをレースで見せられていなかったんだ。若い馬らしく、前へ前へと行きたがってね。印象的な勝ちっぷりで、これをきっかけにもっともっと飛躍してくれると思う。すでに素晴らしいデキだけど、将来が楽しみな馬だよ」
と、モレイラ騎手。続けて、
「直線1000mはベストではないと思う。むしろ、1200mこそベストなんじゃないかな。それに、大レースはこの距離の方が多いしね」
と語りました。

管理するジョン・サイズ調教師はこの勝利に大喜び。
去年の最優秀若駒で、この勝利で9戦6勝。沙田の直線1000mでは2連勝となりました。
「この馬は常に調教ではいい感じなんだけど、それがイマイチ本番に結び付かなかった感じがある。それだけに、今日の勝利は嬉しいよね」
と語りました。

ミスタースタニングは1200mをそれほど得意としてはいません。
2勝を挙げていますが、3度破れています。
その辺りが、調教師にとっては懸念材料。
今後、ハンデ戦ではなく定量戦に移行していく中で引っ掛かるようです。
「もはや、トップクラスのレースに出走せざるを得なくなっていくはずなんだ。この環境の変化は実は大きくて、これからは毎週毎週出走できるレースがあるわけじゃなくなるんだ。これまでは直線1000mのハンデ戦に出走できたけど、もはやハンデ戦には斤量の面から出走が叶わなくなるよね。そう、選択肢はないのさ」
と、今後についてサイズ師は厳しい表情で話しました。
「好き嫌いに関わらず、プログラムに沿って行かざるを得ない。他の馬もやっているようにね。レーティングが110ポンドを越えたら、もはやG1に出るかレースに出ないかの二択になっちゃうんだよね。その環境でやるしかない。この馬が出られるハンデ戦も少なくなっていくし、G1ではコーナーを回れないと話にならない。ハンデ戦や直線レースに拘ってはいられない。前へ進むしかないんだ」

一方、ジョン・ムーア調教師は2着に入ったノットリスニントーンの走りについて満足したようです。
ザック・パートン騎手を鞍上に、G1ドバイゴールデンシャヒーンへ手応えを感じたようです。
「ドバイに向けていいレースができたよ。非常に満足だね。ドバイのメイダンではブリンカーとメンコを着けるつもり。今日はその頬部分のパーツだけ着けてみたけど、問題なかったね」
と、ムーア師は満足そうに語りました。

ノットリスニントーンは勝ち馬とは16ポンドのハンデ差がありました。
その上、レース中盤に流れに乗れず、不利が重なりながらの2着確保は立派です。
「ザック(・パートン騎手)はゲートをポンと出て、中間点までに流れに乗せたいと考えていたようなんだけど、重いハンデでなかなか動きが鈍かったようだね。勝ち馬はハンデに恵まれていた上に外ラチ沿いを不利なく突き抜けてたよ」
と、ムーア師は説明しました。続けて、
「この馬は最後までベストを尽くしてくれたし、ザックも降りてくるなり”ドバイでも乗せてよ〜”と言われたよ。いいレースだったし、出来れば叶えてあげたいけど、もうすでにトミー(・ベリー騎手)を頼んであるんだよね」
と、話しました。最後にドバイでのレースについては、
「いいゲートを引き当てて、好位に付けて欲しいね。昨日夜に現地のレースを見ていた限り、ラチ沿いを進むような馬はいなくて、他の馬の蹴り上げるのを浴びないように、前を開ける馬が多かった。馬の後ろに控えるのは厳しそうだからね」
すでに調教師の気持ちはドバイに飛んでいるようです。
ノットリスニントーンは、今月17日にドバイへ向け出発します。


 
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