飯田コージ
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。
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香港競馬通信
4月11日
春の国際レースに向けての香港内でのステップレース。
昨日はクイーンエリザベス2世杯やチャンピオンズマイルへのステップ、G2チェアマンズトロフィーをご紹介しました。
今日は、チェアマンズスプリントプライズへのステップ、G2スプリントカップ(1200m)をご紹介します。
同じ沙田競馬場、同じ1200mということで、このレースは直接のステップとして注目され、香港のスプリント界のトップがほぼ揃うというレースでしたが、終わってみれば新星候補の伏兵が初の重賞挑戦で勝利をモノにしました。
勝ったのは、前々から素質は重賞級との呼び声高かったジョン・サイズ厩舎のミスタースタニング。
3月のクラス1、直線1000m戦での勝利を評価され、単勝3.4倍の2番人気に推されたこの馬。
その期待に応え、香港移籍後10戦で7勝目を記録しました。
2着には、半馬身差でスプリントG1の地元本命を長く務めるペニアフォビア。
勝利ジョッキーのホアオ・モレイラ騎手は、ラッパードラゴンで勝ったチェアマンズトロフィーに続き、この日のメインを総なめしています。

サイズ師はこのレースの位置づけについて、
「トップホースたちと伍していくためには、このレースはまさに試金石だった。」
と振り返りました。そして、
「どの馬にも、トップホースの仲間入りをするためにこうした関門があるものだけど、厳しい戦いだったよ。どの馬が勝ってもおかしくない、チャンスのある競馬だったけど、この馬に展開が向いたね。でも、前の2頭とそれ以外がずいぶん着差が開いたということは、この馬の力を見せられたのかな」
と答えました。

ゲートを出てから最後方まで控えたミスタースタニング。
先頭からシンガリまでは5馬身ほどしかないという団子状の馬群が形成され、トニー・クルーズ厩舎のペニアフォビアがペースを握りました。
実力馬がペースを握り、ペースを落とすとなると先行馬有利の流れ。
そんな中モレイラ騎手はラチ沿いでじっと我慢します。
残り350mで馬群をこじ開け、残り300mから末脚を爆発。
上がりの400mを21秒90の鬼脚でまとめ、勝ち時計は1分8秒46でした。

「この馬は素直な馬だと思っていたんだけど、今日はちょっと雰囲気が違っていてね。まずは馬の気に任せて、折り合える位置にいるしかないって思ったんだ」
と、下馬したモレイラ騎手は道中の位置取りについて説明しました。
「最後間に合ったのはラッキーだったね。何と言っても、我々の前には捌くべき馬群が立ちはだかっていたから。抜け出してからは、チャンスだと思ったね。思い返せば、移籍初戦と2戦目はハッピーバレーだったけど、同じように最後方近くから長い長い脚を使って勝っているんだよね。どんな展開でも動じないという柔軟性は、この馬の最大の長所だね」
そしてこの馬の将来性については、
「ボク自身はこの馬の将来に自信を持っているんだ。ずっと重賞級だと思っていたんだけど、まさかこんなに早く第一線に浮上するとは思っていないかった。本格化するのは来シーズンだと思っていたからね。半年タイミングが早かったのは嬉しいボーナスだよ」
と、笑顔で話しました。

ミスタースタニングの次走は、5月7日のG1チェアマンズスプリントプライズとなります。
今回と同距離、同コースですが、今回下したライバルたちとの再戦となりますし、そこに海外勢も加わります。
今回とは比べ物にならない厳しい戦いになるでしょう。

一方、2015年の香港スプリント馬ペニアフォビアはネイル・カラン騎手鞍上で2着でした。
いつも通り先手を取って逃げる形、自分の形に持ち込みましたが、最後は勝ったミスタースタニングの末脚に屈しました。下馬してきたカラン騎手は、
「堅実ないいレースをしていたよ。前走のセンテナリースプリントカップ(6着)から早い時期に調子を戻していたからね。勝ち馬は若くて伸びしろがありそうだけど、ボクの相棒はここ何年もトップスプリンターを守り続けてきたわけだからね。このポジションを守り続けているというのは素晴らしいことだし、次のG1に向けて、これで自信を持って臨めるよ」

去年のこのレースの勝ち馬、ラッキーバブルズは3着入線後5着に降着となりました。
3着同着のブリザードを残り200mで交わす際に進路を妨害したというのが理由です。
騎乗したプレブル騎手は、
「今回、この馬はちょっと絞りかすにような状態だったね。今シーズンの初めのような好調さはなかったよ。チェアマンズスプリントプライズに出走するのであれば、軽めの調整で十分だと思うね。そして、その後は十分に休養させた方がいい。来シーズンのためにもね」

3着同着に繰り上がったもう一頭は、ジョン・サイズ厩舎のザウィザードオブオズ。
かつて上がり馬として注目されていましたが、このところ少し名前を聞かない時期を過ごしました。
今回は10月以来の実戦。チャド・スコフィールド騎手のガイドで3着でした。
サイズ師は、
「僕から見ると、いいレースだったし、調子も戻ってきたように見えるね」
と話し、それに呼応するようにスコフィールド騎手も、
「道中はポジションをキープするためにずっと手綱を引き絞って抑えていたんだ。じゃないと外へ出よう出ようとしちゃうからね。末脚を繰り出してからは、素晴らしいレースをしてくれたよ。残り50mまではこれはいけると思った。最後はちょっと力尽きちゃったけど、十分に戦える力を持っていると思うし、またコンビを組みたいね」
シーズンの締めくくりに入ってきて、余力のある馬探しも重要となりそうです。


 
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