飯田コージの外はおまかせ！

飯田コージ

1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。

香港競馬通信

5月 4日

今日は、今週日曜の２つの国際Ｇ１のうちチェアマンズスプリントプライズの有力馬をご紹介します。
このレースは、残念ながら出走１２頭すべてが香港馬。
ということで、香港スプリント界のＮｏ．１決定戦という趣です。
ここでも世代交代の波が押し寄せていて、先月のステップレースで鮮やかに勝利した若武者ミスタースタニングに対し、今までスプリント戦線を背負って立ってきたベテランのペニアフォビア、エアロヴェロシティがどう立ち向かうかが焦点です。
その中でも、騎乗するネイル・カラン騎手が前走の２着をひっくり返せると怪気炎を上げるペニアフォビアをご紹介します。
「ミスタースタニングはたしかに我々を負かしたんだけど」
と、カラン騎手は前走について口を開きました。前走のＧ２スプリントカップは今回と同距離同コース。
ここでペニアフォビアはミスタースタニングに半馬身差敗れています。
「ダッシングフェローが前で壁になってしまって立ち後れたんだ。でも相棒はレースを諦めなかった。さらにデキのいい馬に負かされたってのが本当かな。でも、枠順や道中のペース、位置取りにによって結果は全く違うものになってしまうからね。ミスタースタニングとの対戦というのはまさに勝ったり負けたりの関係だと思うよ。」
前走のＧ２スプリントカップは、ペニアフォビアとカラン騎手にとってはコンビを組んで迎える２度目の重賞。
一方、ミスタースタニングにとっては初めての重賞挑戦でした。
この馬はクラス４でこのシーズンの開幕を迎え、そこから９戦６勝
で重賞に漕ぎ着けた上がり馬。
一方のペニアフォビアは６歳馬にしてすでに４度目の香港でのシーズン。
古豪はその間、２０１５年の香港スプリントを始め、ドバイのアルクォーツスプリントでは２度掲示板に乗る好走を見せ、昨シーズンは最優秀短距離馬にも選出されています。
「ペニアフォビアは実はそんなに年じゃなくて、まだ６歳なんだよね。でも、２歳の時から香港にいるせいで、何だかベテランのようなイメージがあるんだけど。つまり、思ったほど老けてはいないってわけさ」
と、カラン騎手は説明しました。そして、
「でも、こうして第一線で活躍し続けている秘訣を聞かれれば、それはトニー・クルーズ調教師ってことになるかな」
と語りました。

ペニアフォビアがトニー・クルーズ厩舎にやって来たのは２０１３年の１０月。アイルランド生まれのこのスプリンターはすでにイギリス競馬でも名の知れた存在で、リチャード・ファーヘイ厩舎時代にニューバリー競馬場のウェザーバイズスーパースプリント（１０３１ｍ）を勝っています。
以来３１戦して９勝。２着３着を合わせると実に１４回。
朝の調教でもすべてが順調なようで、自身２度目のＧ１制覇へ視界は良好のようです。
「コースでは、本当に調子がいいように思えるよね。朝方この馬を見かけると、まさに跳ねるような元気さで好調を維持しているように見えるよ。この調子なら、本番でも力を発揮できるんじゃないかな」
と、カラン騎手は手応えを語りました。
「今年ドバイ遠征を見送ったというのは、なかなか微妙な判断だったと思うけど、おそらくいい方に働くんじゃないかな。ここ（香港）にいても十分に賞金は稼ぐことができるからね。もちろん、かつて遠征をしてそこで積んだ実績は誇るべきものだよ。ただ、残念ながら遠征してあまり果実を得られなかったのは事実だよね」

２歳時、イギリス時代の４戦を含め、ペニアフォビアは１シーズンあたりの平均勝ち鞍数が、３，３，３，２。
今期はまだ１勝しかしていませんので、計算上は今回勝つ可能性が非常に高いということになります。
「調子もいいし、前走の再戦というメンバーだから、いいレースをしてくれるんじゃないかな。ここ３戦コンビを組んでいるんだけど、この馬は２度モンスターのようなスゴいレースをしてくれているんだよ。勝ち切ったＧ２センテナリースプリントカップと、前走ミスタースタニングに負けた競馬さ」
と、カラン騎手は語りました。

実は、ペニアフォビアはここ６戦クラス１のハンデ戦でトップハンデを背負わされています。
それは、前走ミスタースタニングに敗れたレースでもそうで、実に１８ポンドものハンデ差がモノを言いました。
騎乗したカラン騎手も、
「１０００ｍやそこらの競馬でこのハンデ差。一頭だけスゴい逆風の中競馬をしているようなものだよ」
とこぼしました。

１月のセンテナリースプリントカップでの勝利は、さらにおよそ１年前の香港スプリントでの勝利と同じく逃げて押しきった展開でした。
今回も同じような展開を狙っていきますが、カラン騎手はあまりハナを切ることにはこだわっていないようです。
「ゲートの出に関しては、馬の気に任せるよ。もちろん出すときには押すけど、１頭でポンと先頭に立てればラッキーだね。でも、みんなが先頭めがけて来るような展開だと、ペースが速くなりすぎちゃうんじゃないかな。そうなったらこの馬は好位からの競馬に切り替えると思う。そこは柔軟で問題ないよ。この馬は非常に前向きな馬で、自分のリズムでしっかりと前向きに走ってくれるんだ。逆に言うと押しても引いても自分のリズムで走り続ける。そうなったら、この馬が最大限実力を発揮できる環境が整ったってことだね」
と、カラン騎手は秘密を明かしてくれました。

チェアマンズスプリントプライズの１２頭は他に、香港スプリントを２度制したエアロヴェロシティが現役最終戦として参戦。
さらに、去年のこのレース２着のラッキーバブルズなどが人気となりそうです。
若武者か、古豪か。マイル界もスプリント界も、群雄割拠のようです。