飯田コージ
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。
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香港競馬通信
7月18日
一昨日で、香港の2016/17シーズンが終了しました。
シーズンエンドの沙田開催には36949人の観客が詰めかけ、シーズンを通した売り上げは1174億香港ドルに上りました。
レース終了後に記者団の取材に答えた香港ジョッキークラブのCEO、ウィンフライド・エンゲルブレヒト・ブレスゲス氏(通称EB氏)は、
「今シーズンの業績は想定を遥かに越える素晴らしいものだったね。驚いたよ。去年の今ごろは世界的な経済の調整局面でもあったので、それがジョッキークラブの業績にも跳ね返り、シーズン総売上で前年比2%の減少を余儀なくされた。陣頭指揮をとって8年、初めての挫折だったね。今年はそこから立ち直り、シーズン売り上げ新記録の1174億5600万香港ドルを叩き出した。実に前年比10.7%増だよ」
と、上機嫌に捲し立てました。
今までの売り上げ記録は2014/15シーズンの1079億2500万香港ドルでした。
これだけ稼ぎだしたということは、税金その他で香港社会に貢献できる範囲が広がります。
CEOは記者団に、この部分を特に強調しました。
「総売上が伸びたということは、その分納税をして社会に貢献できるということ。今シーズンは131億香港ドルで、去年と比べて10億ドルも増えているんだよ。これは、香港競馬のクオリティの高さを証明しているのと同時に、どれだけ香港社会にジョッキークラブが貢献しているのかを示すもので、非常に重要な数字だね」

一昨日の沙田開催1日の売り上げは18億5800万香港ドルで、これも11レース編成の開催1日分の売り上げ新記録を樹立しました。
今まではシーズンラストの開催は7月のはじめ。
今年は5開催日増やして88日としたので、その分売り上げが増えたという指摘に関してはCEOも承知していました。
ただ、それだけでここまでの増加はあり得ないとも反論し、売り上げ増の大きな要因としてここ何年か戦略的に拡大してきた海外発売収入を挙げました。
「たしかに5日開催日が増えたんだけど、レース数で見ると去年の83日開催と比べて22レースしか増えていない。それで売り上げは前期比6.9%の伸びだった。これを要因別に分析すると、3分の2はローカルの売り上げの伸びで、残りの3分の1は海外売り上げの伸びなんだよ」
「したがって、世界中の競馬ファンが香港競馬に注目し、馬券を買ってくれたというのも今年の増収のひとつの要因と考えてもいいんじゃないかな」
と話しました。そして、具体的な数字を挙げて滔々と説きます。
「去年の数字を見ると、海外からの売り上げは額にして34億7000万香港ドル。総売上に占める比率は3.3%だった。では今年はどうか。海外売り上げ額は65億香港ドルで前年比87.1%増。総売上との対比では実に5.7%に伸ばした。来シーズンに向けても非常に明るい話題だよね。だって、海外のマーケットが香港競馬の魅力を認めているということだからね」

また、EB氏は今シーズンの海外発売について、開催日を経る毎に売り上げが伸びていくことに「勇気付けられた」と語っています。
実際、シーズン最終開催のこの日の海外売り上げ額は1億8340万香港ドルで、開催日の新記録を達成しました。
「香港競馬は今や世界中が注目している。我々は非常に魅力的なレースを提供し、多種多様なレースがあり、さらにキメ細かなレース情報にアクセスが可能で、もちろんそれら一つ一つの要素が高い次元で統合されていて、その上透明性が高いからね」

そしてEB氏は経営者らしく経常利益にも言及しました。
「経営の健全性を示すもっとも一般的な数字は経常利益だよね。もちろんこっちもレコードに迫る喜ばしい数字で、47億7000万香港ドル。昨シーズンと比べて7.2%積みますことができたよ」

続いて、香港競馬のクオリティに貢献するジョッキーやトレーナーに言及しました。
特に、新記録を樹立したホアオ・モレイラ騎手やジョン・サイズ調教師、それに世界レベルの競走馬たちを挙げました。
「香港調教馬が初めて世界のレーティングに名前を連ねたのが実に20年前。ヨハンクライフだった。今や、2016年末の時点で過去最多26頭が世界競走馬番付に名を連ねるようになった。思えば遠くへ来たもんだだね」
しかしながら、今後について聞かれると表情が引き締まりました。
「来シーズンは同じだけの頭数を送り込むのは厳しいと思うんだ。というのも、たった1200頭の所属馬で世界最高峰のレベルに多くを輩出するのは至難の技だし、その上最近だけでもエイブルフレンド、デザインズオンローム、エアロヴェロシティという名馬が次々に引退してしまっているからね」

今シーズン印象に残った馬について聞かれると、やはり香港4歳三冠を無傷で制したラッパードラゴンなど、G1におけるパフォーマンスを挙げました。
「まさに最高のシーズンを送れたという認識だよ。12月の香港国際レースについては、まずは日本のモーリスの香港カップ参戦とサトノクラウンとハイランドリールがデッドヒートを繰り広げた香港ヴァーズだね。彼らの参戦で、非常に協力な布陣でレースを開くことができた。もちろん、地元馬の活躍ももう一度称賛しておきたいね。香港マイルと香港スプリントでは1着から4着までを独占。層の厚さを見せつけることができたよ」

香港の2つある競馬場への今シーズンの観客動員数は216万7000人。1開催平均で2万4600人が競馬場に足を運んだ計算になります。
これは去年とほぼ変わらずという数字でした。
将来に向けてEB氏は、競馬場改修マスタープランがいよいよ最終段階に入ったことを意識しています。
様々な顧客セグメントに対し、どのように競馬場でショウアップし演出していくか、今後も要検討のようです。
「今までの画一的なサービスと違って個々人に合ったサービスを提供するために、モダンでインタラクティブで競馬場でしか体験できないものを追求している。お陰さまで、お客さんからいろいろなご意見をいただいたり、支えてもらっているよ」
と、今後も挑戦を続けていくことを示唆しました。
来シーズンに期待しましょう。


 
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